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2020年11月16日 (月)

合同環境パトロール (2020-10) 自然休養林(6)

日時 2020年(令和2年)11月14日(土) 8:30 - 15:00
区域 富士山自然休養林F、Iコース
天候 晴れ
山頂 (8時) 気温-8.0℃、湿度 5%、645.6hPa
河口湖 (8時)上空2km NNW, 10m/s

 

富士山自然休養林ハイキング・コースF(問合せ先:御殿場市)、I(御殿場市)を須山御胎内入り口、幕岩上、四辻、二つ塚下塚、御殿場口新五合目、幕岩、須山口下山歩道1.5合、須山御胎内入り口の順に巡回する合同環境パトロールに参加した。

 

前日の13日、富士山自然休養林保護管理協議会のホームページで、一部利用可能のBと立入禁止のA、J、Mコース、携帯トイレの使用などか案内されたが、現地の須山御胎内入り口の協議会案内図には、同様な情報は掲示されていない。

 

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富士山自然休養林保護管理協議会のホームページ

 

 

Fコースの須山御胎内入口から須山下山歩道1.5合目までは、世界文化遺産の歩道区間(須山御胎内~幕岩上)を含んでおり、歩道上に石を配置した水切りが整備されていて、歩きやすかった。須山口登山歩道や御殿庭で見られたピンク色のビニールテープは見られず、世界文化遺産の歩道にふさわしい景観となっていた。Iコースの御殿場口・幕岩間は、侵食などにより樹木根の露出・損傷が目立った。歩道脇の倒木や枯損木が伐採されていた。幕岩から須山口下山歩道へつなぐ砂沢右岸斜面の歩道は、7月末と比べ侵食箇所が整備されていた。ただ、砂沢右岸の崩れやすい斜面の歩道を木段で整備する限り、再び7月末と同様な侵食が起こり通行困難になると予想される。

水ヶ塚公園駐車場の車は、朝8時頃約20台程度で、15時頃は約70台程度だった。パトロール中に来訪者11人に出会った。二人連れが4組、単独が3人。2人はトレイルランナー。ほとんど大半が水ヶ塚、須山御胎内入口から二つ塚下塚往復のようだ。

 

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朝8時の水ヶ塚公園駐車場

 

 

歩道

Fコースの須山御胎内入口から須山口下山歩道1.5合目までは、世界文化遺産の歩道区間(須山御胎内~幕岩上)を含め、多くの箇所で、石を水切りに配置し、雨水による侵食、ミズ道化を防ぐよう整備されていた、このため、歩道上に散乱していた、つまずきやすい石が移動され、歩きやすくなった。昨年8月の状態に比較して相当手が入れられている。

 

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歩道の片側を水切り用に石を配置

 

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歩道脇の植生へ水を流す水切り

 

 

Fコースの歩道荒廃は、須山口下山歩道1.5合目から、幕岩への下り分岐間の世界遺産の登山道区間で見られた。本来の歩道の東側に、直線的な踏み跡が2013年の大規模トレイルラン・レース以来、来訪者に利用されている。この迂回路の東側、砂沢右岸は崩壊が年々拡大している。本来の歩道の整備が必要だ。

 

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左が本来の歩道、右側が直線的な迂回路

 

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歩道拡幅、複線化、樹木根の損傷の世界文化遺産歩道

 

 

Iコースでは、御殿場口五合目から樹林帯に入った斜面で、侵食による段差や樹木根の露出・損傷や複線化が見られた。

 

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侵食、樹木根の露出・損傷

 

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侵食、樹木根の露出・損傷、複線化

 

 

施設・設備

H/Iコースの二つ塚下塚頂上にある記念碑の周囲ブロック塀と鳥居の土台の破損が進んでいた。

 

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二つ塚下塚頂上にある記念碑

 

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同鳥居

 

 

H/Iコースの二ツ塚・大石茶屋間の歩道上に、旧スキー場施設のコンクリートやワイヤーは残置されたままだ。大石茶屋対岸に残置されている大量のタイヤもそのままだった。来訪者の安全や良好な景観を維持するため、撤去をお願いしたい。御殿場口新五合目の第一駐車場では、冬季は撤去されていたトレイルステーションの建物が残置されていた。

 

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残置コンクリート

 

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浮き上がらないよう石で押さえつけた残置ワイヤー

 

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残置タイヤ群

 

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トレイルステーションの建物

 

 

Iコースの御殿場口新五合目の公衆トイレがリニューアルされ、エコトイレになっていた。御殿場市は10月21日よりI、Hコースを利用可能にした。コース開放時には、来訪者の便宜のため公衆トイレも使用できるようにしてほしい。

 

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リニューアルされた御殿場口新五合目の公衆トイレ

 

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同エコトイレの案内板

 

 

Iコースの幕岩から尾根上の須山口下山歩道へつなぐ斜面の歩道は、7月末と比べ、侵食箇所の補修や新たなガイドロープが整備されていた。

 

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踏み固められた歩道と新しいタイガーロープ

 

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従来の木段は上部がロープで通行禁止、迂回部分を通る

 

 

砂沢右岸の崩れやすい斜面の歩道を木段で整備する限り、今後も7月末と同様な侵食が起こり、丸太が流出し通行困難になるおそれがある。地形。地質など環境にあった自然石を利用した石組みなどの工法も検討したほうが良い。

 

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崩壊がすすむ幕岩南の砂沢右岸

 

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砂沢右岸斜面の不安定な丸太木段

 

 

標識

須山御胎内入口にある保存会の新しい歩道案内図と協議会自然休養林案内図で、異なった地点に同じ「御殿庭上」の地名が使われている。

 

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須山御胎内入口にある保存会案内図の「御殿庭上」

 

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須山御胎内入口にある協議会案内図の「御殿庭上」

 

 

また、協議会の標準標識の中に、『御殿庭』までの所要時間を記したものがあるが、協議会の歩道案内図には地名として記されていない。『御殿庭』は「御殿庭(下)」、「御殿庭(中)」、「御殿庭(上)」、「御殿庭(入り口)」の総称であるので、来訪者にどの地点を指すのか分からない。『御殿庭』のどこを指すかによって所要時間が最大85分も変わるので「御殿庭下」と表記してもらいたい。

