2017年10月 5日 (木)

活動報告 2017-12 頂上お鉢めぐり環境パトロール

活動日時  2017年(平成29年)9月26日(火)5:00 - 17:00 
活動区域  富士宮口登山道・頂上お鉢めぐり・御殿場口登山道・宝永火口・富士宮口
天候     晴
参考     山頂(12時) 気温 0.4℃、湿度75%、646.7hPa
        河口湖上空4km(12時) WNW, 9m/s 
 
 
 
 閉山後の富士宮口登山道と山頂、御殿場口上部、宝永火口を環境パトロールした。登山口で登山計画書を富士宮警察署宛に提出した。また、携帯トイレを持参し使用した。パトロール中はヘルメットを着用した。天候は良かったが平日とあって、出会った登山者は登り降りで数十名程度だった。
 
 
 
野外排泄跡
 富士宮口登山道、環境省頂上公衆トイレ周辺、御殿場口頂上小屋周辺、八合目小屋跡で野外排泄跡を確認した。9月10日の閉山以降も、9月中は2回の連休があり、天候が安定すれば一定数の来訪者はある。富士宮口六合目の小屋を出て山頂を目指せば、トイレは無い。排泄は当たり前のことだから、携帯トイレの持参、持ち帰りが必要だ。標高が高ければ分解も遅れ、さらに排泄物を石で隠し、後々まで残る。
 
 
20170926toilet
(図 2014年以降の野外排泄の跡 紫丸は野外排泄確認跡。ピンク線は今回の環境パトロール・コース)
 
 
Dsc_0077
(富士宮口新六合・七合間)
 
 
Img_20170925_221714
(富士宮口七合・八合間)
 
 
Img_20170926_000631
(富士宮口九合五勺小屋脇)
 
 
Dsc_0090
(富士宮口頂上公衆トイレ脇 西側)
 
 
Img_20170926_033722
(頂上お鉢めぐり歩道 銀明水西側)
 
 
Img_20170926_045642
(御殿場口八合小屋跡脇)
 
  閉山後の登山者には、携帯トイレの持参を推奨することや登山口での回収設備の設置期間延長が望まれる。また、夏山シーズンにおいても、登山者が集中するため、時間帯によってはトイレを長時間待たされる事態も発生し、お鉢巡り道周辺で野外排泄がみられる。御殿場ルートや宝永山などトイレが使用できない場所もあり、富士山には、年間を通じた携帯トイレの持参、持ち帰りが、衛生環境や景観上、現実的で効果的な解決策ではないだろうか。
 
 
 
頂上周辺の崩壊状況
 頂上剣ヶ峰の火口側(東側)の崩壊が進んでいる。剣ヶ峰周辺の地質図によれば、幾層もの噴火期が異なる噴火物が積み重なっており、その東端が順次崩壊しているように見える。旧測候所東側の大岩は、計測装置を使って崩壊状況がモニターされているようだ。旧測候所北東側では、崩壊した岩がお鉢めぐり歩道を覆っていたが、通行は可能だった。 また、御殿場口頂上周辺でも噴火物層の落石が懸念される。登山者の方は、ヘルメットの着用を勧めます。
 
 
20170926csmap
(図 頂上の地質図と静岡県CS立体図の合成図  ピンク線はお鉢めぐりのパトロールコース)
 
 
Dsc_0103
(2017/9/26 剣ヶ峰南東側、巨岩の崩壊)
 
 
Scan21
(1990/8/5 27年前の同地点)
 
 
Dsc_0134
( 崩落が心配される旧測候所東側の巨岩)
 
 
Img_20170926_021422
(旧測候所北東側のお鉢めぐり歩道への崩落)
 
 
Img_20170926_041054
(御殿場口頂上東側の噴火物層崩壊)
 
 
 
剣ヶ峰旧測候所展望台立入禁止の継続
 2010年夏までは、庁舎北側に手狭だが、日本最高峰からの景観を楽しめる展望台があった。2011年9月には、その展望台への入り口にロープが張られた。その後7年間、一般の来訪者は、富士山剣が峰から西側の絶景を展望することはできない。富士山測候所は、人による通年観測を止め、自動化観測所と位置づけられた。気象庁は自動観測化で必要性が低くなった庁舎部分を撤去し、来訪者が最高点からの雄大な日本アルプス(南アルプス、中央アルプス、北アルプス)の展望を楽しめるように配慮してほしい。
 
 
Imgp0083
(2017/9/26 今回も庁舎北側の展望台立入禁止)
 
 
P1140431
(2010/7/20展望台への案内標識)
 
 
Img_4416
(2004/10/16 展望台から北アルプス、南アルプス)
 
 
Img_4417
(2004/10/16 南アルプス、中央アルプス、御嶽山)
 
 
Img_4411
(2004/10/16 南アルプス南部)
 
 
 
頂上のコケ類
 富士山頂のコケは、増沢先生によって「永久凍土が育てる小さな『森』」(富士山2005、山と渓谷)として美しい写真とともに紹介され、山頂にも緑豊かな「森」があることが知られるようになった。冬の低温、強風、乾燥した極限の世界でも生息するその強靭な生命力に感動さえ覚える。永久凍土が育てるコケの群落は、長い時間をかけて頂上にたどり着いた来訪者へ最高の恵だ。また、剣ヶ峰周辺では、南極でよく見られるコケとラン藻の共生など観察され、富士山頂は南極と同じような環境が存在する特別な場所だと思う。富士山の概ね標高2,500m以上は、国立公園内でも厳正な保護を図るエリアである特別保護地区に指定されている。

 それほど保護に特別な注意が払われている極限環境に生育するコケ類に2010年以降変化が見られるようになった。とりわけ、剣ヶ峰周辺、なかでも、旧測候所周辺のコケ群落が枯れている。旧測候所の北東側では、2005年以降、特に、2010年ごろから、岩の下部を中心にコケ類が枯れ、被植が減ってきたようだ。
 
 
Dsc_0141all
(2017/9/26 継続観察している岩の全景)
 
 
Dsc_0141
(2017/9/26 岩の下部が枯れ)
 
 
Img_7126
(2005/7/2 観察し始めた頃コケ)
 
 
 剣ヶ峰旧測候所入口の階段脇もコケ類の衰退が目立つようになった。
 
 
Dsc_0137
(2017/9/26)
 
 
P1000222
(2012/8/22 同地点)
 
 
 一方、私達が度々見ている他の地点(来訪者の多い御殿場口頂上・富士宮頂上間)のコケ類の多くは、剣ヶ峰周辺のコケ類に比べ、それほどの衰退は感じられない。
 
 
Img_20170926_033541
(2017/9/26 銀名水西側、お鉢めぐり道沿いのコケ類)
 
 
Img_20170926_033715
(同)
 
 
 
頂上の維管束植物
 維管束植物とは、菌類、藻類、コケ類などとは異なり、維管束と呼ばれる通道組織を有する植物の総称。具体的には、シダ植物および種子植物(裸子植物、被子植物)をいう。過去には、富士山頂のような上部高山帯には生息しないとされてきたが、山頂での維管束植物は、コタヌキラン、イワツメクサなどが確認されている(増沢武弘「富士山頂の自然」静岡県、2002年)。
 
 
 今回の環境パトロールでは、山頂火口の西側で、コタヌキランやイワノガリヤスをみた。2005年7月の環境パトロール時に緑色の維管束植物を写真記録していた。
 
 
 温暖化の影響で富士山頂でも維管束植物が生息できる環境が整ってきたということは確かだと思う。では、どんな形で、これらの維管束植物が侵入してきたのだろう。よく分からない事が多い。今後も見守っていきたい。
 
 
Img_20170926_022157
(2017/9/26 コタヌキラン)
 
 
Img_20170926_022710
(2017/9/26 イワノガリヤス)
 
 
Img_7429
(2005/7/17 コタヌキランと思われる植物)
 
 
 
ゴミ回収 103個 (ゴミ収集記録調査票に対応)
 
 
Gomi
 
 
Gomi_graph_c


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2017年9月29日 (金)

活動報告 2017-11 御殿場口合同環境パトロール

活動日時  2017年(平成29年)9月23日(土)8:30 - 13:30 
活動区域  御殿場口新五合目→幕岩→二ツ塚→大石茶屋→御殿場口新五合目
天候     曇り/晴
参考     山頂(9時) 気温 3.1℃、湿度100%、647.0hPa
        舘野上空4.4km 14m/s、245°(9時)
 
 
 
 夏山シーズンを終えた御殿場口周辺の合同環境パトロールに参加した。
 
 
 Img2017092814365424
 (地質図 御殿場口 合同環境パトロールコース)
 
 
 
 御殿場口新五合目の第一駐車場は、夏山シーズン中は一般車両が駐車禁止となっていたが、閉山後はトレイルステーションが撤去され、一般車両も利用可能となっていた。第一駐車場が利用可能となると、一般来訪者のトイレへのアクセスが容易となり利便性が向上する。
 
 
Dsc_0002
(静かな御殿場口第一駐車場)
 
 
 
