活動報告 2016-08 事前調査
活動日時 2016年(平成28年)9月22日(木)8:00 - 13:00
活動区域 須山口弁当場→黒塚→大調整池北→須山口弁当場
天候 雨
参考 山頂(10時) 気温 4.7゜C、湿度99%、651.0hPa
河口湖上空3km SSE 13m/s(8時)
別荘地東側の鉄塔下(標高1,100m)から黒塚中腹(同1,193m)、フジバラ平(同1,155m)を経て大調整池北(同1,230m)までの2016年度ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)調査区間(上図、区間⑦~区間⑥)レース実施直前(通過2日前)の現状確認を行った。富士山エコレンジャーの仲間たちと、ビデオ、写真撮影、レース実施前の土壌硬度を測定した。
9月になって、台風16号や秋雨で降雨量が多い日が続いているが、調査日も朝からかなりの雨が降っていた。
ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)2016植生保全環境事前調査
2016年7月末の確認時に比べて、黒塚の区間③、④では、部分的にコース・ロープが設置されていた。歩道の路面状況は、度重なる降雨によって含水量が多く、軟弱だった。1,000人を上回る大規模ランナーの連続踏圧が加われば、昨年と同様に、路面が泥濘化し(歩道表層の破壊)、歩きにくくなった歩道からのはみ出し(植生損傷)が容易に予想された。また、ランナーや一般来訪者の安全面で懸念を持った。
二箇所の調整池は増水している。また、須山口登山歩道に使われている涸れ沢も、雨が少し強くなると見る間に増水した。この涸れ沢は土石流危険渓流に指定されている。
区間③ 黒塚登り斜面。ロープが設置されていた。
区間④ 昨年から利用の黒塚下り斜面
区間⑤ 過去4回利用した崩壊が進む崖上の危険箇所
区間⑥ 外来種ハルザキヤマガラシの実散布
フジバラ平の調整池 増水し植生が水没
普段は水が無い大調整池も増水
調査区間⑥終端の普段は涸沢の登山歩道
同地点、雨が強く降り出すと、見る間に増水
レース実施前の土壌硬度
各調査区間で山中式土壌硬度計を使用して土壌硬度を測定した。各区間で傾斜をもとに3地点を選び、各地点では歩道中央部を3回ずつ計測し平均値を求めた。
中山式土壌硬度計のメーカーによれば、測定値は「土壌基盤の支持力、安定性」を示し、その指示硬度指数(mm)は、土壌支持力強度(kgf/cm2)を表す。それらの対応関係は指数関数的に増加する(下図グラフ)。
過去4回、主催者は須山口登山歩道におけるレース実施前の土壌硬度測定値を公表している(下図星印)。また、私達の調査では、調査区間全域でレースによる登山道表層破壊、拡幅、複線化や植生損傷など荒廃を記録している。
これらのデータを突き合わせると、硬度計指数15mm未満(下図の赤色部分)の軟弱な須山口登山歩道において、土壌支持力を大きく上回る負荷(走行による衝撃とその繰り返し)によって、登山道表層の破壊を招き、荒廃が加速されたことが記録されている。
今回計測した2016年レース実施前のコース土壌支持力は15地点平均で9.6mmと昨年主催者によって1地点で測定された土壌硬度を下回っている。現在の軟弱な路面状況で実施すれば、昨年と同様、黒塚、須山口登山歩道では、歩道表層の破壊、荒廃箇所を避けるため歩道の拡幅や複線化を招き、植生損傷が高い確率で発生すると考えられる。また、実施中は、崩壊が進む崖上の狭い歩道でのスリップや土石流危険渓流になっている涸れ沢での急激な増水など安全面での懸念がもたれる。さらに、実施後、須山口登山歩道来訪者の安全にも影響を及ぼすおそれがある。
歩道上の小動物
区間⑤で歩道を横断するヒキガエルを見た。夜行性のモリアオガエルは見なかった。
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コメント
継続的な地道な調査に頭が下がりますm(_ _)m
先般、facebookにシェアしたトレイル大会のVTRですが、大半の方は批判的な意見でした。
同じランニングを愛する者として、映像の人達への違和感を感じました。
自然に親しむとはどういうことかという原点に、気づいて頂きたいものです。
投稿: 最勝寺久和 | 2016年9月28日 (水) 05時39分