 

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四辻の「御殿庭」表示

 

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二ツ塚分岐の「御殿庭」表示

 

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幕岩の「御殿庭」表示

 

 

須山御胎内上にある変則的な四差路に6つもの保存会標識や協議会案内図、協議会標識が設置されているが、「幕岩」方向が分かりにくい。須山御胎内上から須山御胎内入口方面へ行ったところに「幕岩」方向を示す協議会標準標識(①)、また、須山御胎内上から須山御胎内への踏み跡道に「幕岩」方向を示す協議会標準標識(②)がある。しかし、その「幕岩」方向を示す先に、水ヶ塚と幕岩との分岐があり、ここには、協議会標準補助標識(⑥)はあるものの、須山御胎内上から「幕岩」方面を示す標識がない。従って、須山御胎内入口方面、須山御胎内、水ヶ塚方面から、須山御胎内上に出たときには、「幕岩」の方向が分かりにくく、協議会の案内図(⑤)をよく見る必要がある。

 

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H/Iコースの火山荒原に設置された協議会標準標識は、厳しい気象条件のため、表面が摩耗して読みづらかったり、一部破損しているものがあった。

 

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四辻・二ツ塚間、一部破損した標準標識

 

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二ツ塚・大石茶屋間、表面が摩耗した標準標識

 

 

H/Iコースの四辻・二ツ塚間、二ツ塚・大石茶屋間でオフロードバイクと思われる轍があった。二ツ塚西側では轍は植生方向へ伸びていた。最近、自然公園法の「乗り入れ規制区域」に侵入したものと思われる。二ツ塚周辺は、数十年前にオフロード車により大規模に植生が破損され、その痕が今も回復していない。火山荒原の自然環境を保全するため、来訪者に『オフロード車の乗り入れ規制』が伝わるよう、協議会の案内図などでも紹介してほしい。

 

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植生方向へ伸びるオフロード・バイクの轍

 

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二ツ塚方向へのびるオフロード・バイクの轍)

 

 

今回のパトロール・コースには、協議会の標準標識やガイドロープが、ほぼ適切な間隔で設置されている。また、歩道の侵食荒廃などに対して定期的な補修管理が行われている箇所が多い。そうした管理のおかげで、須山口登山歩道や御殿庭連絡道で数多く見られた私的マーキング(下図参照)が比較的少ない。特に、世界文化遺産に登録された須山御胎内・須山下山歩道1.5合目間では、昨年まで、派手なピンク色の私的マーキングが設置され、迂回の踏み跡へ誘導したため植生を損傷し、世界文化遺産の風致景観を損なっていた。しかし、今回は下山歩道が整備され歩きやすくなり、風致景観を損なう派手な私的マーキングほとんど目につかず、本来の下山歩道周辺の自然環境を体験できた。

 

私的マーキングに対しては、来訪者の道迷いの誘発や植生損傷を防ぎ、さらに風致景観を維持するため対策が必要と思う。

 

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ピンクの丸は「私的マーキング」、左のパトロール・コースは2020年11月9日、右は2020年11月14日

 

 

ナラ枯れ

Fコースの須山御胎内入口近くのミズナラの幹に小孔と根元にフラス(木屑とフン)を確認した。「ナラ枯れ」と思われる。須山御胎内へ向かう歩道沿いのミズナラの根元を見たが、フラスは確認できなかった。Iコースの御殿場口新五合目から幕岩への歩道沿いのミズナラの根元にもフラスは確認できなかった。 今まで確認した「ナラ枯れ」は、西臼塚の西側駐車場近くと水ヶ塚の須山口登山歩道入り口近く、それと今回の須山御胎内入口の駐車場近だ。

 

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須山御胎内入口付近のミズナラ、幹に小孔が見える

 

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同、根元のフラス

 

 

ゴミ回収 26 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

1.紙 4 紙片 4
3.プラ 3 菓子容器 3
5.ビニール 19 2 紐    8 破片   9

 

 

 

 

 

 

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2020年11月13日 (金)

環境パトロール (2020-09) 自然休養林(5)

日時 2020年(令和2年)11月9日(月) 8:30 - 17:00
区域 富士山自然休養林D/E、C、Hコース
天候 曇り、霧雨
山頂 (8時) 気温-9.9℃、湿度 27%、632.4hPa
河口湖 (8時)上空3km W, 19m/s

 

富士山自然休養林D/E、C、Hコースを、水ヶ塚公園、須山口登山歩道1.5合、ガラン沢、御殿庭下、宝永第二火口縁、御殿庭上、御殿庭入口、御殿庭下、登山歩道1.5合、水ヶ塚公園の順路で環境パトロールした。当日、富士山自然休養林保護管理協議会のホームページでは、御殿庭下より上部のDコース、Hコースは立入禁止だが、御殿場市のホームページではHコースは利用可能となっていた。登山歩道入口の案内から立入禁止の表示は消えていたが、ガラン沢と御殿庭下の現地と水ヶ塚公園のトイレには立入禁止の表示があった。

 水ヶ塚から御殿庭下、御殿庭入口までの区間での状況は、9月、10月の環境パトロールとほぼ同様だった。一部の歩道段差や樹木根の隙間に石が積まれていた。同区間では、ピンク色のビニールテープが増えていた。御殿庭入口から御殿庭下までの区間では、ピンク色のビニール・テープが大幅に増加した。ビニールテープが標準標識にまで付けられていた。これは、2009年のトレイルラン・レースに見られたビニールテープ急増と同様だ。御殿庭の風致景観に派手な色彩のマーキングが異様に目立った。

宝永第三火口周辺では、異なる地点の標識に同一地名「御殿庭上」が使われれていて、過去10年改善をお願いしてきたが、未だに変更されていない。来訪者の安全のため、切に対応をお願いする。

水ヶ塚公園駐車場の車は、朝8時頃6台程度。パトロール中に来訪者3人に出会った。

 

歩道

 

D/Eコースの水ヶ塚から須山口登山歩道1.5合までの区間では、本来の歩道上の歩きづらい段差の一部や樹木根の隙間に石が積まれていた。歩道補修作業の一環かもしれない。

