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2020年11月16日 (月)

合同環境パトロール (2020-10) 自然休養林(6)

日時 2020年(令和2年)11月14日(土) 8:30 - 15:00
区域 富士山自然休養林F、Iコース
天候 晴れ
山頂 (8時) 気温-8.0℃、湿度 5%、645.6hPa
河口湖 (8時)上空2km NNW, 10m/s

 

富士山自然休養林ハイキング・コースF(問合せ先:御殿場市)、I(御殿場市)を須山御胎内入り口、幕岩上、四辻、二つ塚下塚、御殿場口新五合目、幕岩、須山口下山歩道1.5合、須山御胎内入り口の順に巡回する合同環境パトロールに参加した。

 

前日の13日、富士山自然休養林保護管理協議会のホームページで、一部利用可能のBと立入禁止のA、J、Mコース、携帯トイレの使用などか案内されたが、現地の須山御胎内入り口の協議会案内図には、同様な情報は掲示されていない。

 

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富士山自然休養林保護管理協議会のホームページ

 

 

Fコースの須山御胎内入口から須山下山歩道1.5合目までは、世界文化遺産の歩道区間(須山御胎内~幕岩上)を含んでおり、歩道上に石を配置した水切りが整備されていて、歩きやすかった。須山口登山歩道や御殿庭で見られたピンク色のビニールテープは見られず、世界文化遺産の歩道にふさわしい景観となっていた。Iコースの御殿場口・幕岩間は、侵食などにより樹木根の露出・損傷が目立った。歩道脇の倒木や枯損木が伐採されていた。幕岩から須山口下山歩道へつなぐ砂沢右岸斜面の歩道は、7月末と比べ侵食箇所が整備されていた。ただ、砂沢右岸の崩れやすい斜面の歩道を木段で整備する限り、再び7月末と同様な侵食が起こり通行困難になると予想される。

水ヶ塚公園駐車場の車は、朝8時頃約20台程度で、15時頃は約70台程度だった。パトロール中に来訪者11人に出会った。二人連れが4組、単独が3人。2人はトレイルランナー。ほとんど大半が水ヶ塚、須山御胎内入口から二つ塚下塚往復のようだ。

 

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朝8時の水ヶ塚公園駐車場

 

 

歩道

Fコースの須山御胎内入口から須山口下山歩道1.5合目までは、世界文化遺産の歩道区間(須山御胎内~幕岩上)を含め、多くの箇所で、石を水切りに配置し、雨水による侵食、ミズ道化を防ぐよう整備されていた、このため、歩道上に散乱していた、つまずきやすい石が移動され、歩きやすくなった。昨年8月の状態に比較して相当手が入れられている。

 

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歩道の片側を水切り用に石を配置

 

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歩道脇の植生へ水を流す水切り

 

 

Fコースの歩道荒廃は、須山口下山歩道1.5合目から、幕岩への下り分岐間の世界遺産の登山道区間で見られた。本来の歩道の東側に、直線的な踏み跡が2013年の大規模トレイルラン・レース以来、来訪者に利用されている。この迂回路の東側、砂沢右岸は崩壊が年々拡大している。本来の歩道の整備が必要だ。

 

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左が本来の歩道、右側が直線的な迂回路

 

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歩道拡幅、複線化、樹木根の損傷の世界文化遺産歩道

 

 

Iコースでは、御殿場口五合目から樹林帯に入った斜面で、侵食による段差や樹木根の露出・損傷や複線化が見られた。

 

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侵食、樹木根の露出・損傷

 

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侵食、樹木根の露出・損傷、複線化

 

 

施設・設備

H/Iコースの二つ塚下塚頂上にある記念碑の周囲ブロック塀と鳥居の土台の破損が進んでいた。

 

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二つ塚下塚頂上にある記念碑

 

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同鳥居

 

 

H/Iコースの二ツ塚・大石茶屋間の歩道上に、旧スキー場施設のコンクリートやワイヤーは残置されたままだ。大石茶屋対岸に残置されている大量のタイヤもそのままだった。来訪者の安全や良好な景観を維持するため、撤去をお願いしたい。御殿場口新五合目の第一駐車場では、冬季は撤去されていたトレイルステーションの建物が残置されていた。

 

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残置コンクリート

 

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浮き上がらないよう石で押さえつけた残置ワイヤー

 

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残置タイヤ群

 

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トレイルステーションの建物

 

 

Iコースの御殿場口新五合目の公衆トイレがリニューアルされ、エコトイレになっていた。御殿場市は10月21日よりI、Hコースを利用可能にした。コース開放時には、来訪者の便宜のため公衆トイレも使用できるようにしてほしい。

 

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リニューアルされた御殿場口新五合目の公衆トイレ

 

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同エコトイレの案内板

 

 

Iコースの幕岩から尾根上の須山口下山歩道へつなぐ斜面の歩道は、7月末と比べ、侵食箇所の補修や新たなガイドロープが整備されていた。

 

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踏み固められた歩道と新しいタイガーロープ

 

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従来の木段は上部がロープで通行禁止、迂回部分を通る

 

 

