富士山は歩いて登ろう!
昨年から、富士山御殿場口のブルドーザー道を、荷物室を乗り合いバスのように改造したブルドーザーに乗って登山している人たちを度々目にする。
多いときには、2台のブルドーザーに人を満載して運んでいる。昨年は200人を超える人たちがブルドーザーを使って富士山に登ったと言われている。
「富士山の運搬用ブルドーザーは資材運搬用とされ、人命救助で緊急避難的な場合を除けば、ブルドーザーによる人の運送は認められていない」と行政関係者の指摘があった。
登山者の安全
富士山でのブルドーザーによる運搬は常に危険と隣り合わせだ。
実際、昨年7月31日、須走口本6合目付近のブルドーザー道から下の登山道にブルドーザーが転落横転した運転手は重傷を負った。登山道に、たまたま登山者がいなくて、この事故に遭遇せずにすんだ。
御殿場口では、計7箇所、登山道をブルドーザーが横切っている。交差する近辺では、同様な事故が起きて、登山者がいつ巻き込まれてもおかしくない。
富士山測候所のある剣が峰への最後の急坂(通称馬の背)の、お鉢めぐりの道をブルドーザーが行き来している。
一般登山者やブルドーザーの乗員・乗客の安全を考えるなら、ブルドーザーによる資材運搬は必要最小限にし、ブルドーザーによる富士登山は止めよう。お願いします。
富士山自然環境への負荷
太郎坊を基地とする御殿場口ブルドーザー道は、5合目以上、国立公園特別保護地区ならびに特別名勝に指定された地域を通っている。この地域は、自然公園法、文化財保護法で植生など自然環境の保全保護のため、厳しく規制されている。登山した記念に小石を拾う程度のことも禁止されている。
剣が峰への最後の急登(通称馬の背)をふくめたお鉢めぐりの道は、ひどく痛んでいる。
昨年その痛めた部分の補修のためか、剣が峰東側の土石を重機で掘り出し、埋めている人たちがいた。
剣が峰周辺の山頂には、極限環境に生息する貴重なコケ類や地衣類が確認されている。剣が峰周辺での工事は、あたりの景観を壊すだけでなく、周囲を不安定にし、極限環境に生育するコケ類や地衣類の生息環境への悪影響及ぼす恐れがある。現地で工事担当者に、「国立公園特別保護地区の土地形状変更を伴う工事許可を得ているか」と質問したが、適切な答えは無かった。
その補修した馬の背は、1シーズンたてば、補修に当てた土石が流されてしまう。剣が峰東側の土石を削り取り、埋めた土石が流されるから、剣が峰周辺を取り崩しているようなものだ。
歩いて登る人たちへの配慮
ブルドーザーを使った富士登山をする人たちがいるという話を耳にすると、多くの登山者や登山経験者は「それは許せない。恥ずかしくないのか」と憤慨する。なぜだろう。「自分達は苦労して歩いて登っているのに、楽をして」と単純に怒っているのだろうか。他の登山者への安全や自然環境への配慮をしない身勝手さに憤りを感じているのだろうか。
夕刻、御殿場口8合目の小屋前で、ちょうど何人かの人たちが、ブルドーザーから降りてきたところに出会った。小屋前では、登頂を終え満足そうな顔をしてくつろいでいる人たちや、長い御殿場口ルートを登って汗まみれで休息している登山者がいる。其の中で、ブルドーザーから降りてきて、周囲を気にもせず、大声で話している人たちの振る舞いに、多くの登山者が違和感や不快感を顔に出していた。
富士山は歩いて登ろう
登山者・乗員・乗客の安全、自然環境への負荷、歩いて登る人たちへの配慮など、ブルドーザーを利用した富士登山はあまりにも影響が大きい。
静岡県、山梨県は、富士山憲章制定10周年を記念して、富士山の自然環境保全をさらに進めている。世界遺産登録を手段としてその保全に取り組もうとしている。多くの県民、国民が、かけがえの無い美しい富士山の自然環境を子供たちに残こそうと努めている。800年を越える歩いて登った歴史がある。子ども達も自分の足で一生懸命歩いて登っている。歩いて富士山に登って欲しい。 お願いします。
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