 

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歩きづらい大きな段差に石積み

 

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侵食された樹木根の隙間に石積み

 

C/Bコースでは、Bコースとの分岐点(標準標識「ガラン沢」)付近の涸れ沢を渡る歩道に流出した石が堆積していた。周辺にはガイドロープがあるが、倒木などで外れて植生の中を迂回している箇所かあった。御殿庭下までの区間は、他コースに比べて侵食など荒廃は少ないが、複線化した部分があった。

 

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倒木が歩道を塞ぎガイドロープ倒し植生部分に迂回

 

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御殿庭近く尾根筋になると歩道の複線化

 

Cコースの御殿庭下から宝永第二火口縁までの区間に設定している定点観測地点(標高2,080m)では、2007年頃から歩道が雨水によって洗掘され、歩行困難となり(①)、カイドロープで西側を迂回(②)。迂回付近は樹木など植生が損傷し(③)、迂回路の侵食がはじまった(④)。

 

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①定点観測地点、歩道が洗掘、右側を歩行、2011年5月

 

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②洗掘拡大で左側を迂回するガイドロープ、2011年9月

 

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③左側の迂回路により植生損傷、2013年8月

 

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④迂回側の植生損傷、2019年8月

 

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⑤現状

 

Hコースの宝永第三火口内の歩道が毎年の宝永山方面からの砂礫流出や利用の影響などで狭く不明瞭になっていた。 宝永第三火口から御殿庭入口までの歩道は、毎年報告しているように、歩道の拡幅、複線化、樹木根の露出・損傷が見られた。Cコースと同様に、水切りが付けられている箇所があった。御殿庭から宝永第二、第三火口周辺では、比較的新しい踏み跡がみられ、立ち入り規制時も多くの来訪者が御殿庭下から上のDコースやHコースを利用したようだ。

 

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Hコース宝永第三火口内の不明瞭な歩道

 

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歩道の拡幅、複線化、樹木根の露出・損傷

 

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歩道の拡幅、複線化、樹木根の露出・損傷

 

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歩道の複線化

 

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歩道の拡幅、複線化、樹木根の露出・損傷

 

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水切り

 

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宝永第二火口、第三火口鞍部の踏み跡

 

標識

 

富士山自然休養林のハイキング・コースには、富士山須山口登山歩道保存会と富士山自然休養林保護管理協議会の登山案内図・標準標識が併設されている。これらの案内板・標識のなかで「御殿庭上」という地名が異なる場所に使われ、来訪者の混乱を招いている。宝永第三火口西側のCコース(須山口登山歩道)に、保存会の「御殿庭上」(標高2270m)標識がある。一方、宝永第三火口東側、H(宝永火口縁~二つ塚~御殿場口新五合目)コースに、協議会の「御殿庭上」(標高2170m)標準標識がある。両者は直線距離にして約500m近く離れており、登山道を歩けば30分~50分の距離にある。

 

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Cコースの保存会標識「御殿庭上」、標高2270m

 

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Hコースの協議会標準標識「御殿庭上」、標高2170m

 

また、協議会の標識では、本来、「御殿庭下」と表示すべきところを、「御殿庭」と表示している。「御殿庭」は総称で協議会の歩道案内図に行き先地名としてはない。「御殿庭」では、「御殿庭(下)」、「御殿庭(中)」、「御殿庭(上)」、「御殿庭入り口」のいずれを指すのか分からない。総称「御殿庭」が、御殿庭入り口、御殿庭(上)、旧山体観測装置、御殿庭(中)、須山口・ガラン沢分岐の各標準標識で使われている。

 

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左側の矢印に「御殿庭」、所要時間から「御殿庭下」か

 

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右手前の矢印に「御殿庭」、時間から「御殿庭下」か

 

宝永第三火口の標準標識「御殿庭上」の近くには、過去に岩に直接「ごてんにわ」と白くペイントした地名表示が残置している。

 

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岩に直接地名をペイント

 

Cコースは、富士山における適正利用推進協議会の「富士山における標識類総合ガイドライン」でいう、「宝永山御殿庭線」にあたり、同ガイドラインの適用範囲であり、標識や地名の統一などガイドライン遵守が要請される。利用者の安全と利便を確保するとともに、秩序ある良好な風致景観を維持及び形成するため、標識の統合と地名の統一など2011年から報告書通じて再三、改善をお願いし続けているが、対応はなく遺憾に思っている。

 

Cコース、Hコースの合流点(旧地名「山体観測装置」)の標準標識は「倒れたまま残置されている」と昨年報告したが、今回、本来の位置より、南側の斜面約30mの位置に移動していた。強風によるものと思う。

 

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斜面を約30m移動した標準標識「旧山体観測装置」

 

昨年報告した標準標識「御殿庭上」とその南東側の標準標識の外れたり外れかかっていた誘導標識板が補修されていた。ボランティア環境パトロールで施設・設備などの損傷を報告し、それが関係者の方により補修され、来訪者の安全や便宜、自然環境の保全につながったことを確認できたときには、「やりがい」を感じる。

 

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補修された南東側の標準標識

 

各コースには、標準標識やその補助標識、また保存会の標識がほぼ適切な間隔で設置されている。しかし、歩道が自然侵食などで歩きづらくなり、まだ補修されていない箇所には、植生部分に踏み込む迂回の踏み跡ができ、そこに目印のビニール・テープがつけられている。一方、歩道も標識も整備されている区間に、派手なピンク色の(視認性の高い)大量の私的マーキングが設置され、風致景観を損なっている。そのような200を上回る私的マーキングの位置を下図で示す。ローマ数字(Ⅰ~Ⅳ)は、同じ特徴の私的マーキング群。

 

Map

青色の線は今回のパトロール・コース、紫の丸は私的マーキング、赤色のヒートマップは歩道の荒廃箇所

 

Ⅰ群 国有林富士山生物群集保護林内。歩道に侵食による通過困難箇所があり、歩道の脇に踏み跡ができ複線化した区間。林床のスズタケが枯れ、林内の見通しが効き、どこへでも行ける。通過(走行)しやすい直線的な踏み跡を私的マーキング(ビニールや木に直接ペイント)が誘導し植生を損傷している。10月以降、私的マーキングが増加した。この区間は、トレイルランのタイムトライアルに使われている。本来の登山歩道補修が行われれば、迂回路と私的マーキングは必要なくなる。

