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2016年10月 7日 (金)

実行委員会主催の「 最終コース説明及び環境モニタ リングについての説明会」

 時の流れが前後するが、開催前に参加した主催者説明会での対話と、その際お願いした私達の「要望書」を共有させていただきたい。
 

 実行委員会主催で「ウルトラトレイル・マウントフジ 2016 最終コース説明及び環境モニタリングについての説明会」が去る 9 月 2 日に開催された。実行委員会、裾野市、須山口登山歩道保存会、地権者の須山振興会、国からは沼津自然保護官事務所、富士五湖自然保護官事務所、静岡県からは自然保護課が出席していた。関係団体として富士山エコレンジャー連絡会も出席要請を受け参加した。
 
 私たちは第一回レースが実施されて以来、今回まで須山口登山歩道を中心に、現地を度々訪れてレースの影響をモニタリングしてきた。通算43日、延べ123人日をかけた現地環境調査の結果をふまえ、その都度、提案やお願い、要請書の提出を続けている。モニタリングを元にした要望は、主催者側にとって耳が痛い内容かもしれない。過去4回はその要望に返答はなかったが、今回初めて主催者説明会に富士山エコレンジャー連絡会を招き、説明しようとする姿勢は、大きな変化と思えた。
 
 
 
①主催者のコース及び環境モニタリングの説明と感想
 
●村越実行委員会副委員長から「自然環境に配慮した持続可能な大会運営のために」という主旨説明があった。説明では、行動規範やコース設定や大会の際の配慮事項がたくさん挙げられていた。
だが、結果的に私達の要望は実現すること無く、今年も荒廃著しい黒塚・須山口登山歩道をコース利用するという。

「あなたが決断したことについて、私はなんとも言えません。結果を見て初めて、称賛されるべきかどうかがわかるということだけ、言っておきます。(マハトマ・ガンジー)」。大切なことは、決めたことは良い結果を出すということだと思っている。

●千葉事務局長から、コースの紹介と調査箇所が説明された。須山口関連では、調査箇所は昨年の 1 箇所から 5 箇所に増加した。だが、過去 4 回利用され続け、年々荒廃が進んでいる崩壊崖上の狭い歩道区間が含まれていない。一般来訪者の安全確保も考慮して、調査箇所に追加をお願いした。黒塚、須山口登山歩道区間の大部分は追い越し禁止区間に設定され、はみ出し防止にロープを設置するとのことだが、実行委員会の禁止措置が選手に守られるよう監視など対応をお願いした。

●富士山ではトレイル率(コースのうち未舗装の歩道が占める%)が現在 69%で、国際基準は 80%との説明があった。湿潤で火山が多い日本の環境特質を考えた場合、トレイル率は低いほど自然環境に配慮した持続可能な大会であり、そうした日本基準を世界に発信して欲しいとお願いした。
富士山を冠する大規模な大会だ。特に富士山という場の特質も考えて欲しい。富士山は世界文化遺産に登録され世界に保全を約束している。私達が調査区間としている黒塚、須山口登山歩道は、世界文化遺産の効果的な保全を目的として資産の周辺に設定した緩衝地帯や自主的な管理に務める保全区域に設定されている。構成要素、構成資産に登録されている区間の須山口登山道と深い関わりがある場所だ。

●今回の説明で、主催者の調査箇所の増加、モニタリングの継続やレース実施ルールの厳格化など主催者の対応に変化がみられた事は、今まで継続し続けてきた私達の調査活動が、主催者や環境省をはじめとする関係者に一定の理解をいただいたと言えるかもしれない。
今後共、主催者が適切な環境モニタリングを継続され、その結果に対応する順応的管理がより実効的なものになるよう、引き続き活動していきたい。
 
 
  
②富士山エコレンジャー連絡会からの要望と対話を通じて思ったこと
 
●過去 4 回のウルトラトレイル・マウントフジに対して、富士山エコレンジャー連絡会からは、提案や要望を続けている。2013 年、2014 年は調査報告書での提案、2015 年は、初めての意見交換会での要望書、合同現地調査での環境アセスに基づくお願いをしてきた。

そして今回、昨年のレース前後から、2 月、5 月、7 月の追加調査に基づいた2016年開催に対する要望書を説明した。実行委員会から、すぐに検討、対応するといった反応はなかった。

●現場の実情を知っている方は少ないと思われるので、富士山エコレンジャーが昨年調査した 215 箇所のレース実施前、実施後、1 ヶ月後、10 ヶ月後(主催者土留め対策後)の比較写真と、昨年は利用されなかったが 2014 年まで 3 回連続利用され、著しく荒廃した箇所の比較写真を回覧し見てもらった。

●地域振興はとても重要な事だ。自然環境の保全と継続可能な利用が地域振興につながってほしい。だからこそ、レースによって激変した登山道や周辺の自然をしっかり調査し、適切なコース選定や実施時期の検討、適切な保全管理をして欲しい。

●須山口登山歩道は、その自然や文化、歴史に親しみ、大切にしたいと思っている一般来訪者も利用している。大規模レースのコース継続利用で、急速に荒廃がすすむ様子を見ると、公共の登山歩道では、そうした他者への影響も配慮いただきたい。

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