2022年2月28日 (月)

『富士山のまもりびと』

「富士山エコレンジャー」の活動の様子を、ふじのくにメディアチャンネル(静岡県庁公式)に紹介いただいた。

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2021年9月18日 (土)

静岡県は森林情報公開の先進県 その3

2020年4月、静岡県はG空間情報センターで、「静岡県 富士山南東部・伊豆東部 点群データ」を公開した。「静岡県 富士山南東部・伊豆東部 点群データ」は、航空レーザ計測や、航空レーザ測深、移動計測車両により取得統合した高精度3次元点群データ。

 

以前紹介した静岡県CS立体図は、航空レーザー測量で、樹冠下の地形を 1.0m メッシュ程度の高解像度で計測したデータを使用しているが、今回の点群データは、航空レーザー測量で1.0平方mあたり16点以上の高密度データとなっている。

 

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ビャクシンの自生地として知られる大瀬崎(QGISによる点群データの2D表示)

 

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QGIS LAStoolsによる3D表示

 

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点群データから作成した樹冠表面の等高線図

 

 

公開された点群データは防災を始め様々な分野での利用が進められている。

 

 ●2021年7月3日静岡県熱海市土石流災害ドローンレーザ計測データ

 

富士山南麓の点群データがオープン・データとして公開され、富士山南麓の歩道やその周辺自然環境の保全、減災に使われ、持続可能な利用が進むよう期待している。

 

 

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2017年1月 5日 (木)

静岡県は森林情報公開の先進県 その2

 2016年11月末、静岡県は「ふじのくにオープンデータカタログ」で、「静岡県CS立体図」をオープン・データとして公開した。「静岡県CS立体図」は、航空レーザー測量成果をもとに作製した微地形表現図で、地形図や航空写真等からは読み取ることのできない、地形の微細な凹凸を立体的に見ることができる。

 CS立体図は、長野県林業総合センターが、地形判読を容易に行えるように開発したもの。この立体図法では、谷(凹)地形を青色、尾根(凸)地形を赤色で、緩斜面を淡色、急斜面を濃色で段彩化し、視覚情報から直感的に地形を読み取ることができる。「 CS」 とは、曲率 ( Curvature)と傾斜( Slope)の頭文字を意味する。静岡県CS立体図は、航空レーザー測量で、樹冠下の地形を 1.0m メッシュ程度の高解像度で計測した DEM(数値標高モデル)を使用している。従来の地形図は写真測量により作成されたため、森林域についてはおおまかな地形しか表現できなかったが、この航空レーザー測量による高解像度 DEM を使用して CS 立体図を作成することにより、実際の微地形を忠実に表現することが可能となり、路網計画、森林整備などに活用されている。


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黒塚、須山口登山歩道周辺の「静岡県CS立体図」。黄色い線はコース調査時のGPSログ
 
         
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区間Aの拡大図。黒塚北側斜面の放射谷群。


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区間Bの拡大図。崩壊がすすむ崖上の歩道区間。



 「静岡県CS立体図」は、微地形を正確に分かりやすく表現しており、侵食地や崩壊地、地すべりなど危険箇所、利用が不適切な注意箇所が図上で抽出できる。それは、過去5年の私達の現地調査記録ともよく合致している。

 富士山南麓の軟弱な側火山地帯を使い、歩道や周辺自然環境へ影響が出た大規模トレイルラン・レースのコース選定(迂回)において、「静岡県CS立体図」の判読に基づく危険箇所、注意箇所が踏査、調査され、富士山南麓の歩道やその周辺自然環境の保全、減災、持続可能な利用が進むよう期待している。 

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2016年4月 8日 (金)

静岡県は森林情報公開の先進県

6年前、森林GISフォーラムに参加して静岡県の「森林情報共有システム」を知った

 

 
静岡県は森林情報公開の先進県だと思った。


静岡県はさらに、この3月「ふじのくにオープンデータカタログ」で、森林計画図(シェープファイル)や森林簿(CSV)を公開した。全国でも、最も早い時期の公開。

 

 

オープンデータは、利用規約を守れば、誰でも自由に利用できる。早速、平成27年度森林簿や平成27年度富士森林計画図をダウロードした。そのデータをFOSS4G Free and Open source software for geospatial: 地理空間情報に関するオープンソースソフトウェア)のQGISで利用してみた。