 

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左側の歩道を避け林内へ直線的に誘導、樹木根の損傷

 

Ⅱ群 以前あったDコースとCコースの連絡路に沿っていると思われるが、途中からマーキングは旧作業道にそって連絡路から離れている。連絡路が使われなくなり踏み跡はほとんどなく、来訪者は道迷いを起こしやすい。実際に進行方向が分からなくなった。

 

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踏み跡もない林内へ誘導

 

Ⅲ群 ゴンバ沢の定期的な土砂流出で部分的に歩道が分からなくなっている。登山歩道を整備し、標準標識を設置するまでの期間、管理者名やコース名、行き先を明示した公共(協議会)の簡易マーキング設置が必要。

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目立つピンク色に加えて目立たない色の私的マーキング

 

Ⅳ群 国有林富士山生物群集保護林内。国立公園第一種特別地域内。優れた風致景観の御殿庭を横断する連絡路。標準標識も適切な間隔で設置されている。9月9日以降、大量の私的マーキングが設置された。派手なピンク色テープが風致景観を損なっている。2009年11月トレイルランレース時に大量の私的マーキングが短期間に付けられた状況に似ている。状況から今回もイベント目的の私的マーキングかもしれない。

 

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すぐれた風致景観の御殿庭、2種類の私的マーキング

 

誰が設置したか(管理責任者)、どこへ誘導しているのか(行き先)、なんのために設置した(目的)が、来訪者に伝わらない私的なマーキングが多数設置されていた。管理者名や行き先のない私的マーキングは、2018年夏、須走口で起きた「嘘の矢印騒動」と同様に、来訪者をどこに誘導しようとしているのか分からず、かえって道迷いを起こす危険がある。登山道や歩道は公共の利用を前提としている。私的マーキングを無秩序に設置することは、来訪者の安全や便宜、秩序ある良好な風致景観の維持及び形成を損なうので、来訪者のみなさまには私的マーキングは設置しないようお願いしたい。

 

 

動植物

 

御殿庭周辺の亜高山帯では、日本固有の針葉樹「シラビソ」、「トウヒ」、「コメツガ」、「ゴヨウマツ」、「カラマツ」をみた。渡邉定元さんは『富士山を知る事典』の中で、「生態学的にみて護るべき富士山域の自然をあげると次のとおりである。第一は、亜高山帯の森林植生保全である。地球生態系の視点から日本の自然をとらえると、もっとも固有度の高いのは亜高山帯の森林群落である。富士山は日本列島のなかでその代表である」と指摘している。

 

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ゴヨウマツ

 

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トウヒ、針葉は内側に曲がり握っても痛くない

 

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ハリモミ? 握ると痛くトウヒよりハリモミに近い

 

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シラビソ

 

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コメツガ

 

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カラマツ、常緑の針葉樹の中で秋に黄葉し落葉する

 

黄葉の終わりを迎えていたカラマツに霧氷がつき、普段見られない景観だった。また、そのカラマツの枝にルリビタキ♀が止まっていた。

 

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宝永第二火口、第三火口鞍部のカラマツに霧氷

 

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標高2250mあたりのカラマツの枝にルリビタキ♀

 

保存会標識「御殿庭上」(標高2260m)周辺のカラマツは成長し、個体数も増えている。増澤武弘ふじさんネットワーク会長の解説を思い出した。「宝永第二火口縁から南西側の調査地で森林限界がどの程度上昇したか、個体数の急増やカラマツの直立の様子でみると、森林限界は1978年の7区から2008年4~5区へ上昇している」(2016年3月富士山勉強会)。宝永第二、第三火口内の西壁や火口底のカラマツも成長し、数も増えたように思える。

 

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標識背後のカラマツは樹高が高くなっている

 

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2005年7月

 

一方、その標識から北へ約200m離れた宝永第二・第三火口鞍部の匍匐型のカラマツ(標高2300m)はあまり変化してないようにみえた。強風などが生育に影響しているのだろう。

 

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宝永第二・第三火口鞍部の匍匐型のカラマツ

 

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2006年7月

 

水が塚公園からD/Eハイキングコースへの入口付近にあるミズナラの枝が枯れている。今回、根本を確認したらフラス(木屑)がついていた。カシノナガキクイムシによる「ナラ枯れ」と思われる。登山歩道を進みながら何本かのミズナラを見たが、根本にフラスは確認できなかった。

 

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須山口登山歩道入口のミズナラ

 

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同ミズナラの根本、フラスが確認できる

 

 

ゴミ回収 21個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

1.紙 3 紙片 3
2.布 7 タオル 4 その他 3
3.プラ 7 菓子容器 1 破片 6
5.ビニール 2 2
6.鉄 2 その他 2

 

 

 

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2020年11月 2日 (月)

環境パトロール (2020-08) 自然休養林(4)

日時 2020年(令和2年)10月14日(水) 13:00 - 16:00
区域 富士山自然休養林D/Eコース
天候 曇り、霧雨
山頂 (13時) 気温 1.1℃、湿度 35%、645.5hPa
河口湖 (13時)上空4km WSW, 17m/s

 

富士山自然休養林D/Eコースを、水ヶ塚公園から須山口登山歩道1.5合目まで環境パトロールした。このコースは侵食が進み、歩行が困難な従来からの登山歩道周辺には、段差を避けた踏み跡が幾筋もあり、植生を損傷し、環境保全上の課題となっている。9月の環境パトロールで従来からの登山歩道を歩いたとき、通行困難な箇所も少し手を加えれば修復できそうだった。あらためて、通行困難な箇所を確認した。

 

水ヶ塚公園駐車場の車は、12時頃10数台程度。このコースは今夏、立入可能なので多くの来訪者が利用している。パトロール中に来訪者7人に出会った。キノコ採りの2人連れ2組。犬をつれた男性が1人。高齢の二人連れハイカー1組。キノコ採りの来訪者が「今年は不作」と話していた。

 

 

歩道

 