  樹林帯を通る御殿場口新五合目・幕岩間は歩きやすいが、歩道複線化区間がある。団体の来訪者も多く、ガイドロープなどによる複線化対策をして、歩道周辺の植生保全を進めてほしい。
 
 
Img_20170923_000846
(複線化し根が露出している歩道) 
 
 
 
 歩道周辺では、イノシシと思われる根の掘り返しが目立った。また、ニホンジカによると思われる樹皮はぎも数か所見られた。
 
 
 
Imgp0050
(イノシシと思われる掘り返し)
 
 
Img_20170923_003418
(ニホンジカによる樹皮はぎ。樹木はミズキ)
 
 
 
 幕岩南の砂沢右岸斜面は、毎年、崩壊が進み樹木が倒壊している。地質図を見ると、この崩壊斜面は二ツ塚噴出物を幕岩噴出物が被う境界となっており、地質的にも今後も崩壊が進むと思われる。
 
 
Dsc_0006
(砂沢右岸の崩壊斜面)
 
 
20170923makuiwamap
(幕岩周辺の地質図、CS立体図)
 
 
 
 幕岩では砂沢上流の宝永噴火(1707年)の降下火砕物がスラッシュ雪崩で堆積したり、降雨によってさらに下流へと降下火砕物の運搬が繰り返されている。この数年、堆積物は少ない。
 
 
Img_4241
(幕岩2004/10/10 樹木が多く見られる) 
 
 
P1040464
(幕岩 2007/4/14 スラッシュ雪崩で堆積)
 
 
Dsc_0014
(幕岩 2017/9/23 斜面の樹木成長) 
 
 
 
 二ツ塚下塚「下双子山」から二ツ塚上塚「上双子山」を望むと、2006年夏にくらべてパッチ上の植生は増加しているようだ。鞍部から上双子山頂上へ直線的に向かう轍の痕(オフロード車の通過痕)は明瞭なままだ。
 
 
Dsc_0027
(2017/9/23 上双子山 パッチ植生増加)
 
 
P1110299
(2008/6/7 同上双子山)
 
 
Dsc_0023
(2017/9/23  部から上双子山頂上へ直線的に向かう轍の痕は回復していない)
 
 
 
 
 思っていたより多様な自然環境の御殿場口周辺をパトロールして皆笑顔。
 

Dsc_0034
(下双子山にて)
 
 
 
ゴミ回収 15個 (ゴミ収集記録(調査票に対応)
1.紙 4         (2)菓子容器 1 (5)タバコ吸殻 3
2.布 1         (1)衣類 1           
3.プラスティック 2   (3)菓子容器 2
5.ビニール 7     (3)紐 5 (3)破片 2
6.鉄 1         (7)その他 プルトップ 1


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2017年8月24日 (木)

活動報告 2017-07 須走口合同環境パトロール

活動日時  2017年(平成29年)8月19日(土)9:00 - 12:00 
活動区域  須走口多目的広場→須走口五合目周辺→須走口多目的広場
天候     曇り
参考     山頂(8時) 気温 4.3゜C、日照時間 0.0h、湿度100%、648.8hPa
 

シャトルバスでのマナー伝達
 
 夏山シーズンの富士山では、マイカー規制が行われている。シャトルバスへの乗り換え駐車場(標高850m)から、須走口五合目(標高1967m)まで、エコサポーターの二人とともに乗車。マナー伝達活動(説明)を約10分間行った。シャトルバスを運行している富士急さんには毎年ご協力いただいている。9時出発のバスには約20名の来訪者が乗車した。発車前に、希望者へ静岡県作成の「マナーガイドブック」を配布した。
 
 
Photo
静岡県自然保護課作成のマナーガイドブックはダウンロードして入手できる。日本語・英語版、中国語(簡体字)版、中国語(繁体字)版、韓国語版、ポルトガル語版がある。


 マナーガイドブックは登山に役立つ情報や自然環境保全に有用なマナー、ルールがコンパクトにまとめられている。、高山病予防の為、五合目到着後、直ぐに登らず、1~2時間体を慣らすようにし、その間にマナーガイドブックに目を通してもらえたら、ありがたい。
 
 
 シャトルバス内では、マナーガイドブックをもとに、自然環境が豊かで樹林帯が続き、登山道から日の出を体験できる須走ルートの概要を説明した。また、この登山道には、既に外来種のセイヨウタンポポが多く見られ、生態系に悪影響があるので、更なる持ち込みを防ぐため、登山口に設置されている外来種侵入防止マットの使用をお願いした。
 

 当日は今夏最後の混雑日で、特に吉田口と合流する本八合目以上は、午前2時から午前8時まで渋滞し、時間がかかり混雑が予想されている。落石の危険もあるので、登山道を外れないようお願いした。山頂並びに五合目の最新気象情報と予報を伝えた。その他、ゴミの持ち帰りや、トイレでの休憩、仮眠はしないようお願いした。
 
 
 
須走口五合目の外来種侵入防止マット
 
 富士宮口新五合目や水ヶ塚駐車場と同様に、須走口五合目にも外来種の侵入防止マットとブラシが設置されている。このマットやブラシは来訪者の外来種持ち込みに対して、水際で有効な対策だ。隣接した協力金のデスクの担当者が、「落ちた土は回収して、発芽させ、どんな植物の実生か調べている」と教えてくれた。
 
 
Img_20170819_020038
 
 
  通過する来訪者を見ていると、注意が協力金デスクに向けられ、マットの存在すら気づかずに通過する人が多い。次の写真のように、丁寧にマットやブラシを使った方がより効果が期待できる。
 
 
Img_20170819_020222
 
 
 
小富士コース
 
 小富士コースでは、以前から部分的にコメツガなどの樹木根が露出している。歩道法面(横断面の上部斜面)の侵食が進んだり、 歩道下側斜面に流出した土壌が堆積している。樹木根の損傷や歩道複線化が見られた。
 
 
Img_20170819_021942
歩道の法面、斜面上側の侵食で樹木根露出、損傷
 
 
Img_20170819_024847
歩道の下側斜面では流出土壌が堆積
 
 
Img_20170819_021916
樹木根の損傷
 
 
Img_20170819_022252
樹木根の損傷と歩道の複線化
 
 
 樹林帯を抜け出たところに出現する小富士は不思議な場所だ。火口跡が分からず、側火山なのか確証がない。昭和期の地質学者、津屋弘逵さんは、小富士を寄生火山(側火山)として認め、次のように記している。

「また噴石丘としての原型がもっともひどく失われた寄生火山は須走口二・五合にある小富士である。(略)その頂上にもとの火口の跡らしい浅い凹地があり、付近に多数の火山弾が散在するので、寄生火山の残部であることはたしかで、筆者はもっと古い時代のものではないかという疑問をもつ。その火山弾は富士山のほかの火口からの噴出物とはまったく違う岩質のものが多く、むしろ古富士の凝灰角礫岩中の岩片に似るものがあるからである」(『富士山 富士山総合学術調査報告書』,1971年)
 
 昨年刊行された「富士火山地質図(第2版)」では、小富士周辺は約10万年前から約1万5千年前の未区分星山(ほしやま)期噴出物とされている。つまり、「小富士」は津屋さんがいう「古富士の一部」であり、現在の火山体(新富士)から突出している部分と考えられる。航空レーザ計測データから作成した微地形表現図、「静岡県CS立体図」(1mメッシュ)では、頂上にもとの火口の跡らしい浅い凹地は確認できない。
 
 
20170819kofuji
小富士付近。「富士火山地質図(第2版)」と「静岡県CS立体図」を合成
 
 
 津屋さんの調査から数十年の経過で、さらに原型がひどく失われたのかもしれない。来訪者の増加と、小富士の山頂手前にある、富士山の自然環境には不似合いな大きな石積み(津屋さんが言う多数の火山弾を集めてきたケルン?)も気になるところだ。

 
  小富士の山頂付近に、比較的広い(直径約10m程度)植生パッチがある。周囲をロープで囲んだそのパッチで、ナナカマド、ゴヨウマツ、カラマツ、ミヤマヤナギ、ミヤマハンノキ、コメツガ、キオン、ハナヒリノキ、カリヤスモドキ、ミヤマニンジン、アキノキリンソウ、コタヌキラン、シロバナヘビイチゴ、シモツケを観察した。この大きなパッチ以外には、大きくても直径1m程度の植生パッチが若干数見られた。大切にしていきたい。
 
 
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小富士山頂付近の植生パッチ

 

 今日も、富士山エコレンジャーやエコサポーターの仲間と自然環境保全のボランティア活動に楽しく取り組んだ。

Img_20170819_023902

 
 

ゴミ回収 3個 ゴミ収集記録(調査票に対応)
1.紙 2     (7)紙片 2
8.布 1     (4)その他 1


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2017年8月 8日 (火)

活動報告 2017-06 日沢の侵食が進む

活動日時  2017年(平成29年)8月3日(木)8:00 - 16:00 
活動区域  高鉢→宝永遊歩道→御殿庭→ガラン沢→高鉢
天候     小雨
参考     山頂(8時) 気温 6.6゜C、日照時間 1.0h、湿度91%、648.1hPa
 
 
 