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森林計画図には、林小班ごとに、樹種や林齢などの情報がある。赤い線は大規模トレイルランのコース。



また、産総研は、この4月に地球観測衛星TERRAの光学センサーデータを無償で、利用制限のない公的データ(知的基盤データ)として公開した。日本でも北米でも地球上、任意の場所のデータが参照できる。Google Earthで使えるKML形式やQGISなどで使えるGeoTIFF形式でダウンロードできる。


 


森林情報公開の先進県として、オープンデータが、富士山周辺の防災や環境、農林業に利用、活用されることを期待している。

 

 

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2015年3月15日 (日)

ふじさんネットワーク「富士山の日」富士山勉強会

3月15日、沼津で開催されたふじさんネットワーク主催の「富士山の日」富士山勉強会に出席した。

外来植物や、過度の増加と絶滅が危惧される野生動物など富士山南麓の生物多様性がテーマ。短時間であったが、有意義な勉強会だった。こうした自然の現状を多くの方々と共有していきたい。



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「富士山の自然をもっと知りましょう」ふじさんネットワークの関隆文副会長の挨拶


 
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富士山麓外来植物調査結果の報告」(株)環境アセスメント・センターの品川修二さん
昨年の勉強会では、希少種の調査報告をされた。今年は外来種植物。富士山でも、生態系、人の生命・身体、農林水産業への影響が懸念されている。調査区間は、富士山スカイライン登山区間、御殿場太郎坊線、ふじあざみラインの自動車道区間と森林限界までの登山道。
結果は7科16種の外来種が確認された。セイヨウタンポポのようにすべての調査区間で確認されたものもあれば、特定の区間に出てくる種もある。ふじあざみラインでは16種中15種が見つかった。今後の継続調査で区間ごとの因果関係が浮かび上がってくるかもしれない。



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富士山をめぐるシカとクマ -野生動物と人間の関係-」静岡県森林林業研究センターの大場孝裕さん
農林業被害、生態系への悪影響、土壌流出など大変な厄介事になったニホンジカの増加。一方、絶滅が危惧される「富士・丹沢」保護管理ユニットのツキノワグマ。
ともにGPSなどを使った調査研究の積み重ねで、行動範囲や利用環境が明らかになってきた。そうした知見をもとに適切な個体数管理に向けた取り組みが行われている。例えば、ニホンジカでは季節移動など行動特性にあわせた効率的な捕獲が進められている。一方、ツキノワグの行動圏は富士山南西~東のミズナラなど落葉広葉樹林帯ということが分かってきた。

「絶滅のおそれがあるツキノワグマ富士山地域個体群には、人間があまり利用しない広葉樹林と樹洞など好適な冬眠場所の維持、創出が重要。生息していることを意識した森林の利用、あるいは利用制限を行っていくべき」というまとめが強く印象に残った。



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「こうした富士山の現状を踏まえて、地域の生物多様性戦略を推進します」と締めくくられたふじさんネットワーク事務局長(静岡県自然保護課長)の平野潤さん。

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2015年2月15日 (日)

2015年 富士山エコレンジャー講習会【基礎講座】 座学

2015年2月14日(土)、富士市で開催された座学講習会に参加した。
 

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会場から見た富士山。裾野へと伸びるスカイラインの曲線が美しい。じっと座って講演をきいていると、現場に出かけたくなる。今日はじっと我慢。朝から夕方まで、他では、なかなか学べない内容の濃いい、貴重なお話がきけ、質問もできた。
 
 
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環境省沼津保護管事務所の柳川智巳自然保護官「富士山における国立公園管理について」
 
有数の来訪者が夏季に集中する富士山の現場で、保護と利用のバランスを取りながらの管理業務は大変な仕事だ。数少ない職員で奮闘されていることが伝わってくる。
"夏の2ヶ月間に約30万人が利用するという「異常」な山であり、それらに必要な物資運搬を行うのは、ブルドーザー以外に現実的ではない"という話がでた。よく理解できた。
だが、景観保全から出発した我が国の国立公園で、とりわけ厳格に景観を保全するための特別保護地区に指定されている富士山五合目以上で、ギザギサのブルドーザー道が景観を損ねているように私には感じられる。将来に渡り、現状維持であり続け、展望がないのは、世界文化遺産に登録された富士山の価値に対して、寂しい気がした。
 