今回確認した従来からの登山歩道の通過困難箇所は下図の通り。数字を振った箇所が通行する上で、補修が必要。

 

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図 須山口登山歩道1.5合目までの通過困難箇所。青色の線は従来の登山歩道。赤色の線は複線化した踏み跡。赤丸は通過困難場所

 

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(1)段差

 

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(1)段差 2020年7月

 

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(2)樹木根露出(下) 左側が複線化

 

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(2) 樹木根露出(上) 侵食で大きな根が露出

 

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(3)歩道を塞ぐ伐採木

 

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樹木根の露出(大規模トレイルラン・レース通過の歩道肩崩壊)

 

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(4)段差(下)

 

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(4) 段差(下) 2019年8月

 

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(4)段差(上)

 

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(5) 倒木

 

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(6)樹木根露出

 

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 侵食段差

 

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(7)樹木根の露出

 

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(8) 樹木根露出、段差(下)

 

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(8)樹木根露出、段差(上)

 

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(9) 倒木

 

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(10)段差、樹木根(下)

 

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(10) 段差、樹木根(下) 2013年4月

 

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(10) 段差、樹木根(上)

 

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 (11) 倒木

 

これらの通過困難箇所の中で、「(2) 樹木根露出」、「(8) 樹木根露出、段差」、「(10) 段差、樹木根」の箇所は段差が大きく侵食が深い。雨水の流下や溶岩流の境界が影響しているのだろう。修復作業に労力が必要だ。ただ、周辺に大小の岩石があるので、修復に利用できる。また、この歩道では、毎年、宝永第三火口からゴンバ沢経由で砂礫の自然流下が起きており、あたかも侵食段差を誰かが補修したように歩道表層を平滑化している。もし、この自然流下する砂礫を、段差箇所へ誘導できれば、自然による部分的な修復も可能かもしれない。

 

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自然林の入口近くまで到達する砂礫

 

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須山口登山歩道1.5合目近く。運搬された砂礫で平滑化

 

 

動植物

 

水が塚公園からD/Eハイキングコースへの入口付近にあるミズナラの枝が枯れている。ナラ枯れの可能性がある。

今回のパトロール中は、ニホンジカの目撃はなく、鳴き声もきかなかったが、登山歩道に入ってしばらくウラジロモミの植林地をぬける間で、ニホンジカの足跡がみられた。また、近年は、ニホンジカの食害や一斉枯死により林床から消失していたスズタケの新たな実生が数箇所で見られた。ササの実生の成長には時間がかかると言われているが、林床の変化を見守りたい。

 

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登山歩道入口のミズナラ、枝枯れ

 

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ウラジロモミ人工林内の登山歩道。ニホンジカの足跡

 

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スズタケの実生

 

 

ゴミ回収 5個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

1.紙 1 その他 1
3.プラ 2 菓子容器 2
6.鉄 2 2

 

 

 

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環境パトロール (2020-06) 自然休養林(3)

日時 2020年(令和2年)9月9日(水) 9:00 - 17:30
区域 富士山自然休養林K、D/H/F/Eコース
天候 晴れ、曇り、雨
山頂 (9時) 気温 5.6℃、湿度 100%、652.9hPa
河口湖 (9時)上空3km SW, 9m/s

 

水ヶ塚公園を起点として、西隣の腰切塚(富士山自然休養林Kコース)と須山口登山歩道の1.5合目、御殿庭下、御殿庭入り口、三ツ辻、幕岩上、須山口下山歩道1.5合目、南山林道経由、水ヶ塚公園(富士山自然休養林D、H、F、Eコース)を環境パトロールした。Hコースは今夏、立入禁止となっている(管理者の了承済)。

 

水ヶ塚公園駐車場の車は、8時頃15台程度で、10時過ぎには、貸切バス5台を含む多くの駐車があった。

 

腰切塚Kコースでは来訪者に出会わなかったが、御殿庭下までに13人に出会った。二人連れのハイカー4組。男性の単独者が5人で、一人は水ヶ塚から山頂往復、一人はトレラン姿で「上までパトロール」と話していた。若い女性二人組は、「宝永火口縁まで登った。10人ぐらいと出会った」と話していた。年配の男性来訪者が、登山歩道からかなり外れて林内を歩いていたので声がけし、注意をお願いした。

 

 

地形、自然侵食

 

侵食の影響がみられたのは、a. 腰切塚。b. 須山口登山歩道で自然林に入ってから、1.5合目までの区間。c. 2合目から御殿庭下の区間。d. 御殿庭入口周辺。

 

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a. 腰切塚のKコース、丸太階段下の侵食

 

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b. 本来の須山口登山歩道は侵食が進む

 

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c. 須山口登山歩道2合目から御殿庭下

 

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d. 御殿庭入口周辺

 

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e. 南山林道周辺の林床植生が火山礫に埋もれる

 

 

歩道と植生

 

腰切塚のKコースでは、丸太階段周辺が侵食し、階段がハードル状になって歩きづらく、階段の脇が複線化している箇所が多い。また、歩道脇や林内に枯損木がみらた。

 

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ハードル化し歩きづらい木段脇の複線化

 

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歩道脇の危険な枯損木

 

須山口登山歩道の1.5合目までの区間では、侵食により本来の登山歩道が通過困難になり、登山歩道周辺部や見通しが効く林内に数多くの踏み跡が生じ複線化している。今回のパトロールでは、本来の登山歩道を可能な限りトレースした。従来は侵食で段差ができ通行できなかった箇所が、さらなる侵食や砂礫の堆積で段差が減り、歩けるようになっていた。一方、登山歩道が水ミチとなり1m以上の段差に侵食している箇所が数箇所あり、通過に手間取った。結果的には、自然林の入口から、1.5合目目の先約200mところまで、本来の登山歩道を歩くことができた。

 

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1mを超える段差箇所も段差が減り通行可能

 

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本来の登山歩道を歩く。右側には幾筋もの踏み跡複線化

 

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本来の登山歩道。樹木根が露出し歩きづらい

 

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段差箇所。近くの小岩を移動すれば通過可能

 

須山口2合目から御殿庭下では、侵食によって歩道が水ミチ化し、石ころが多く歩きづらく、歩道外の植生部に踏み込む形の複線化がめだつ。場所によっては直線的(ショートカット的)な複線化も多い。