砂沢右岸の崩れやすい斜面の歩道を木段で整備する限り、今後も7月末と同様な侵食が起こり、丸太が流出し通行困難になるおそれがある。地形。地質など環境にあった自然石を利用した石組みなどの工法も検討したほうが良い。

 

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崩壊がすすむ幕岩南の砂沢右岸

 

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砂沢右岸斜面の不安定な丸太木段

 

 

標識

須山御胎内入口にある保存会の新しい歩道案内図と協議会自然休養林案内図で、異なった地点に同じ「御殿庭上」の地名が使われている。

 

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須山御胎内入口にある保存会案内図の「御殿庭上」

 

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須山御胎内入口にある協議会案内図の「御殿庭上」

 

 

また、協議会の標準標識の中に、『御殿庭』までの所要時間を記したものがあるが、協議会の歩道案内図には地名として記されていない。『御殿庭』は「御殿庭(下)」、「御殿庭(中)」、「御殿庭(上)」、「御殿庭(入り口)」の総称であるので、来訪者にどの地点を指すのか分からない。『御殿庭』のどこを指すかによって所要時間が最大85分も変わるので「御殿庭下」と表記してもらいたい。

 

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四辻の「御殿庭」表示

 

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二ツ塚分岐の「御殿庭」表示

 

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幕岩の「御殿庭」表示

 

 

須山御胎内上にある変則的な四差路に6つもの保存会標識や協議会案内図、協議会標識が設置されているが、「幕岩」方向が分かりにくい。須山御胎内上から須山御胎内入口方面へ行ったところに「幕岩」方向を示す協議会標準標識(①)、また、須山御胎内上から須山御胎内への踏み跡道に「幕岩」方向を示す協議会標準標識(②)がある。しかし、その「幕岩」方向を示す先に、水ヶ塚と幕岩との分岐があり、ここには、協議会標準補助標識(⑥)はあるものの、須山御胎内上から「幕岩」方面を示す標識がない。従って、須山御胎内入口方面、須山御胎内、水ヶ塚方面から、須山御胎内上に出たときには、「幕岩」の方向が分かりにくく、協議会の案内図(⑤)をよく見る必要がある。

 

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H/Iコースの火山荒原に設置された協議会標準標識は、厳しい気象条件のため、表面が摩耗して読みづらかったり、一部破損しているものがあった。

 

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四辻・二ツ塚間、一部破損した標準標識

 

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二ツ塚・大石茶屋間、表面が摩耗した標準標識

 

 

H/Iコースの四辻・二ツ塚間、二ツ塚・大石茶屋間でオフロードバイクと思われる轍があった。二ツ塚西側では轍は植生方向へ伸びていた。最近、自然公園法の「乗り入れ規制区域」に侵入したものと思われる。二ツ塚周辺は、数十年前にオフロード車により大規模に植生が破損され、その痕が今も回復していない。火山荒原の自然環境を保全するため、来訪者に『オフロード車の乗り入れ規制』が伝わるよう、協議会の案内図などでも紹介してほしい。

 

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植生方向へ伸びるオフロード・バイクの轍

 

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二ツ塚方向へのびるオフロード・バイクの轍)

 

 

今回のパトロール・コースには、協議会の標準標識やガイドロープが、ほぼ適切な間隔で設置されている。また、歩道の侵食荒廃などに対して定期的な補修管理が行われている箇所が多い。そうした管理のおかげで、須山口登山歩道や御殿庭連絡道で数多く見られた私的マーキング(下図参照)が比較的少ない。特に、世界文化遺産に登録された須山御胎内・須山下山歩道1.5合目間では、昨年まで、派手なピンク色の私的マーキングが設置され、迂回の踏み跡へ誘導したため植生を損傷し、世界文化遺産の風致景観を損なっていた。しかし、今回は下山歩道が整備され歩きやすくなり、風致景観を損なう派手な私的マーキングほとんど目につかず、本来の下山歩道周辺の自然環境を体験できた。

 

私的マーキングに対しては、来訪者の道迷いの誘発や植生損傷を防ぎ、さらに風致景観を維持するため対策が必要と思う。

 

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ピンクの丸は「私的マーキング」、左のパトロール・コースは2020年11月9日、右は2020年11月14日

 

 

ナラ枯れ

Fコースの須山御胎内入口近くのミズナラの幹に小孔と根元にフラス(木屑とフン)を確認した。「ナラ枯れ」と思われる。須山御胎内へ向かう歩道沿いのミズナラの根元を見たが、フラスは確認できなかった。Iコースの御殿場口新五合目から幕岩への歩道沿いのミズナラの根元にもフラスは確認できなかった。 今まで確認した「ナラ枯れ」は、西臼塚の西側駐車場近くと水ヶ塚の須山口登山歩道入り口近く、それと今回の須山御胎内入口の駐車場近だ。

 

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須山御胎内入口付近のミズナラ、幹に小孔が見える

 

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同、根元のフラス

 

 

ゴミ回収 26 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

1.紙 4 紙片 4
3.プラ 3 菓子容器 3
5.ビニール 19 2 紐    8 破片   9

 

 

 

 

 

 

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