 
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静岡県自然保護課の大川慎一主査「富士山の自然環境保全にかかる県施策」

「富士山を世界に誇れる山として保全し、その恵みを後世に継承するため、「富士山総合環境保全指針」をつくり「富士山憲章」推進していくという根っこの部分から、その施策の基本方針や展開、事業概要などを再確認した。
富士山の環境保全意識の高揚を目指し、ふじさんネットワークが運営され、その中でマナー啓発や自然解説を実践する富士山エコレンジャー活動が位置づけられているということも分かりやすく説明された。
多くの環境保全事業の中で、とりわけ富士山麓植生保全パトロールや富士山外来植物撲滅大作戦は今、集中的に取り組む時期だと思った。
  
  
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静岡県富士山遺産課 髙部真吾班長「世界文化遺産富士山の保全について」

個々の富士山世界文化遺産構成資産、構成要素を保全するための「包括的保存管理計画概要」、「保全状況報告書の提出にむけて」が中心テーマ。
そもそも世界遺産とは、「世界の貴重な文化、自然遺産を登録し、保護・保全することにより人類共通の財産を後世に継承する」ための「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」ということを、あらためて知った。
世界文化遺産富士山の構成資産「富士山域」「須山口登山道(現 御殿場口登山道の部分)」を登るとき、多くのランナーに出会う。登山駅伝のコースにもなっている。世界文化遺産の登山道は、まるで競技場だ。信仰の対象として登っている現代の巡礼者と、どう折り合いをつけ、世界文化遺産をどう保護していくのだろう。
 
 
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静岡県森林・林業研究センターの大場孝上席研究員「富士山をめぐるシカとクマ -野生動物と人間の関係-」

十年ほど前、富士山エコレンジャー講習会で初めて大場さんの話を聞いた。以来何度か、同じテーマを受講し、今回久しぶりで現状を知ることができた。かたや増加で、かたや絶滅が課題となっている富士山の代表的な大型哺乳類。最近は、GPS首輪をつけて、行動圏が明らかになってきた。ニホンジカでは、季節によって標高を移動するタイプや等高線に沿って富士山を周回するタイプがいることが分かった。この調査結果がシカの捕獲向上に利用されている。
絶滅のおそれがある、ツキノワグマ富士山地域個体群の保護には、ミズナラが多く人間があまり利用しない広葉樹林と樹洞など好適な冬眠場所の維持、創出が重要。ツキノワグマが生息していることを意識した森林の利用(あるいは利用制限)を行っていくべきと指摘された。

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最後は、富士山エコレンジャー連絡会の秋山副会長が新規講習受講者の方を激励。

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2015年1月12日 (月)

2015年 富士山エコレンジャー講習会【基礎講座】現地研修

平成27年1月11日(日)、富士山南麓で開催された現地研修会に参加した。今回は、富士山エコレンジャー応募者の方と現エコレンジャーの皆さんとの合同研修会。
 
 
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富士山南面は、強風で雪が飛ばされ、所々岩が露出している。
 
 

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富士山自然休養林の林道入口が現地集合場所。着くと早速ゴミ回収。スカイライン道路に面したここは、短時間でタバコの吸い殻が約70本。
 
 

現地研修は、「富士山国有林」からスタート。休日にもかかわらず、静岡森林管理署の武居さんが解説下さった。

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植生の垂直分布が分かる絶好の場所。背後は、シカ柵。国有林野の施策や静岡森林管理署の事業取り組みなど要点が分かりやい。シカ柵の前で、獣害防止の施策を伺うと具体的に理解できる。

印象にのこったのは、「ヒノキ大面積人工林における新たな施行への取り組み」。定常的な渓流が無い富士山山麓で渓畔保護樹帯の育成という考え方は新鮮。
 
 

昼からは「裾野市富士山資料館」を見学。学芸員の高橋さんに解説いただく。

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富士山の自然も芸術も信仰も展示してある。富士山は色んな物に関わっている。「どんどん触って下さい」という展示方針もありがたい。見学が終わった後、参加者が「ここはいいね、また来たい」と話していた。「富士山須山口略絵図」のレプリカを購入する。
 