 

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右側を避け、植生部を通過

 

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直線的な複線化

 

こうした洗掘と堆積を繰り返してきた須山口登山歩道の侵食状況から、過去数十年以上、侵食されながらも通行できた本来の登山歩道は、補修が追いつけば、利用できそうだ。

 

御殿庭下から御殿庭入口までの区間(立ち入り禁止区間)では、歩道脇にコケ類や地衣類が生育し、庭園風景観がみられる。ここは、来訪者が歩道外へ踏み出さないよう保全対策が必須。この区間では、枯損木による掛かり木が複数見られる。

 

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歩道脇にコケ類や地衣類の庭園風景観

 

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枯損木の掛かり木

 

御殿庭入口から、三ツ辻・幕岩上までの区間(立入禁止区間)では、歩道の複線化とニホンジカによる食害が見られた。

 

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ミヤマヤナギの枯れ。ニホンジカの食害

 

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カラマツ林の林床に多く見られた歩道複線化

 

幕岩上から須山口下山歩道1.5合目までの世界文化遺産登録区間は、歩道の拡幅、複線化、植生損傷が進んでいる。

 

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世界遺産の登山道、拡幅、複線化、植生損傷進む

 

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同、左側が本来の登山道、2013年の大規模トレイルランレース利用後、直線的複線化

 

南山林道から水ヶ塚公園では、林道上に大きな落枝が多い。水ヶ塚近く、ミズナラの枝に葉が見えない。ナラ枯れか。

 

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南山林道には大きな落枝が多い。ヘルメットが必要

 

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水ヶ塚公園近くのミズナラ。この季節に葉が落ちている

 

水ヶ塚公園から腰切塚へ登る入り口付近には、以前フジアザミの大群落が見られた。最近は、10数株程度に減少している。

 

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現在少数のフジアザミが観察できる

 

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2008年フジアザミの大群生。白い紙袋は種の採種用か

 

 

外来(移入)植物

 

来訪者が多い水ヶ塚公園西隣の腰切塚では、踏み固められた各所で外来植物のオオバコ類をみた。クロカンコース脇で外来植物のセイヨウウツボグサを確認した。

 

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Kコース、腰切塚お鉢めぐり道のオオバコ類の群生

 

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Kコース入口近くのオオバコ類の群生

 

 

施設、設備

 

今夏、富士山登山道やアクセス道路の立入禁止にともない、多くの種類の禁止や注意案内が表示されている。水ヶ塚公園、御殿庭下、須山口下山歩道幕岩分岐に富士山自然休養林保護管理協議会による「立ち入り禁止区域の案内」、「立ち入り禁止の表示」や「来訪者への利用案内」が掲示されていた。幕岩上に「熊出没注意」が表示されていたが、これは西臼塚などで見られる表示とは別様式だった。

 

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Kコース、腰切塚入口の「立入禁止案内」

 

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御殿庭下・ガラン沢分岐の「来訪者への利用案内」

 

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御殿庭下、宝永火口方面の「立入禁止」表示

 

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同、宝永火口方面のテーブが切れ、ビニール紐で補修

 

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御殿庭下、御殿庭入口方面には「立入禁止」表示なし

 

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幕岩上、「熊出没注意」

 

雨が多い富士山南麓では、歩道に設置された木段の前後が侵食し、丸太がハードルのように通行の障害となり、来訪者は木段の脇を歩いて、歩道の拡幅・複線化を招きやすい。腰切塚のKコース歩道では、丸太を二本重ねた木段が使われハードル化している箇所が多い。北側の歩道では、上の丸太を外してハードル化を防止しているようだ。丸太と立杭を長いボルトで締め付けているが、山側にボルトが突き出ている箇所があり、来訪者の安全を損ねる可能性がある。

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Kコース南側の木段。ボルトの突出

 

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Kコース北側の木段。上の丸太を外したのかもしれない

 

 腰切塚展望台の手すりに近づけないよう、ロープが張られていた。下からみると、アスレチック・コースで見られるように丸太を伝って上がれるように意図したものらしい。上の開口部が広くなっており、小さな子どもには落下の恐れがあり、ロープが付けられたのかもしれない。立入を禁止されているハイキング・コースの「立入禁止案内」のように、注意喚起の案内板をつけてほしい。

 

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腰切塚頂上の展望台、注意喚起の案内がほしい

 

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同、下から見た展望台の開口部

 

昨年、水ヶ塚公園から腰切り塚へ登る入口付近にクロスカントリーコースが造成された。コースの路面に、ランナーへの衝撃を軽減されるため、ウッドチップが敷かれている。年間降雨量3,500mmを超える富士山南麓の多雨地帯で、側火山腰切塚の斜面に作られたコースでは、まとまった降雨のたびに侵食がおき、ウッドチッブ流れている。

 今年度からコース脇に丸太が設置され、ウッドチップが周辺部へ広がりにくくなった。しかし、まとまった雨水でウッドチッブがコース外へ溢れだしている。溢れ出たウッドチップが植生部分に達した箇所が散見される。コース内のウッドチップが減ると新たに追加され、コースからの流出、追加が繰り返されているようだ。

 ウッドチップの敷設は、畑のマルチコーティングなど農作業でよく利用され、土壌が富栄養化状態になる。現状のままでは、クロスカントリーコース周辺部の自然植生を結果的に富栄養化させている。クロスカントリーコースの周辺には、もともと、火山荒原のような低栄養の砂地に生息するフジアザミが群生していた。ウッドチップ敷設の影響を注視したい。

 

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クロスカントリー・コースの侵食状況

 

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同、敷設したウッドチップの流出状況

 

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Kコース歩道交差地点でのウッドチッブ流出

 

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(Kコースの歩道や周辺植生へ広がったウッドチッブ)

 

 

ゴミ回収 18個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

2.布 2 タオル 1
3.プラ 9 菓子容器 6 破片 2 その他 1
5.ビニール 5 1 4
7.ガラス 2 破片 2

 

 

 

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合同環境パトロール (2020-05) 自然休養林(2) 