 富士山南麓は宝永火口や黒塚など数多くの側火山があり、崩れやすい。
 
 
Img20170807080227529
富士山南麓の側火山群 火山土地条件図 黄色の線は今回の環境パトロール・コース
 
 
 
 富士市と富士宮市との境界近くを下る日沢の侵食が進んでいる。7月8日の合同活動・研修の環境パトロール時に、宝永遊歩道を横断する(標高2,495m、2,370m)日沢の様子を見たとき、例年以上に侵食が進んでいた。

P1140411
2017/7/8 上部宝永遊歩道、標高2,495m

 

P1140413
同地点 日沢上流方向
 
 
 
P1140412
同地点 日沢下流方向
 
 
 
P1140442
2017/7/8 下部宝永遊歩道、標高2,370mから上流方向
 
 

Imgp5132
2017/8/3 同地点から見下ろした日沢
 
 
 
Img_7278
同地点 2005/7/10
 
 
 
 標高2,000m付近の歩道が日沢を横断する地点でも岩が流され、土砂が堆積している。
 
 
 
Imgp5065
2017/8/3 標高2,000m付近の日沢
 
 
 
P1040556
同地点 2011/6/7
 
 
 
Imgp5073
2017/8/3 日沢横断地点から下流方向、岩が流出し、土石が堆積している。
 
 
 
P1050609
2007/6/9 同地点から下流方向。スラッシュ雪崩のときは、周囲の樹々もなぎ倒している。
 
 
 
Imgp5068
2017/8/3 同地点 親切に注意掲示があったが、上流の岩棚など不明確で迷った。
 
 
 
Imgp5067
2017/8/3 同地点 周囲に多数のテープ・マーキング。意図が分かりづらい。
 
 
 

 標高1700m付近でガラン沢ハイキング・コースが日沢を横切る地点でも土石流の影響が見られた。
 
 
 
Imgp5193
2017/8/3 ガラン沢コースが横断する日沢上流方向
 
 

Imgp5194
同 東方向
 
 
 

 小雨の中の環境パトロールでも、菌類やギンリョウソウが愉しませてくれた。
 
 
 
Imgp0009
 
 
 
Imgp0023
 
 
 
Imgp0027
 
 
 
Imgp0014
 
 
 
 
 
ゴミ回収 125個 (ゴミ収集記録(調査票に対応)
2.布 5        (4)その他 5           
3.プラスティック 6  (3)菓子容器 2 (5)破片 4
5.ビニール 111   (3)紐 111
6.鉄 3        (2)アルミ飲料缶 3


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2017年7月23日 (日)

活動報告 2017-05 富士山南麓側火山エリアの環境パトロール

活動日時  2017年(平成29年)7月15日(土)8:30 - 17:00 
活動区域  水ヶ塚→御胎内→御殿庭上(宝永第三火口)→御殿庭下→水ヶ塚
天候     晴
参考     山頂(8時) 気温 10.9゜C、日照時間 1.0h、湿度8%、651.9hPa
       

 夏山開山後の富士山自然休養林を仲間の富士山エコレンジャーと環境パトロールした。富士山南麓は宝永火口や黒塚など数多くの側火山があり、その歩道や周辺は変化に富んだ自然環境の反面、崩れやすく、今回の環境パトロールでも、歩道の拡幅、複線化、樹木根の損傷など荒廃箇所が多かった。
 
 
201707115map
(図 歩道荒廃箇所 地理院地図 青色の線は今回の環境パトロール・コース)
 
 
 
201707153
(図 富士山南麓の側火山群 火山土地条件図 黄色の線は今回の環境パトロール・コース)
 
 
 
 
須山口下山歩道の水ヶ塚・御胎内区間

 須山口登山道入口には、外来種防除マットが置かれており、行き帰りに靴についた種子を取り払った。入口のミズナラは、まだ、実が小さく観察できない。不作なら秋のツキノワグマの行動に影響が出るかもしれない。
 
 
P1140473
(須山口登山道入口に置かれた外来種防除マット)
 
 
 
P1140477
(入口のミズナラ、実は確認できなかった)
 
 
 
P1140483
(人慣れして逃げないニホンジカ) 
 
 
 
P1140485
(富士山麓西側に多いイラモミ)
 
 
 
 
須山口下山歩道の御胎内・幕岩上区間(世界遺産)
 
 世界遺産に登録された御胎内から幕岩上までの区間で歩道の荒廃が顕著だ。歩道の侵食が酷く、荒廃部分を避けるためか、複線化している箇所が多い。複線化により登山道の経路が変化している。トレイルランナー二人に出あった。
 
 
①歩道荒廃 侵食と複線化 (ルート図で位置を示す)
 
P1140502
(通過しづらい東側の歩道を避け西側に新たな踏跡)
 
 
 
P1140507
(西側の歩きにくい土留木道を避け東側に新たな歩道)
 
 
②歩道荒廃 侵食と複線化 この部分は2013年のUTMFで、1,800人のランナーが通過し荒廃した。
 
P1140526
(現状 須山口下山歩道1.5合 複線化部分の樹木根の損傷)
 
 
P1030822
(同地点 2013/8撮影 UTMF2013で通過。直進し複線化した歩道の4ヶ月後 )
 
 
 
P1140536
(複線化部分の路肩が崩れる)
 
 

P1140554
(歩行者の右側が本来の歩道。新たに直進の歩道ができ複線化)
 
 
 
P1140545
(現状 侵食が進み根の損傷が酷い)
 
 
P1030847
(同地点 2013/8撮影 UTMF2013実施4ヶ月後)
 
 
 
P1140567
(現状 UTMF2013で直進し、複線化した場所の根損傷)
 
 
P1030862
(同地点 2013/8撮影 UTMF2013で直進し複線化した4ヶ月後)
 
 
 
P1140571
(歩道拡幅と樹木根の露出・損傷)
 
 
 
 
自然休養林ハイキングコース(H)の三辻・御殿庭入口・御殿庭上(宝永第三火口)区間
 
 この区間も元々の歩道は侵食が進み、それを避けて複線化がみられる。また、歩道の拡幅、樹木根の露出・損傷も見られる。

 「御殿庭」は、風衝樹形のカラマツやコケモモが咲き乱れる自然の庭園として親しまれている。しかし、宝永第三火口脇の御殿庭上には、大きな石に「ごてんにわ」と白いペンキで無造作に書かれた跡が今も残り、折角の自然景観を損ねている。また、宝永第三火口底の樹木は11年の歳月とともに成長している。
 
 
③歩道荒廃
 
P1140613
(歩道の侵食と複線化)
 
 
 
P1140614
(侵食と樹木根の露出・損傷)
 
 
 
P1140619
(現状 手前は手書き標識、第三火口底の樹木は成長)
 
 
P1010642
(同地点 2006/9撮影 )
 
 
 
 御殿庭上で休憩中、続々とトレイルランナーが登ってきた。その数およそ20人。休憩中の会話では、宝永山まで行くらしい。休憩後、傾斜地のずり落ちやすい歩道を走ったり、歩いたりしながら、集団でさらに登っていった。先頭は、UTMF実行委員会委員長の鏑木さんだ。トレイラン教室のようだ。今見てきたように、荒廃がひどいこの区間では、トレイルランの集団走行は歩道への影響が懸念される。
 
 
 
P1140624
(続々と現れたトレイル・ランナー 御殿庭上)
 
 
 
P1140643
(鏑木さんを先頭に走るトレイルラン集団)
 
 
 
 
須山口登山歩道の御殿庭中・御殿庭下・1.5合目区間
 
 この区間は、富士山休養林ハイキングマップに『注意! 雨水などの影響により路面がえぐれています。十分にご注意ください』と記載されているように、火山堆積物上の土壌層は浅く、自然侵食の速度が著しい。また、過去に、500人規模のガイドレス・ハイキング・ツアーなどが行われたこともあり、人為的影響も大きいと懸念される。
 
 
④歩道荒廃
 
P1140704
(現状 自然侵食が進み、侵食箇所が拡がった)
 
 
P1040912
(同地点 2013/8撮影)
 
 
P1000612
(同地点 2012/9撮影)
 
 
 
P1040382
(同地点 2011/5撮影)
 
 
 
P1140693
(現状 規制ロープを付け替え西側へ誘導)
 
 
 
P1010096
(同地点 2011/9撮影 ロープに沿い樹木根を損傷)
 
 
 
 御殿庭周辺では、過去、各種団体による独自の標識が乱立し、私的なマーキングが数多く見られが、2011年、自然休養林保護管理協議会により地名や表示が統一され、公共標識が設置された。分岐やビュー・ポイントには標識や案内板があり、補助標識も多い。
 
 しかし、御殿庭入口から須山口登山歩道1.5合目区間では、相変わらず、ビニールテープやPPテープなどの私的なマーキングが数メートル間隔で異常に多く付けられたり、ご丁寧に公共標識にまで私的なマーキングが付けられていた。誰が何のために付けたか分らない私的なマーキングは、来訪者を登山道外の場所へ誘導し安全を損ねたり、歩道の複線化を促す場合もある。赤やピンクやキラキラ光るテープは自然の景観を台無しにするときがある。また、PPテープが解(ほつ)れて樹木の枝を損傷したり、幹に食い込んだり、野鳥など生態系への悪影響がある。
 
