静岡県は森林情報公開の先進県 その4
静岡県は「静岡県 富士山および静岡東部 点群データ」を2022年3月、G空間情報センターから公開した。この点群データは、航空レーザ計測や、航空レーザ測深、移動計測車両、バックパック・レーザー計測により取得統合した高精度3次元点群データ。
今回の点群データでは、航空レーザー測量で0.5mグリッドの高密度標高データ(グリッドデータ)が利用可能となった。以前紹介した静岡県CS立体図は、航空レーザー測量で、樹冠下の地形を 1.0m グリッド程度の解像度で計測した標高データを使用していた。
山頂中央火口底で比較してみる。より詳細に落石の様子が分かる。
(中央火口底 点群データをCS立体図化)
(従来からの静岡県CS立体図)
富士山のオリジナル点群データ(グラウンドデータ)は見るのが楽しい、役立ちそうだ。
頂上剣ヶ峰への最後の急坂「馬の背」。3Dでさまざまな角度から眺めることができる。西側に鉄柵がつけられているが、こちら側の斜面はストンとどこまでも落ちていく危険な状態が分かりやすい。
(頂上剣ヶ峰「馬の背」西側の急斜面)
(点群データから切断面を表示)
重機がこの「馬の背」を通過する際、誘導員が登山者に鉄柵の外へ出るよう指示していた。昨年7月にも同様な報告があった。
(疲れた登山者には、滑ったら大変危険、2007年9月)
点群データでは距離もすぐに出るし、樹種まで分かりそうだ。
(幕岩直下の崩落が進む砂沢右岸)
黒塚周辺の調整池で現地確認した外来植物ハルザキヤマガラシの群生。
(点群データで俯瞰したハルザキヤマガラシの群生)
レーザー光の反射強度を色付けしてみるとはっきり広がりが分かる。
(同、中央の濃いピンク部分がハルザキヤマガラシ)
「静岡県 富士山および静岡東部 点群データ」では、各登山道をバックパックにつけてレーザー計測したデータも公開された。
夏のご来光時に長い渋滞を起こす、富士宮口頂上直下の登山道。
(渋滞の原因となる富士宮口頂上直下の段差、2007年9月)
この段差部分を点群データで見てみると、
(航空レーザー計測の点群で見た段差部分)
(バックパック・レーザー計測の点群で見た登山道段差)
(拡大して段差をツールで測ることもできる)
来訪者の安全や植生保全など富士山エコレンジャーの活動に「静岡県 富士山および静岡東部 点群データ」はとても役立つ。
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