日時 2020年(令和2年)9月5日(土) 8:00 - 14:30
区域 富士山自然休養林C/B/Aコース
天候 曇り、雨
山頂 (8時) 気温 9.3℃、湿度 86%、652.6hPa
河口湖 (8時)上空3km NNE, 3m/s

 

今夏、富士山自然休養林内で立ち入りが認められているハイキングコースC-2と立入禁止となっているB、Aコース(管理者の了承済)を巡回する合同環境パトロールに参加した(旧料金所ゲート、ガラン沢、高鉢駐車場、西臼塚駐車場)。

 

西臼塚駐車場(西側)には数台の車。パトロール中に出会った来訪者はいなかった。水ヶ塚公園駐車場の車は、午前8時頃60台程度、午後3時頃は40台程度に減っていた。

 


地形、自然侵食

長梅雨や今夏の大雨の影響で、歩道や歩道周辺に新たな侵食が見られた。特に侵食による荒廃が目立った箇所は、旧料金所ゲート近くのハイキングコース入口から約700mの区間、ガラン沢南東部、Bコースが横切る各沢(ガラン沢、不動沢、日沢など)周辺、高鉢駐車場から約600mの区間、西臼塚周辺。

 

旧料金所ゲート近くのCハイキングコース入口から約20mの歩道が、水ミチ化が進み「ガリー侵食」となり、約2mの段差(1mの段差と奥側の深さ約1mの侵食)となっている。

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Cコース入口付近の侵食状況

 

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1mの段差と奥側の深さ約1mの侵食

 

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上流側から見下ろす

 

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2008年9月のハイキングコース入口

 

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ガラン沢南東の歩道が水路となり侵食で通行困難


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日沢横断点。沢岸が侵食し大きな段差。倒木

 

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高鉢の東側歩道は、深さ70cmの窪みになっている

 

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西臼塚周辺。侵食により丸太階段流出)

 

 

歩道と植生

歩道の侵食が酷く、歩きづらい所は避けられ、歩道外の植生部分を歩くことにより、歩道の拡幅や複線化が起こり、周辺植生が損傷する。歩道の侵食、水ミチ化によって、もともと歩道の地下にあった樹木の根が露出し、踏まれることによって損傷する。C-2コースの旧料金所からしばらくの間、同コースガラン沢分岐南東の溶岩帯、高鉢東側のAコース、西臼塚周辺で顕著となっている。いずれも傾斜線方向の歩道で、集中降雨により歩道の水ミチ化侵食が進んでいる。 

 

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Cコース、水ミチ化、樹木根露出・損傷、複線化

 

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同、水ミチ化した歩道を避け複線化、植生損傷

 

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Aコース、高鉢東側。左側の歩道を避け複線化、植生損傷

 

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西臼塚、左側の荒廃歩道を避け複線化、植生損傷

 

①Cコースのガラン沢分岐南東側の溶岩帯は、幾種類ものスゲヤ類やコケ類が生息し、富士山樹林帯特有な庭園風の貴重な景観となっている。その溶岩帯で、従来の歩道が水ミチ化により、岩がゴロゴロとして歩きづらくなり、溶岩の植生部分に踏み跡ができ、貴重な植生を損傷している。Cコースは、富士市の「富士登山3776ルート」に指定され、国外も含め利用が推進されている。一方、この付近は、国立公園第2種特別地域として保護されている。Cコースは、先述したように入口付近は、ガリー状に侵食され、その他の歩道部分でも水ミチ化が目立ち歩行困難となり、複線化や洗掘で植生が損傷している。自然環境の保全と来訪者の安全の観点から、歩道や周辺自然環境の管理をお願いしたい。

 

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溶岩上のコケ類、樹林帯の貴重な植生、景観

 

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右側の歩道が歩きづらく、コケ類の植生上に踏み跡

 

②Bコースが通過する日沢は、毎年のようにスラッシュ雪崩や土石流で荒れた状態となる。横断点の沢岸が侵食され、大きな段差ができ従来の歩道が利用できない。迂回の踏み跡がありテープでマーキングされているが、新たな倒木のため、分かりづらい。

 

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毎年のように荒廃する日沢Bコース横断点付近

 

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同、新たな倒木のため、迂回路が確認しづらい

 

③西臼塚周辺の歩道も、侵食と木段補修の繰り返しで、場所によっては、木段が流出したり、腐食し、通過が困難となり複線化している。さらに、複線化部分も侵食し、樹木根が露出・損傷したり、歩道が拡幅し、植生を損傷している。西臼塚周辺は、散策や自然観察で子供連れにもよく利用されているので管理者に対応をお願いしたい。 

 西臼塚のミズナラは枯れ枝が目立ち始め、来訪者へ落枝注意案内表示がある。原因が、ナラ枯れ病なら、富士山南麓のミズナラに拡大する恐れがある。ミズナラの実は、ツキノワグマが冬眠前に栄養をとる重要な食物であり、ナラ枯れ病の拡大がツキノワグマの生態に影響するかもしれない。

 

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歩きづらい西臼塚の歩道。複線化を誘発

 

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西臼塚のミズナラ落枝注意。ナラ枯れ病か

 

 

外来(移入)植物

自然休養林内の駐車場周辺をはじめ、ハイキング歩道周辺で、外来植物が確認されている。Cハイキングコースでは、各所で外来植物のオオバコ類をみた。

 

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Cコース、オオバコ類の群生

 

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ガラン沢分岐、オオバコ類の群生

 

 

施設、設備

今夏、富士山登山道やアクセス道路の立入禁止にともない、多くの種類の禁止や注意案内が表示されている。旧料金所ゲートやガラン沢分岐、高鉢駐車場、西臼塚に、富士山自然休養林保護管理協議会による「立ち入り禁止区域の案内」、「立ち入り禁止の表示」や「来訪者への利用案内」が掲示されていた。

高鉢駐車場や西臼塚の歩道入口に「熊出没注意」、「“熊”出没中 危険に付き立入禁止」が掲示されていた。また、Aコースの二合目林道交差点や西臼塚に「銃による鳥獣捕獲作業中。立入禁止のお知らせ」が表示されていた。銃による鳥獣捕獲作業中は、大変危険だ。立ち入り厳禁。

 