 現在は標識が整い、踏み跡もしっかりしている歩道に私的なマーキングをつける理由が分らない。何らかのイベント・コース用かもしれない。出会った来訪者の方と会話してみた。「私的なマーキングは安全のために、必要ではないか?」という方がいたので、「どこへ誘導しているのか分からず、連絡先も無いようなマーキングは、最近、話題になっている須走口の登山道外へ誘導するペンキの矢印と同様に、安全を損なう恐れがある。生態系への影響もある」と説明し、納得いただいた。


P1140714
(解れて枝に絡みつく私的マーキング)
 
 
 
P1140716
(ビニール・テープが幹に食い込んでいる)
 
 
 
 
須山口登山歩道の1.5合目・水ヶ塚区間
 
 5年前と比べて、遊歩道周辺のスズタケがほとんど無くなり、見通しの良い森となった。ニホンジカの樹皮はぎによって枯れた、ウラジロモミなどの危険な大径木(枯損木)は、調査に基づき、2年前に伐倒されている。
 
 
P1140732
(現状 切り倒されたウラジロモミ。見通しが良い)
 
 
P1000415
 (同地点 2012/9撮影 スズタケで見通せない)
 
 
 
 この区間は2013年のUTMFで使用された。国有林内の歩道や複線化部分を約1,800人のランナーが通過し、荒廃地点が確認されている。この富士山南麓特有の脆弱な環境では、一旦荒廃すると歩道の侵食が驚くほど早く進行していることを痛感した。
 
 
P1140741
(現状 土壌侵食と踏み着けで根が浮き上がり、損傷)
 
 
P1040883
(同地点 2013/8撮影 UTMF通過4ヶ月後)
 
 
 
 2013年の私達の環境調査地点では、複線部分の荒廃箇所が崩れ、樹木が倒れた。
 
 
 

(4年間の経過) 
 
 
P1140760
(現状 UTMF2013の私達の調査地点)
 
 
P1030171
(同地点 2013/4撮影 UTMF右側複線部分の通過直後)
 
 
 
P1140771
(現状 写真上の奥の斜めに倒れている木の根本)
 
 
 
P1040860
(同地点 2013/8撮影 UTMF通過4ヶ月後)
 
 
 
 
ゴミ回収 441個 ゴミ収集記録(調査票に対応)
 
1.紙 4          (5)タバコ吸殻 1 (7)紙片 3
2.布 4          (3)切れ端 1 (4)その他 3           
3.プラスティック 20   (1)ペットボトル 2 (3)菓子容器 9 (5)破片 8 (6)その他 1
5.ビニール 408    (3)紐 408
6.鉄 2          (2)飲料缶 2
7.ガラス 1       (3)破片 1
8.ゴム 2        (3)加工付属品 1  (5)その他 1


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2017年7月11日 (火)

活動報告 2017-04 富士宮口合同環境パトロール

活動日時  2017年(平成29年)7月8日(土)9:00 - 13:30 
活動区域  富士宮口五合目→富士宮口六合目→宝永第一火口→富士宮口五合目
天候     曇り
参考     山頂(10時) 気温 8.4゜C、日照時間 1.0h、湿度51%、649.9hPa
        河口湖上空3km NNW 4m/s(9時)
 
 
 
 梅雨の晴れ間の富士山。夏山シーズン到来。
 
P1140389
(南東側の御殿場市より)
 
 
 
 この時期、静岡県側の富士宮口では、マイカー規制直前の休日は来訪者が多く、今年も駐車場をあふれた車が多い。
 

P1140400
(午前10時前で富士宮口新五合目のループから約1300mの道路)
 
 
 
 夏山の準備は着々と進んでいる。昨年から整備された外来種の侵入防止マットも、バス乗り場や、登山口に置かれている。一週間に一度は、落とされた"種"を回収するそうだ。
 
 
P1140403
(外来種の侵入防止マット)
 
 
 
 今年は自然の侵食が目立つ。思わぬ所で影響が出てくるかもしれない。
 
 
P1140411
(新六合目から宝永火口へ向かう途中。日沢)
 
 
 
P1140416
(宝永第一火口から第二火口への斜面。ガリーが発達したように見える)
 
 
P1100029
(同地点、昨年、2016年9月)
 
 
P1140421
(宝永第一火口底へ向かい、間近で眺める。確かに深い)
 
 

 出会った来訪者二組に「宝永第一火口で、今日、落石があった」と教えてもらった。落石は噴火丘まで来たそうだ。ロープを越えて近づくのは危険。宝永火口の落石を体験した人は、決して入り込まない。
 
  
P1140427
 
 
 
 休憩場所近くに野外排泄の跡がある。宝永山周辺でもみかける。付近にトイレはない。計画的に小屋のトイレで用を足し、携帯トイレを持参しよう。
 
 
P1140423
(野外排泄の跡) 
 
 
 昨年と同様、宝永火口から新五合目へ抜ける宝永遊歩道には「クマに注意}の掲示がある。一般的には標高2,400m付近はツキノワグマの生息域とは思えないが、生態系が変化しているのかもしれない。注意するに越したことはない。
 
 
P1140435
(「クマに注意}の掲示)
 
 
 
 ここは人気のコースで来訪者が耐えない。遊歩道の複線化や損傷の補修が追いつかない。歩道路面の凹凸に注意したい。ストックには必ずキャップをして、植生や路面を守ろう。
 
 

P1140440
(どこが歩道か不明瞭な複線化)
 
 
P1140445
(樹木の根が損傷し、路面もあれている)
 
 

 マナーガイド『富士山へ登る人のために』(日本語、英語、ポルトガル語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)に対応)が六合目レストハウスに置いてあった。ネットで検索すれば、事前にダウンロードできる。各登山ルートの所要時間や山小屋の電話番号、いざという時の連絡先も紹介している。シャトルバスで新五合目(標高約2,400m)に到着したら、直ぐに登らず、1、2時間、身体を高度に慣らしたほうがよい。そんなとき、一読してほしい。
 
 
Photo
(マナーガイド『富士山へ登る人のために』)
 
 
 今年は「登山道の混雑情報」もある。詳しくは富士登山オフィシャルサイトで。混雑する時期、時間を避け、富士山の自然を満喫してほしい。そして、このかけがえのない富士山の自然を次の世代に伝えていくため、ほんの少し、できる範囲で、自然を大切にするマナーに、ご協力いただければありがたい。
 
 
Photo_2
(「登山道の混雑情報」) 
 
 
 今年から新たに富士山エコサポーターの皆さんが、エコレンジャー活動に参画してくれる。笑顔の仲間が増えて心強い。
 
 
P1140463
 (水が塚駐車場にて)
 
 

 ゴミ回収 15個 ゴミ収集記録(調査票に対応)
1.紙 6          (5)タバコ吸殻 4          (7)紙片 2
3.プラスティック 4   (3)菓子容器 2           (5)破片 2
6.鉄 2          (2)飲料缶 2
8.ゴム 2         (5)その他 2
9.木 1          (3)その他 1
 
 
 

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2017年7月 7日 (金)

活動報告 2017-03 黒塚・須山口 環境パトロール

活動日時  2017年(平成29年)6月30日(金)13:30 - 17:30 
活動区域  須山口弁当場→黒塚→涸沢出口→フジバラ平→須山口弁当場
天候     小雨、曇り
       
参考     山頂(14時) 気温 4.4゜C、湿度 100%、気圧 645.4hPa
 
 
 出発地の弁当場近くで、6月18日にツキノワグマが目撃され、裾野市より注意情報が出されている。ツキノワグマとの不意の遭遇を避けるため、熊鈴を携行し、時折、大声をだしながら歩いた。また、トウガラシ・スプレイも携行し、お互いにとって不幸な遭遇に備えた。2016年ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)調査区間(下図、区間⑦~区間⑥)のレース実施9ヶ月後の様子を観察し、ビデオと写真で記録した(7回目の2016年植生保全環境調査)。
 
 
20170630
(図 今回の環境パトロール(黄色)。区間はUTMF2016調査区間、背景は静岡県CS立体図、番号は荒廃位置)
 
 
 -梅雨の雨季に入り、レースに使用された歩道では、復旧作業の実施いかんにかかわらず、降雨よる侵食が起きていることを確認した。また、調査区間外の崩壊地では、崩落や土砂の移動による倒木が見られた。
 
 -大調整池やフジバラ平周辺では、大量の外来種ハルザキヤマガラシの結実が見られた。
 
 -本年2月以降の生き物記録では、ニホンジカが大多数を占め、6月に誕生したばかりの当歳子が記録された。また、キツネやアナグマ、テン、ノウサギが撮影されていた。
 
 -須山口登山歩道では、4月以降、来訪者が増加している。レース実施時にスリップが多発した崩壊崖上の狭い歩道地点は、未だに復旧作業が行われていない。来訪者が注意しながら通過する様子も記録されていた。
 
 
 
1. ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)2016植生保全環境調査(通過9ヶ月後)
 