 
 
三番目は、須山口登山道の起点、「須山浅間神社」。富士山裾野ガイド協会の根上さんに語っていただいた。

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室町時代にはあった登山道や、その後の登山道の変遷の歴史を、拝殿で伺った。困難を乗り越え、復興を達成した地元の思いが伝わってくる。
 
 
 
最後に、富士山来訪者の方やエコレンジャーの皆さんの安全と富士山自然環境と文化の保全を祈願した。

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皆さん、充実した一日だったようだ。
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2014年9月19日 (金)

平成26年度 トレイルラン植生保全環境調査・中間報告

今年も4月に開催されたウルトラトレイルラン・マウントフジ(UTMF)で利用された登山道ならびに周辺環境への影響についての現地調査を行った。その報告書が、「富士山憲章」に賛同する仲間のふじさんネットワークからアクセスできるようになった。なお、現在も、通過後の土壌侵食などのインパクトを継続モニタリングしているので、中間報告となっている。


過去の調査記録とともに、大規模トレイルラン・レースで、富士山南麓の登山道が年々荒廃していく様子を共有お願いします。


ふじさんネットワークのホームページの中央右側「発行物のご案内」からアクセスいただくか、直接下記のからアクセスください。


平成26年度 トレイルラン植生保全環境調査・中間報告
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平成25年度 トレイルラン植生保全環境調査・中間報告

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2014年6月18日 (水)

浮島ヶ原自然公園

よく晴れた6月14日(土)の午前中、富士市「浮島ヶ原自然公園」を訪れた。

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適度な広さの自然公園


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富士講信徒の「富士八海めぐり」で聖地とされていた須津湖の一部、浮島沼の周囲が浮島ヶ原と呼ばれている。


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アシ原の景観と湿原の生態系が残る貴重な自然公園だ。


興味深い光景に出会った。

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親子でザリガニ釣りを楽しんでいる。「オヤッ」とクエスチョン・マークがよぎったが、すぐにナルホドと思った。


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本来、自然公園では動植物の採取を禁止している。外来種のアメリカザリガニだけ駆除していいのだ。親子で水辺も楽しめる。


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アメリカ・ザリガニ釣りは管理棟の前だけ許可され、木道のあるアシ原では禁止されていた。自然度の高い公園では、節度ある利用が求められている。


管理棟では、「モニ1000里地調査」講習会が開かれていた。日本自然保護協会(NACS-J)の主催だ。

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身近な自然である里地は、変化が激しい。自然の変化をとらえ多くの人と共有するため、同じ場所で記録をとる「モニタリング調査」が大切と講師のG藤さんが話してくれた。


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豊かで安全な人の暮らしは、生き物にささえられる暮らし。「生き物のにぎわいとつながり」が生物多様性。


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過度の利用(開発)や外来種は、この「生き物のにぎわいとつながり」にとって大きな脅威。


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それぞれの場を保全していくためには、定期健診(モニタリング)や診断書、その後の治療計画や処置のプロセス(順応的管理)がポイント。


お話をききながら、自然度の高い里山や奥山を2000人以上が過度に利用しているトレイルラン・レースを思い出した。足元もよく見えない真夜中でさえ行われるレース・イベントが、どれだけ周囲の生物多様性にインパクトを与えているだろう。定期的なモニタリングを通じて、主催者やランナーの方、そして世の中の大勢の方へ伝えることは、とても大切なことだ。


モニ1000里地調査の鳥類調査講習会にも参加させてもらえた。

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講師は、バード・リサーチのU田さん。


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木道で周囲50mを範囲として、見つけた野鳥を観察する。野鳥の会の方もいて、いろいろ教えてもらった。


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カワラヒワ。


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観察した野鳥をどんどん記録用紙に記入していく。ツバメ、スズメ、ハシボソガラス、アオサギ、ダイサギ、ドバト、ヒヨドリ、コサギ、ムクドリ、カワウ、カワラヒワ、ゴイサギ、ケリなどなど。


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準備いただいた富士自然観察の会、H川先生始め、会員の皆様、貴重な体験ありがとうございました。

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2014年3月21日 (金)

