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2020年12月 7日 (月)

合同環境パトロール (2020-11) 自然休養林(7)

日時 2020年(令和2年)12月5日(土) 9:20 - 15:30
区域 作業道、富士山自然休養林B、A、Lコース
天候 雨、曇、晴れ
山頂 (8時) 気温-10.2℃、湿度 91%、637.8hPa
河口湖 (8時)上空3km SW, 21m/s

 

 

林道、作業道、富士山自然休養林ハイキングコースB(問合せ先:富士市)、A(同、富士宮市)、L(同、富士宮市)を大渕林道、八幡堂、高鉢駐車場、二合目林道経由で巡回する合同環境パトロールに参加した。

 

B、Aコースは、ともに立ち入り禁止が継続されている。歩道周辺の植生状況(ナラ枯れやスズタケなど)について確認するために巡回した。銃によるニホンジカ捕獲のため富士山国有林への入林禁止が年度末まで延長され、また、親子熊の出没が確認されているので、十分に注意し巡回した。

 

大渕林道から八幡堂までの歩道が侵食により、場所によっては通過困難になっていた。この区間は来訪者があるためか、踏み跡は比較的明瞭だった。設置者不明の標識や表示、ビニールテープの私的マーキングが多数見られた。登山道周辺では、ナラ枯れのミズナラが標高1,475m付近まで見られた。標高1,530mから1,650mにかけてスズタケの実生が群生していた。自然休養林Bコースでは、日沢の渡渉迂回路を分かりにくくしていた倒木の枝が払われ、迂回路が分かりやすくなっていた。西臼塚のLコースで、歩道を塞いでいた丸太が歩道外に移され、歩道が乾燥していたこともあり、複線化した迂回路を使用せずに通過できた。

 

パトロール中に来訪者に出会わなかった。水ヶ塚公園駐車場の車は朝8時は約20台、16時頃は約25台程度だった。

 

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16時の水ヶ塚公園駐車場

 

 

歩道

大渕林道から八幡堂へ至る歩道に侵食による荒廃がみられた。10年前にはこうした侵食荒廃は見られなかった。現在、土のうで作られた水止めや水切りがあるが、侵食は進んでいる。八幡堂より上部では、かつて歩道を塞いでいた倒木はすべて処理され、補修関連の人手が入っているようだ。

 

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ミズ道となり侵食がすすむ歩道

 

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荒廃し迂回複線化、奥は水止め

 

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通行困難な約1.2mの侵食段差

 

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歩道を塞いでいた倒木はすべて処理されている

 

 

Bコースの日沢渡渉箇所は通行困難だが、9月には倒木で分かりにくかった迂回路で、倒木の枝が払われ迂回路が明瞭になっていた。

 

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日沢の大規模な侵食により通行困難になった渡渉箇所

 

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同地点、2007年5月、現状より沢幅が狭く浅い

 

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日沢渡渉箇所の迂回路。倒木の枝が払われた

 

 

Aコースでは、高鉢東側の標高1,600m付近の歩道がミズ道となり侵食が激しい。また、二合目林道から西臼塚ナラ広場への斜面では、侵食と通行により樹木根が露出し損傷している。

 

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高鉢東側の歩道侵食段差0.6m

 

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二合目林道~西臼塚ナラ広場、樹木根の露出・損傷

 

 

西臼塚のLコースでは歩道を塞いでいた丸太が歩道外に移され、歩道が乾燥していたこともあり、複線化した迂回路を使用せずに通過できた。いずれの箇所も、本格的な補修作業が必要と思われる。

 

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流出丸太が移動され乾燥した本来の歩道を通行

 

 

施設・設備

西臼塚の公衆トイレは凍結防止のためと書かれて閉鎖されていた。来訪者のため、可能な限り開放してほしい。開放できない場合は、そのむね、協議会のホームページで案内してほしい。高鉢駐車場の公衆トイレは施錠されていた。

 

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凍結防止のため閉鎖された西臼塚の公衆トイレ

 

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施錠された高鉢駐車場の公衆トイレ

 

 

標識

巡回した作業道に幾種類もの私的マーキングのビニールテープが見られた。スカイライン登山区間との交差箇所では、同じ場所に、多数の標識や私的マーキングが見られた。これらの標識類にはすべて標識設置者の表示はなかった。

 

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八幡堂~スカイライン周遊区間、解れたビニールテープ

 

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スカイライン登山区間交差、各種私的マーキングのビニールテープ

 

 

Aコースの二合目林道周辺~ナラ広場への歩道は、人工林内の侵食や樹木根の露出・損傷が進み複線化し踏み跡が分かりづらく、私的マーキングが多数設置されている。解れやすいビニールテープをガイドロープとして使ったり、枯れ木を直接赤くペイントしている。林業関係と思われる、生木の樹皮を削り白くペイントしたものも多く見られた。

 

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二合目林道~ナラ広場、解れたビニールテープ

 

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同、私的マーキング、倒木に直接ペイント

 

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同、私的マーキング、2種類のビニールテープ

 

 

大渕林道のゲートやスカイライン周遊区間交差地点に、「“熊”出没中に付き危険。周辺にて目撃情報多し」表示があり、2020年8月30日撮影の子連れの母グマの写真と説明が載せてあった。森林管理署さんから連絡があった「二合目林道や六番林道でツキノワグマ出没」の件だ。高鉢駐車場のAコース入口には、「“熊”出没中、危険につき立ち入り禁止」の表示があリ、2020年5月29日撮影のツキノワグマの写真が載せてあった。

 

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西臼塚大渕林道入口ゲートの"熊出没注意"

 

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高鉢駐車場のAコース入口の「立入禁止」案内

 

 

 

ミズナラの「ナラ枯れ」

根元や幹にフラス(木屑)があり、木によっては、縮れて枯れた葉が、落葉せず枝についていた。ミズナラの「ナラ枯れ」が標高1,475m付近まで見られた。

 

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スズタケの成長

Bコース周辺では、ほとんどスズタケが枯れ林内の見通しが効く。自然休養林の多くの場所で、こうしたスズタケが枯れが見られる。2005年当時は、スズタケが生い茂っていた。

 

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スズタケが枯れ見通しが効く林内

 

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同、2005年。背丈を越えるスズタケで見通しはない

 

 

標高1,530mから1,650mにかけてスズタケの実生が群生していた(下図の番号がついた緑丸)。また、作業道周辺では、まばらなスズタケの実生が随所にみられた(下図の緑色のヒートマップ)。作業道のスカイライン登山区間交差からBコース高鉢駐車場にかけては、スズタケの枯れた桿(かん)が残っている(下図の茶色のヒートマップ)。二合目林道から西臼塚にかけては、スズタケは枯れも含めてみあたらない(下図の青色のヒートマップ)。

ササ類(スズタケ)は数十年をかけて回復すると言われている。十数年後、歩道周辺の景観は、見通しの効く林内から、15年前のように、背丈を超えるスズタケが繁る林内へと大きく変化する可能性がある。

 

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スズタケの成長。緑丸はスズタケ実生の群生。数字は写真の番号

 

 

ゴミ回収 12個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

2.布 1 切れ端 1
3.プラ 4 菓子容器 3 その他 1
5.ビニール 5 2 紐    3
6.鉄 1 飲料缶 1
8.ゴム 1 その他 1

 

 

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合同環境パトロール終了後、雨も上がり、雪をまとった富士山の景観にみとれた。

 

 

 

 

 

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