 黒塚・須山口登山歩道の自然環境を一口でいえば、「脆弱」という言葉が当てはまる。側火山堆積物や土壌が浅く崩れやすい地質、大半が10°を超える急傾斜地の地形、過去30年間の年平均雨量が3,000mmから3,500mmの多雨な気象、その降雨や凍結・融解による土壌侵食。そうした自然条件から調査区間全域にわたり土石流危険区域に指定され、災害発生が危惧されている。

 
区間⑦(別荘地東の鉄塔から、黒塚の上りにかかる鉄塔まで)

 過去4回利用された歩道。荒廃後の主催者による歩道表層の修復作業が行われたものの、冬シーズンの降雨や凍結融解、梅雨の降雨により、2016年のレース前より歩道表層の侵食が進み、根の露出が見られる。
 
702520160922
(区間⑦-1 2016/9/22 大規模レース実施前 )
 
 
702520160924
(区間⑦-1 2016/9/24 雨天通過直後)
 
 
702520170630
(区間⑦-1 2017/6/30 2016レース前より侵食進む)
 
 
 
区間③(黒塚鉄塔から、放射谷群南端まで上り斜面) [主催者追い越し禁止区間]
 
 黒塚の急斜面を直線的に上るこの区間は、従来、演習地との境界として管理され、来訪者は少ない。2015年よりコース利用され、酷い荒廃が発生したため、主催者は土砂移動対策として新たに木道(丸太階段)を設置した。2016年のレースでも、再び酷い荒廃がおき、レース後に新たに木道が加えられた。今回、斜面の下の木道部分では、上部からの土砂流出により、丸太が一部埋まったり、縦杭が流出している箇所が見られた。
 
306520170221
(区間③-1 2017/2/21 レース後設置の丸太階段)
 
 
306520170630
(区間③-1 2017/2/21 上部侵食に土砂移動)
 
 
 
区間④(放射谷群南端からフジバラ平まで主として下り斜面) [主催者追い越し禁止区間]

 黒塚の急斜面を直線的に下るこの区間は、侵食により側火山の山腹に多くの放射谷が形成され、人為的な負荷が無くても、土砂流出などの災害が危惧されている。従来、この斜面は演習地との境界として管理され、来訪者は少なく、境界面は、ほぼ平坦であった。
 
 2015年レース以降、大規模ランナーの負荷により荒廃がおこり、平坦な境界面に凹状の跡ができ、多雨や凍結・融解によって侵食がすすんだ。2015年レースによる荒廃確認調査をした主催者は、上り斜面とは異なり、下り斜面では、木道設置原因による侵食の恐れがあるとし、丸太階段は最小限に留められた。

 2016年も大雨の中で調査区間をコース利用し、路面破壊がさらに進み、樹木の根の露出が著しかった。調査区間では、2015年、ランナーが荒廃箇所を回避したり、追い越すために歩道外に踏み込み、貴重な植生を損傷した。2016年には、歩道の拡幅、植生損傷を避けるため、ガイド・ロープが張られ、大規模な負荷が脆弱な歩道に集中し、歩道表層の破壊、樹木根の損傷を起こし、斜面の侵食をすすめている。
 
 2017年5月、主催者は木道設置原因による侵食の恐れがあるとしながらも、下り斜面に新たな木道(丸太階段)を設置した。
 
4xx320170221
(区間④-1 2017/2/21 下り斜面、根の露出)
 
 
4xx320170630
(区間④-1 2017/6/30 急傾斜地に丸太階段設置)
 
 
4xx420170221
(区間④-1 2017/2/21 下り斜面、根の露出)
 
 
4xx420170630
(区間④-1 2017/6/30 復旧作業後、侵食がすすむ)
 
 
4xx520170221
(区間④-2 2017/2/21 大きな段差の木段)
 
 
4xx520170630
(区間④-2 2017/6/30 復旧なく、侵食がすすむ)
 
 
4xx720170221
(区間④-3 2017/2/21 樹木根の損傷、土壌侵食)
 
 
4xx720170630
(区間④-3 2017/6/30 侵食がすすみ根の露出大)
 
 
4xx820170221
(区間④-4 2017/2/21 丸太階段下の侵食)
 
 
4xx820170630
(区間④-4 2017/6/30 侵食がすすみ根の露出大)
 
 
 
区間⑤(フジバラ平から崩壊崖の狭い歩道まで) [主催者追い越し禁止区間] 
 
 5回連続使用されたこの区間は、2016年の大規模トレイルラン・レースでは、緩傾斜地でも歩道の土壌表層破壊(エグレ)、泥濘化、拡幅、複線化が見られ、植生損傷も著しかった。90件以上のスリップを起こした地点では、未だに登山歩道の修復が行わている様子はなく、梅雨シーズンの雨で侵食が進んでいる。
 
 
P1110941
(区間⑤-1 2016/10/26 スリップ多発地点)  
 
 
Imgp4648
(区間⑤-1 2017/6/30 侵食がすすむ)
 

 崩壊崖上の狭い歩道地点の現状では、来訪者は、この地点の通過に際し、崖下への転落を避けるため、根を摑むなど安全に注意して通過している(同様な通過が8件記録されている)。大規模イベントの影響で、須山口登山歩道の来訪者の安全が損なわれたままだ。
 

Photo_2
 
 
  
区間⑥(崩壊崖の狭い歩道から涸沢出口まで) [主催者追い越し禁止区間]
 
 5回連続使用されたこの区間は、2016年の大規模トレイルラン・レースでは、コースの涸沢が増水、濁流となり、一時、通過できなくなった。数百人規模の渋滞、滞留が発生し、歩道の複線化、植生損傷などが見られた。梅雨シーズンの降雨で人工斜面の侵食が進み、歩道の陥没や倒木が発生した。
 
P1100103
(⑥-1 2016/9/25 レース実施直後)
 
 
Imgp4615
(⑥-1 2017/6/30 陥没、枝を挿入し通行禁止状態)
 
 
P1110891
(⑥-2 2016/10/26 レース実施後、根の踏みつけ)
 
 
Imgp4608
(⑥-2 2017/6/30  根返り倒木)
 
 
 
●環境省のモニタリング・ガイドライン
  
 2017年3月に公開された環境省の「国立公園内で開催されるトレイルランニング大会等におけるモニタリングの手引き」では、トレイルランニングの影響が出やすい箇所を取り上げている。

a.コースから外すべき区間とされている地点
b.歩道の幅員が狭い地点(手前の幅員が広く、急に狭くなる地点)
c.路面にぬかるみが生じている地点・雨天時にぬかるみが生じやすい地点
d.洗掘が生じている地点
e.傾斜がある地点(コースの進行方向に対して下っている地点)
f.下り方向のカーブや緩やかなカーブが連続する地点・開けて見通しがよい地点
g.木製等の階段が設置されている地点(特に下り方向で使われる場合)
h.路面上に樹木の根が張り出している(露出根のある)地点
i.樹木の枝がコース上に張り出している地点
j.希少な植生や動物が確認されている地点
k.登山道が不明瞭な地点

 この中で、黒塚・須山口登山歩道はa、b、c、d、e、g、h、j、kの箇所に該当する(太字は筆者による)。特に過去、調査区間で脆弱な急斜面に木道(丸太階段)を設置し、木道や歩道表層を破壊し、樹木根を損傷した実例という観点からみると、c、d、e、g、hが注意箇所となる。

 環境省のホームページには、このガイドラインを作成に関わった有識者として主催者実行委員会の下記役員の方が参画していると紹介されている

  千葉 達雄 NPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部・事務局長 (実行委員会事務局長)
  村越  真  静岡大学 学術院教育学領域 教授 (実行委員会副委員長)

 主催者の環境調査も担当し、発生しやすい荒廃箇所の知見もあり、実際の観察もされている。この区間の迂回を是非、実現して欲しい。
 
 
 黒塚・須山口登山歩道区間は迂回策も採られないまま、雨天に強行され、1,000人を上回るランナーにより利用された。この大規模な負荷には、主催者による木道(丸太階段)設置は逆効果となり、結果的に荒廃の拡大、激甚化を招いている。過去5年のモニタリング結果は、今後とも、同様な対応を続けた場合、公共の歩道が廃道になることを教えている。
 
 自然環境への負荷を低減し、来訪者の安全を確保するためには、気象にかかわらず、過剰な負荷に耐えるよう、歩道の支持力を大幅に増す根本的な土木工事対策(コンクリートによる路体補強や舗装など)が必要だ。ただし、自然環境利用の経済性を考えただけでも、その実現には極めて高いハードルがある。

 大規模トレイルラン・レースのコース選定で、「脆弱」な富士山南麓の側火山エリアの自然豊かな歩道を迂回することが、現実的で可能な解決法だ。

 
 
調査区間外での荒廃状況
 
 2012年に使用された崩壊地上のコース(第二崩壊地、現在は立ち入りできない)では、崩落が進んだ。2012年から2013年、2014年と利用された崩壊地のコース(第三崩壊地)では、歩道脇の樹木が倒れた。 

P1130472
(第二崩壊地 崩壊崖上の旧歩道 2017/4/28)
 