富士山勉強会

3月16日(日)、富士市ふじさんめっせで開催された、ふじさんネットワーク主催の富士山勉強会に参加した。富士山自然環境の保全関連の勉強会だったので、会議室がほとんど埋まるくらい、大勢の方が参加した。東京から出席されたトレイルラン関係者の方もいて、活発な質疑応答があった。


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土隆一ふじさんネットワーク会長(静岡大学名誉教授)の挨拶。富士山エコレンジャー講習会で何回も富士山の成り立ち(地形・地質と火山活動の特徴、地下水と湧水の特徴)を教えていただき、私達の活動をご支援くださっている。
 
 

講演Ⅰは「富士山麓植生保全パトロールの結果報告」。富士山自然休養林を中心とした植生保全パトロールの調査結果が報告された。世界文化遺産登録により、多くの来訪者が予想され、踏圧等から起こる自然植生への影響が懸念されるため、自然植生の現況を把握するとともに、パトロール監視を実施し、富士山の自然環境の保全対策を推進することを目的にしている。植物調査結果とともに、登山道荒廃状況も報告された。
 
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静岡県自然保護課の大川慎一さん。今回の調査で貴重な植物(絶滅危惧種など)が107地点で1133個体確認された。また、国立公園指定種が81種691地点で確認されたそうだ。結構な数が確認されたと思ったが、歩道および歩道の両側3mを32km踏査したのだから、片側を見ながらだと、100m往復して5.7個。つまり35m歩いて1個。寂しい気がする。
 
 
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株式会社環境アセスメントセンターの品川修二さん。確認した希少植物の特徴を個別に説明いただく。ただし、科名で紹介され、種名は教えてくれない。盗掘対応の配慮だ。スライドを見ながら、頭のなかで種名クイズの回答。
 
 

講演Ⅱは、富士山エコレンジャー連絡会が「富士山南麓の森とトレイルラン大会」と題して報告する機会をいただいた。時間が限られていたので舌足らずの説明だったかもしれない。説明の中のスライドを数ページご紹介する。
 
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崩れやすい南麓の森での経験と継続的な利用のため行政や民間が協働し、平成19年「自然観察会等のポイント、ガイド・ライン」が作られた。環境への負荷軽減やガイドの掌握力を考え、一団体あたり20人の利用を目安とするようガイドされている。2000人を超えるイベント利用は想定されておらず、あらたなガイドラインが要請される。
 

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あらためて主催者のコース・マップを見た。富士山火口を中心にして、北麓のコースで最短距離を半径にし、円を描く。北麓に比較すると、南麓の富士山本体への入り込みが尋常ではない。北麓にも、大室山、長尾山などの側火山があるが、そうした地形・地質上崩れやすいところはコースに選定されていない。侵食をすすめる年間降水量をみても、北麓は南麓に比べてはるかにすくない。

 
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2年間の調査を通して学んだことのひとつに、「後追いの調査では、インパクトが残るだけ」ということがある。事前に、自然環境保全を担保することが重要だ。専門家が富士山で連続踏圧のインパクトを実験・調査した知見がある。こうした知見を活用し、、事前に自然環境への負荷を見積もり、コースや参加人数を検討するようお願いしたい。
 
専門家による連続踏圧のインパクトを実験・調査した知見の例 
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富士山大沢川で行われた土壌の踏圧実験調査
「踏みつけはここまで!-踏圧の蓄積と土壌の悪化-」 関元聡、1998, プレック研究所
 


こうした調査内容に関心をお持ちの方は、全スライドがあります。お読みいただければ幸いです。

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(全説明資料のPDFファイルはここをクリックしダウンロードできます)

 
また、説明で使用した映像は以下のURL(YouTube)でご覧ください。

スライド38ページ 連続踏圧と降雨による土壌侵食
 
スライド53ページ 繰り返されるインパクトと土壌侵食
 
スライド56ページ 不可逆的変化

スライド60ページ 求められる安全、災害管理

スライド63ページ ランナー通過に一昼夜26時間以上

スライド88ページ コース選定、運営管理、調査の例


説明時に配布した富士山エコレンジャー連絡会の調査報告書
「平成25年度 トレイルラン植生保全環境調査・中間報告」


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