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Cコース入り口の案内地図板に貼られた「立入禁止案内」

 

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Bコース、ガラン沢分岐の「立入禁止案内」

 

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高鉢駐車場、Aコース入り口の「“熊”出没中 立入禁止」

 

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西臼塚、「銃による鳥獣捕獲作業中。立入禁止」

 

雨が多い富士山南麓では侵食が進み、木材の腐食が進みやすい。歩道には、水ミチ化を防ぐ水切りが必須。丸太階段の改修では、立杭の打ち直しで、土壌を剪断し歩道の強度を弱めかねない。富士山南麓特有の自然環境に対応した歩道施設が必要だ。

 

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Bコースの沢、土留めでも侵食がすすむ

 

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ガラン沢東側の木段流失

 

 

ゴミ回収 11個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

3.プラ 3 菓子容器 1 破片 2
4.発泡スチロール 1 破片 1
5.ビニール 5 5
6.鉄 2 その他 2

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環境パトロール (2020-04) 自然休養林(1)

日時 2020年(令和2年)7月28日(火) 12:00 - 16:30
区域 富士山自然休養林Eコース(水ヶ塚公園、幕岩、水ヶ塚公園)
天候 曇り、小雨
山頂 (12時) 気温 6.6℃、湿度 100%、647.9hPa
河口湖 (16時)上空4km WNW, 18m/s

 

富士山自然休養林内で、今夏、立ち入りが認められているハイキングコースE(水ヶ塚公園から須山口登山歩道、幕岩、須山口下山歩道、御胎内、水ヶ塚公園まで)を環境パトロール。

スタート時点での水ヶ塚公園の駐車場の車は5台以下。

 

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夏にシャトルバスや車の無い閑散とした水ヶ塚公園の駐車場

 

地形、自然侵食

梅雨の大雨の影響で、歩道や歩道周辺で雨水による新たな侵食や崩落が見られた。浅黄塚北東部の歩道、登り1.5合から下り1.5合への水平歩道、幕岩周辺、幕岩・御胎内間の須山口下山歩道で侵食が目立った。

 

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浅黄塚北東部の歩道段差

 

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浅黄塚北東部の歩道段差と複線化

 

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2013年大勢のランナーが通過した歩道法面の崩壊

 

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涸れ沢を横切る水平歩道部分の侵食

 

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幕岩へ下る階段、60cmほどエグレ、階段が歩き辛い

 

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幕岩の堆積した礫が流れたいた

 

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砂沢右岸の崩壊地では南側に新たな倒木

 

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幕岩・御胎内間の世界文化遺産の登山道の侵食

 

 

歩道と植生

浅黄塚北東部から須山口登山歩道1.5合区間と世界文化遺産に登録された幕岩から須山口下山歩道1.5合を経て御胎内区間の歩道では、歩道の侵食が酷く、その整備が追いつかない。通過困難な場所を避けたり直進したりして、踏み跡の複線化が進み、歩道周辺の貴重な植生が損傷した場所が数多く見られる。また、この踏み跡には、ピンク色のビニール・テープで管理者不明のマーキングがつけられている。スズタケが枯れ林床植生が貧弱となった場所では、どこでも歩けるので、来訪者にとって本来の歩道が分かりにくい。出会った来訪者は、「ルートが分かりにくく、GPSを持参利用している」と話していた。

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浅黄塚北東部、左側の歩道を避けて貴重な植生を損傷

 

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同、左側の歩道を避けて貴重な植生を損傷

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幕岩近くの世界遺産登山道、直進で植生損傷

 

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幕岩・御胎内間の世界遺産登山道

 

これらの荒廃区間では、2013年の大規模トレイルラン・レース通過後、歩道の侵食が加速した。その歩道の整備が追いつかないうちに、歩道周辺の見通しが効く林内に入り込む踏み跡ができ、踏み跡にマーキングがされ複線化が加速している。また、現在でもトレイルランのタイムトライアルが行われ、その情報がSNSで拡散されている。富士山南麓の歩道は軟弱で、歩行の3倍を超える走行衝撃を想定して整備されている訳ではない。軟らかな(歩道の支持力が小さい)歩道を走行することは侵食を速め、その周辺植生に悪影響を加えている。

 

 

外来植物

自然休養林内の駐車場周辺をはじめ、ハイキング歩道周辺で、外来植物が確認されている。Eハイキングコースでは、各所で移入植物のオオバコ類をみた。特に須山口入り口、登り1.5合、南山休憩所、須山口下山歩道の幕岩分岐点では群生していた。

 また、水ヶ塚公園のクロカンコース脇で、セイヨウウツボグサが群生していた。セイヨウウツボグサはその名が示すように、欧米が現生地。数年前から水ヶ塚公園で確認されている。

 

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須山口歩道入り口、オオバコ類の群生

 

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登り1.5合ベンチ前、オオバコ類の群生

 

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南山休憩所前、オオバコ類の群生

 

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水ヶ塚公園クロカンコース脇のセイヨウウツボグサ

 

 

施設、設備

今夏、新型コロナ禍により初めて富士山登山道やアクセス道路の立入禁止措置がとられた。それに伴い、富士山自然休養林でも部分的に立ち入りが規制され、水ヶ塚公園や須山口入り口、須山口登り1.5合に、富士山自然休養林保護管理協議会による「立ち入り禁止区域の案内」や「来訪者への利用案内」が掲示されていた。また、幕岩上へ向かう須山口下山歩道と幕岩から御殿場口へ向かうIコースに「立ち入り禁止の表示」が設置されていた。

水ヶ塚公園のクロカンコースでは、コースの両脇に新たに丸太が埋め込まれていた。チップの流出防止対策かもしれない。

 

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歩道入り口の案内地図板に貼られた立入禁止案内

 

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須山口登り1.5合のコロナ流行時の利用案内

 

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御殿場口へ向かうIコースの立入禁止表示

 

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幕岩へ下る斜面、侵食により不安定な丸太階段

 

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クロカンコース境に新たに丸太設置

 

 

ゴミ回収 14個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

3.プラ 7 菓子容器 2 破片 3 その他 2
5.ビニール 5 4 破片 1
6.鉄 2 その他 2

 

 

 

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