 
Imgp4624
(同地点 2017/6/30 右下の崖が崩落)
 
 
Imgp4763
(第三崩壊地の樹木根返り 2017/6/30)
 
 
Imgp4770
(同地点 2017/6/30 倒木斜面上部は送電線のため伐採)
 
 
 
2. 外来種繁殖状況
 
 毎年のように須山口登山歩道周辺で外来種のハルザキヤマガラシ(要注意外来生物 類型2)の繁殖が確認されている。今回もハルザキヤマガラシが多数結実しているのをみた。フジバラ平調整池周辺、大調整池東側の人工斜面歩道の周辺に多く見られる。
 
 
Imgp4707
(フジバラ平調整池水際 2017/6/30 )
 
 
Imgp4604
(大調整池東側のコースとなる歩道 2017/6/30 )
 
 
 
3. 野生動物通過の記録(上り、下りの合計)

 
 2017年2月~同6月では、ニホンジカ、今年誕生したニホンジカ、キツネ、テン、ニホンアナグマ、ノウサギが通過。ニホンジカが撮影の殆ど占めている。
 

Photo_4
 
 

Photo_5
(ニホンジカ)
 
 
Photo_6
(ニホンジカ メス成獣と当歳子)
 
 
Photo_7
(キツネ)  
 
 
Photo_8
(テン)
 
 
Photo_9
(ニホンアナグマ)
 
 
Photo_10
(ノウサギ)
 
 
 
4. ゴミ回収 35個 ゴミ収集記録(調査票に対応)
1.紙 3              (7)紙片 3
3.プラスティック 27      (3)菓子容器 10   (5)破片 15     (6)その他 2
5.ビニール 3          (2)袋 1        (4)紐 2
6.鉄 2              (2)飲料缶 2
 
 

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2017年5月 7日 (日)

活動報告 2017-02 黒塚・須山口 環境パトロール

活動日時  2017年(平成29年)4月28日(金)10:00 - 15:00 
活動区域  水が塚~フジバラ平~黒塚中腹~須山口弁当場
天候     曇り
       
参考     山頂(10時) 気温 -12.4゜C、湿度48%、630.2hPa
 
 
 
 水ヶ塚駐車場(標高1,450m)から、フジバラ平(同1,155m)、黒塚中腹(同1,193m)を経て須山口弁当場(標高1,009m)までの須山口登山歩道・黒塚を環境パトロールした。
  この区間は、過去5回の大規模トレイルラン・レースのうち、少ない所で1回、多いところでは5回利用され、歩道やその周辺環境に荒廃がみられ、通行が困難な場所もある。また、樹皮はぎなどのシカ食害が目立ち、シカの増加により土壌侵食もすすんでいる。
 
 
20170428mapnew
(図 赤点線が行程。青吹き出しは歩道の土壌支持力計測地点。黄楕円はシカ樹皮はぎが目立ったエリア)
 
 
 
P1130398
(環境パトロール参加者 水ヶ塚にて)
 
 
P1130496
(来訪者との交流  フジバラ平にて)
 
 
 歩道や周辺環境の保全、来訪者の安全確保のためと思われる枯れ枝の積み上げによる通行止めが、水源地上の歩道下り口に設置されていた。
 
 
P1130401
(2017/4/2 水源地上の歩道降り口 通行止めの樹木ブロック)
 
 
 
歩道や周辺自然環境の荒廃
 
 2012年から5回利用された歩道区間では、激しい荒廃となっており、崩壊が続く崖上のランナーのスリップ多発地点など一部では、気象条件により通過が困難な状態となり、来訪者の安全が損なわれている。4回利用された小沢では、歩道の複線化がつながり大きく植生が損なわれている。2012年から3回利用され、ホースの露出が顕になった緩傾斜の歩道では、一旦ミズ道化されると、利用されなくても、侵食が進む様子が毎年のモニタリングで明確になった。2015年、2016年と雨天の中で利用された黒塚北側下り急斜面では、土壌を支えている根の露出、損傷が激しく、今後さらに侵食が進むと思われる。2012年または2013年に1回のみ使用された歩道は、通過によって歩道が崩落し、通過困難になったり、崩落崖の崩落が進み立ち入り禁止となっている。
 
 
●5回、毎年(2012年、2013年、2014年、2015年、2016年)利用された歩道

 5年間毎年の利用で、深い崩壊崖上の狭い歩道で、気象条件によっては歩行が困難になった箇所が見られる。
 
P1130487
(2017/4/2  2016年大会のスリップ多発地点)
 
 
P1130489
(2017/4/28 狭い歩道 5回目通過7ヶ月後)
 
 
●4回(2012年、2013年、2014年、2016年)利用された歩道

P1130498
(小沢 2017/4/28 4回目通過7ヶ月後)
 
 
●3回(2012年、2013年、2014年)利用された歩道
 
 大規模トレイルラン・レースによる歩道表層の破壊、固結化とその後の降雨により歩道表層が侵食され、埋設されていたホースが露出した。2015年、2016年は利用されなかったが侵食がすすんでいる。通過時が雨天でなくても、多雨環境で軟弱な歩道で荒廃が進んだ。
 
F20120520p1050725
(ホース埋設斜面2012/5/25初通過後、ホース未露出)
 
 
F20130428p1020993
(同反方向から 2013/4/28 2回目通過後、部分露出)
 
 
F20140426p1070150
(同 2014/4/26 3回目通過直後、露出進む)
 
 
F20150422
(同 2015/4/22 4回目未使用、降雨による侵食)
 
 
F20160730_384_659
(同 2016/7/30 未使用、降雨による侵食)
 
 
P1130431
(同 2017/4/28 5回目未使用、降雨による侵食)
 
 
P1130425
(同 2017/4/28 ホースの下まで激しい侵食) 
 
 
P1130427
(同 2017/4/28 土壌支持力測定で8.3mmと軟弱)
 
 
●2回(2015年、2016年)利用された歩道

 4回目以降、新たにコースとされた黒塚の歩道。特に北側の下り傾斜で利用された区間は、雨天での利用も重なり、歩道表層の破壊、樹木の根損傷が多く、今後の侵食加速が懸念される。
 
P1130501
(黒塚北側下り斜面 2017/4/28 2回目通過7ヶ月後)
 
 
P1130504
(黒塚北側下り斜面 2017/4/28 2回目通過7ヶ月後)
 
 
P1130507
(黒塚北側下り斜面 2017/4/28 2回目通過7ヶ月後) 
 
 
●1回(2012年または2013年または2016年)利用した歩道
 
 1回の利用でも、雨が多く軟弱な歩道では侵食が加速している。
 
P1130404
(水源地下の配水管設備脇 2017/4/28 パイプ損傷)
 
 
P1130472
(崩壊崖上の旧歩道 2017/4/28 崩落が進み立入禁止)
 
 
P1130500
(黒塚北側下り斜面 2017/4/28 1回目通過7ヶ月後)
 
 
 
歩道の支持力
 
 黒塚・須山口登山歩道の現状歩道支持力を山中式土壌硬度計で計測した(計測地点は冒頭の図参照)。結果は土壌硬度平均10.8mm。2016年大規模レース直前の値(平均9.6mm)よりは1割強大きい。とは言え、2016年測定時が9月で雨天であったことを考慮すれば、黒塚・須山口登山歩道は年間を通じて軟弱な状態であると言える。
 激甚化してきたことを記録してきたこの歩道は、現状の歩道支持力である限り、大規模な負荷に耐えられない。
 
 


Soil
(図 歩道支持力の判定 赤のエリアはモニタリングから荒廃が発生した支持力の範囲)
 
 
  
20170428
(2017年4月の土壌支持力 山中式土壌硬度計mm)
 
 
 
ニホンジカの食害
 
 ニホンジカの食害と思われる樹木の樹皮剥ぎが、冒頭の図、黄丸箇所で集中的に見られた。昨年2月は、フジバラ平の北側やゴルフ場東側で多くの食害が見られたが、今シーズンさらに増加したようだ。樹種は、キハダが多く、ミズキなどの広葉樹、ヒノキやウラジロモミなどの針葉樹にみられた。 食害にあったミズキが、樹皮はぎされた箇所から菌糸類の侵入したためか折れて歩道を塞いでいる箇所があった。
 ササ類スズタケの枯れが目立ち、今までになく林床の見通しがよい。
 
P1130413
(2017/4/28 樹皮はぎ) 
 
 
P1130442
(2017/4/28 樹皮はぎ) 
 
 
P1130450
(2017/4/28 ササ類の枯れが目立つ) 
 
 
P1130416
(2017/4/28 樹皮はぎ部分から折れ歩道を塞ぐミズキ)
  
  
 
ゴミ回収 15個 ゴミ収集記録(調査票に対応)
 
  1.紙 1 (5)タバコ吸い殻 1
  3.プラスティック 7 (1)ペットボトル 1 (3)菓子容器 6
  5.ビニール 2 (4)破片 2
  6.鉄 5 (2)飲料缶 5

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2017年4月19日 (水)

富士山南麓 「黒塚・須山口登山歩道」 モニタリング活動から

 富士山南麓の生態系ホットスポットと呼ばれ、みんなが大切にしている公共の歩道やその周辺自然環境が、特定の大規模イベントの影響で荒廃してきた。その荒廃は年々拡大し、激甚化していることが、この5年間のモニタリングで明らかになってきた。

 
Photo
(富士山南麓のコースは年間を通じて雨が多く、とりわけ、側火山エリアは傾斜が急で、崩れやすい火山堆積物で覆われている脆弱な場所だ。北麓側は南麓に比べて雨は少なく、コースは富士山本体の側火山エリアにまで入り込んでいない)
 
    

2016cs2
(黒塚・須山口登山歩道。黄線はコース一部の2016年調査区間。出典は静岡県CS立体図。赤い部分は凸部、青い部分は凹部、地形図では分かりにくい微地形が表現されている。黒塚側火山の侵食が進む放射谷群や同じく北黒塚側火山の崩壊崖上の狭い歩道がコースになっている)
 
 
 
 まず、「2016年ウルトラトレイル・マウントフジ植生保全環境調査概要報告(追加)」で現状を紹介する。2016年大規模トレイルラン・レース実施後の黒塚・須山口登山歩道がどうなったか、2015年大会後の修復工事の効果や5年間の継続利用による荒廃の拡大・深刻化を共有してほしい。
 
 
●追加報告の内容

 ①登山道や周辺環境の荒廃に対して、主催者側が何もしていない訳ではない。部分的にコースを変更したり、2015年9月の大会実施後に主催者による丸太階段や土流出防止丸太の設置など補修作業が行われ、2016年の大会時には追い越し禁止のロープも張られた。こうした対応にも関わらず、2015年の荒廃と今回2016年の荒廃を比較すると、2016年が全体的に荒廃が酷く、とりわけ、歩道の路体にかかわる表層破壊や樹木の根損傷が拡大し、激甚化している。路体の許容限界を越えた負荷のため補修作業の効果は限定的となっている。
 
 
2016vs2015
(比較した全区間で路体にかかわる歩道表層破壊、根の損傷が明確に増加。崩壊が進む崖上の狭い歩道を含む5年継続利用の区間(⑤、⑥)で全ての荒廃種類が明確に増加)
 
 
 
S
(主催者の2012年~2015年の環境調査と私達の2016年のモニタリングで計測された大会実施前の黒塚・須山口登山歩道の土壌支持力は、山中式土壌硬度計で15mm以下だ。トラクターで耕す時、田畑が泥濘んで作業できるかどうか判定する目安が15mmとされている。人が走行するときの接地圧はこのトラクターより高い。ましてや、1,000人を上回る大規模な連続踏圧の形で15mm以下の軟弱な歩道に負荷が加え続けられれば、歩道表層の破壊や樹木根の損傷が多発する。この歩道を継続利用するための解決策は、通過人数を大幅に減らして歩道の支持力に見合った負荷にするか、歩道自体を舗装するなど支持力を大幅に高める必要がある)
 
 
 
 ②5年連続利用した崩壊崖上の細い歩道では、ランナーのスリップで歩道からずり落ちた事例が数多く(約90件)発生し、その場所が谷側へ傾斜したまま整備されず、冬場の路面凍結で一般来訪者の通過が極めて困難な状態にまでなっている。レース参加者の安全だけではなく、レースに起因する歩道の荒廃によって、この公共の歩道を利用する他の来訪者の安全が損なわれてはならない。
 
 
Slip1l


P1120794
 
 
 
 ③実行委員会は、2012年の第1回大会以前から須山口登山道を脆弱と考え、第1回大会の主催者環境調査でも、影響が大きいことを指摘し、雨天の場合はさらに影響が大きいとしながら、迂回など順応的かつ効果的な対策をとらないまま利用し続けた。その結果、荒廃の拡大、激甚化を招いている。この過ぎ去った5年をきちんと振り返ることよって、はじめて次の5年が展望できる。
 
 
Photo_2
 
 
 
 ④須山口登山道では、適切なガイドに引率された小グループのエコ・ツアーやハイキング、自然観察会など分散的に利用することが、その脆弱な自然環境に加える負荷が少なく、持続可能な利用法となる。


 2012年から連続して3回大規模トレイルラン・レース(各年700人、1800人、1100人通過)のコースとして使われ、2015年、2016年と使われなくなった区間でも、通過した部分がミズ道化し、20cmを超えて土壌侵食が進み、埋設されていたホースが露出してしまった。まとまった降雨の度に侵食が進み荒廃が顕在化している。たとえ雨天の中で通過しなくても、一旦、表層土壌が崩れた道はその後の雨で荒れていく。脆弱で雨が多い所の登山道の荒廃が進行する様子は定期的なモニタリングをしてみて初めて解る。
 
 
P1050725
2012年5月20日 1回目の大規模レース実施後。
 

20160730_384_659
同地点、2016年7月30日 連続3回利用され、2015年、2016年と利用されなかったが、侵食は進行中。
 
 
 
 
 毎年のモニタリング結果を振り返ると、この5年間の大規模トレイルラン・レースによる黒塚・須山口登山歩道や周辺自然環境荒廃の一因は、あきらかに富士山南麓の環境許容量を越えた特定イベントによるオーバー・ユースにあると言える。
 
 
 「雨が多い東南アジアの大規模トレイルラン・レースでは、環境省がコースを舗装して利用している」と大会関係者から聞いた。雨が多く軟弱な環境特質のトレイルで、大規模な負荷を支え、歩道やその周辺自然環境を保全するるための措置であろう。同じように雨が多く軟弱な富士山南麓の登山歩道を、大規模トレイルラン・レースで利用し続けるなら、こうした「舗装」という手段が解決になるのかもしれない。しかし、、、

 そもそも、「トレイルランニングは野山の未舗装路を走る」とトレイルランナー団体の大会開催ガイドラインに説明されている。黒塚・須山口登山歩道を利用し続けている団体役員が、このトレイルランナー団体の役員に、大勢名を連ねている。富士山南麓の黒塚・須山口登山歩道の荒廃の現状もよくご存知だ。今後も大規模な負荷がかかるイベントでここを利用し続けるのなら、軟弱な歩道を舗装する必要がある。そうなれば、トレイルランニングではなくなる。

 また、舗装することは、自然環境保全や利用の観点から、さらには経済性の面でも新たな課題が続出する。その前に、軟弱な富士山南麓の側火山エリアは迂回することで解決できる。
 
 
 
ウルトラトレイル・マウントフジ植生保全環境調査 富士山エコレンジャー連絡会編
 
 
 1. 2012年報告書 (31MB)
 
 2. 2013年報告書 (7MB)
 
 3. 2014年報告書 (12MB)

   2012年~2014年写真資料 (17MB)

 4. 2015年報告書 (5MB)

   2015年写真資料
    区間① (6MB)
    区間② (3MB)
    区間③ (6MB)
    区間④-1 (5MB)
    区間④-2 (2MB)
    区間⑤ (2MB)
    区間⑥ (1MB)
    その他 (2MB)

 5. 2016年報告書 (4MB)

  2016年報告書(追加) (2MB)

  2016年写真資料
    区間⑦ (8MB)
    区間③ (10MB)
    区間④ (14MB)
    区間⑤ (10MB)
    区間⑤スリップ (2MB)
    区間⑥ (5MB)    
 
 

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2017年2月28日 (火)

活動報告 2016-15 黒塚・須山口 環境パトロール

活動日時  2017年(平成29年)2月21日(水)8:45 - 15:00 
活動区域  須山口弁当場→黒塚→崩壊崖迂回路階段→須山口弁当場
天候     晴
       弁当場(8時) 気温 -2゜C
参考     山頂(8時) 気温 -26.3゜C、湿度78%、617.0hPa
       河口湖上空3km(8時) NW 22m/s
 
 

Map01
(調査区間(黄色)と今回の環境パトロール(赤)、背景は静岡県CS立体図、番号は写真の位置)
 
 
 2016年大規模トレイルラン環境調査区間(上図、区間⑦~区間⑥)、の実施5ヶ月後の様子をビデオと写真で記録した。


 区間⑤の崩壊崖上の狭い歩道や迂回階段が凍結し、通過困難なため迂回階段で引き返した。歩道や階段の積雪が前夜の雨で解け、未明の低温で凍結したためと思われる。転倒・転落の危険を感じた。来訪者の方は、軽アイゼンやストックの持参など事前の準備と通過時には十分な注意をお願いします。
 

 レースに使用された歩道では、回復作業の実施いかんにかかわらず、降雨や凍結融解による侵食が起きていることを確認し記録した。


 区間⑤では、昨年と同様にほぼ同じ場所で、ニホンジカによるキハダなどの樹皮はぎが数多くみられた。昨年10月以降のセンサーカメラによる生き物記録では、ニホンジカが大多数をしめ、キツネやアナグマ、テンが撮影されていた。
 
 

1. 植生保全環境調査(大規模トレイルラン・レース通過5ヶ月後) 
 
調査区間⑦(別荘地東の鉄塔から、黒塚の上りにかかる鉄塔まで)
 
 
 昨年10月のレース実施1ヶ月後と比べて、落葉落枝の堆積は増えたものの、修復後に侵食がみられる箇所があった。これは、降雨や凍結融解によるものと思われる。
 
 
P1110388
(区間⑦-1 2016/10/26 レース1ヶ月後、補修後の歩道ミズミチ化 )
 
Gopr2632mp4_snapshot_0458_20170224_
(区間⑦-1 2017/2/21 レース5ヶ月後、落葉堆積はあるが侵食進む)
 
 
 
P1110394
(区間⑦-2 2016/10/26 レース1ヶ月後、比較的緩斜面の歩道 )
 
Gopr2632mp4_snapshot_0611_20170224_
(区間⑦-2 2017/2/21 レース5ヶ月後、歩道表層の侵食進む)
 
 
 
調査区間③(黒塚鉄塔から、放射谷群南端まで上り斜面)
  
 昨年10月に階段丸太周辺では深刻な土壌侵食を示す土人形が見られていた(活動報告 2016-11)が、丸太の下側では侵食が進んだ。また、歩道谷側に縦に置かれた丸太部分では、歩道がさらに侵食されミズミチ化が進んだ。侵食は降雨の流水に加えて、凍結融解の影響があるものと思われる。
 
 
P1110422
(区間③-1 2016/10/26  レース1ヶ月後、黒塚登り斜面)
 
P1130097
(区間③-1 2017/2/21 レース5ヶ月後、歩道の侵食、ミズミチ化)
 
 
 
P1110425
(区間③-2 2016/10/26 レース1ヶ月後、主催者による丸太階段)
 
P1130092
(区間③-2 2017/2/21 レース5ヶ月後、丸太下部谷側壁の侵食進む)
 
 
 
P1110441
(区間③-3 2016/10/26 レース1ヶ月後、主催者2015年調査地点)
 
P1130083
(区間③-3 2017/2/21 レース5ヶ月後、丸太下部谷側壁の侵食進む)
 
 
 
P1110493
(区間③-4 2016/10/26 レース1ヶ月後、土砂移動留の縦置き丸太)
 
P1130067
(区間③-4 2017/2/21 レース5ヶ月後、縦置き丸太部のミズミチ化)
 
 
 
P1110537
(区間③-5 2016/10/26 レース1ヶ月後、急傾斜地の丸太階段)
 
P1130056
(区間③-5 2017/2/21 レース5ヶ月後、丸太下部谷側壁の侵食進む)
 
 
 
調査区間④(放射谷群南端からフジバラ平まで主として下り斜面
 
 2016年大雨の中で大規模トレイルラン・レースが実施された黒塚の北側急斜面の歩道は、侵食が進み、樹木の根の露出が著しい。有効な対策がとられなければ土砂流出が進む。過去3回利用された須山口登山歩道区間の継続観察地点もレース後の荒廃に加えて、激しい侵食が見られる。
 
 
P1110609
(区間④-1 2016/10/26 レース1ヶ月後、北側下り斜面、根の踏みつけ)
 
P1130004
(区間④-1 2017/2/21 レース5ヶ月後、根下側の侵食進む)
 
 
 
Imgp4070
(区間④-2 2016/9/22 2016年レース実施前)
 
P1100313
(区間④-2 2016/9/25  2016年レース実施翌日)
 
P1110634
(区間④-2 2016/10/24  2016年レース実施1ヶ月後)
 
P1120894
(区間④-2 2017/2/21  2016年レース実施5ヶ月後)
 
P1110631
(区間④-2拡大 2016/10/24 2016年レース実施1ヶ月後)
 
P1120895
(区間④-2拡大 2017/2/21 2016年レース実施5ヶ月後、丸太下部谷側壁の侵食)
 
P1120900
(区間④-2をさらに拡大 2017/2/21 2016年レース実施5ヶ月後、丸太下部谷側壁の侵食)
 
 
 
Imgp4074
(区間④-3 2016/9/22  2016年レース実施前)
 
Imgp4236
(区間④-3 2016/9/24  実施直後、丸太階段荒廃)
 
P1110670
(区間④-3 2016/10/26 レース1ヶ月後、丸太階段の除去)
 
P1120872
(区間④-3 22016/10/26 実施5ヶ月後、ミズミチ化)
 
 
 
P1110672
(区間④-4 2016/10/26  レース1ヶ月後、須山口登山歩道定点観測点)
 
P1120868
(区間④-4 2017/2/21 レース5ヶ月後、侵食進む)
 
 
 
P1110704
(区間④-5 2016/10/26  レース1ヶ月後、フジバラ平定点観測点)
 
Gp032635mp4_snapshot_0233_20170224_
(区間④-5  2017/2/21 レース5ヶ月後、侵食進む )
 
 
 
調査区間⑤(フジバラ平から崩壊崖の狭い歩道まで)

 5回連続使用されたこの区間は、2016年の大規模トレイルラン・レースでは、緩傾斜地でも歩道の土壌表層破壊(エグレ)、泥濘化、拡幅、複線化が見られ、植生損傷も著しかった。冬シーズンの雨や凍結融解の繰り返しによる侵食が進んでいる。

 今回の環境パトロール前夜に、まとまった降雨があり(SIPOS裾野市須山で67mm)、残雪が解け、未明の低温で歩道路面が凍結していた。2016年レースでスリップが多発した崩壊崖上の荒廃地点では、エグレ部分が氷結し、歩行が困難であった。簡易アイゼンやストックなどなければ通過できない状態になっていた。降雪時や凍結時は来訪者がスリップし転落するおそれがある。来訪者の方は、軽アイゼンやストックの持参など事前の準備と通過時には十分な注意をお願いします。
 
 
 
P1110708
(フジバラ平の調整池 レース1ヶ月後、2016/10/26)
 
P1120735
( 同 2017/2/21 レース5ヶ月後、増水し、周辺部が凍っている)
 
 
 
P1110745
(区間⑤-1 2016/10/26  レース1ヶ月後、須山口登山歩道、深い侵食)
 
P1120838
(区間⑤-1 2017/2/21 レース5ヶ月後、侵食が深くなった)
 
 
 
P1110776
(区間⑤-2 2016/10/26  レース1ヶ月後、須山口登山歩道)
 
P1120822
(区間⑤-2 2017/2/21 レース5ヶ月後、侵食、根の露出がすすむ)
 
 
 
P1110794
(区間⑤-3 2016/10/26  須山口登山歩道定点観測点、レース1ヶ月後)
 
P1120817mp4_snapshot_0013_20170223_
(区間⑤-3  2017/2/21 レース5ヶ月後、侵食、根の露出がすすむ)
 
P1120816mp4_snapshot_0026_20170223_
(区間⑤-3拡大  侵食が激しく根が出ている) 
 
 
 
P1120766
(区間⑤-4 2017/2/21 レース5ヶ月後、崩壊崖上の狭い歩道凍結しスリップして危険)
 
 
 
P1110817
(区間⑤-5 2016/10/26 レース時スリップ多発地点、レース1ヶ月後)
 
P1120794
(区間⑤-5 2017/2/21 レース5ヶ月後、激しい侵食と凍結)
 
P1120795mp4_snapshot_0303_20170223_
(区間⑤-5拡大 激しい侵食と雪や雨水の凍結) 
 
P1110832
(区間⑤-5 反対方向から 2016/10/26、レース1ヶ月後)
 
P1120769
(区間⑤-5 反対方向から 2017/2/21 レース5ヶ月後、凍結によりスリップ)
 
 
 
P1110840
(区間⑤-6 2016/10/26 崩壊崖上の迂回路南側階段、レース1ヶ月後)
 
P1120763
(区間⑤-6 2017/2/21 レース5ヶ月後、凍結によりスリップ)
 
Imgp4533
(区間⑤-6拡大 2017/2/21 レース5ヶ月後、厚い氷に覆われている)
 
 
 
2. 野生動物の様子
 センサーカメラには、ニホンジカ、キツネ、ニホンアナグマ、テンが撮影されていた。フジバラ平北側の須山口登山歩道周辺で昨年と同様にキハダなどの樹皮はぎがみられた。ニホンジカやノウサギの糞がみられた。

野生動物通過の記録(上り、下りの合計)


Sensor
 
 
 
Img_0470
(ニホンジカ オス 成獣)
 
Img_0723
(ニホンジカ オス 成獣)
 
Img_0291
(ニホンジカ オスとメス)
 
Img_0583
(ニホンジカ 左オス 右メスx2)
 
P1120830
(ニホンジカによる樹皮はぎ キハダ) 
 
Imgp4530
(ニホンジカによる樹皮はぎ キハダ) 
 
 
Img_0881
(キツネ)
 
 
Img_1285
(テン)
 
 
Img_0622
(ニホンアナグマ) 
 
 
 
3. ゴミ回収 14個 ゴミ収集記録(調査票に対応)
 
1.紙 1            (5)タバコ吸殻 1
3.プラスティック 6     (3)菓子容器 3    (6)その他 3
5.ビニール 6        (3)紐3          (4)破片 3
6.鉄1             (2)飲料缶 1

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