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2016年2月28日 (日)

活動報告 2015-17 須山口登山歩道環境パトロール(続き)

2. ニホンジカの食害

20160222deer
(図 ニホンジカ食害多発地点 黄丸)
 
 ニホンジカの食害と思われる樹木の樹皮剥ぎが、上図の黄丸箇所で集中的に見られた。昨年9月、10月の環境パトロールの際は、これほど多くの樹皮剥ぎは確認されなかった。幹や根株周辺の食痕は比較的新しく、最近の食害だろう。樹種は、キハダが多く、ミズキなどの広葉樹、ヒノキやウラジロモミなどの針葉樹が見られる。
 
 須山口登山歩道の生き物調査定点観測カメラでは、2014年度(2014/4/23~2015/4/20)、ニホンジカの通過が2月をピークとして記録されている。
 
 
2015年2月21日は21頭のグループ通過が撮影された。
 

 

 2月に、須山口登山道でニホンジカの集中が見られるのは、富士山南麓での季節的移動やここ数年実施されている、上部の国有林内でのニホンジカ捕獲が関係しているのかもしれない。 
 
 
Photo
(図 須山口登山道での定点カメラによるニホンジカ通過の状況)
 


 
P1080320
(写真 フジバラ平北) 
 
 
P1080326
(写真 フジバラ平北、キハダ)
 
 
P1080516
(写真 ゴルフ場東、キハダ)
 
 
P1080520
(写真 ゴルフ場東、キハダ)
 
 
P1080545_2
(写真 スキー場東、ヒノキ)
 
 
P1080676
(写真 スキー場東、ウラジロモミ)
 
 
 定期的な環境パトロールを通じて、須山口登山歩道周辺の荒廃が加速して進行していることを改めて確認した。これには様々な要因が複合的に関係しているようだ。
  1. 地形、地質の特性: 急傾斜地、側火山の噴火堆積物、軟弱な土壌
  2 .気象条件: 年間3000mm~3500mmの多雨、冬季の雪、氷結・霜による凍上融解
  3. ニホンジカの増加:食害による林床植生の貧弱化により表面流水の増加、踏圧の増大

 こうした厳しい自然条件のもとで、地元行政も参画するレース実行委員会の運営には、歩道維持管理、他の来訪者の安全管理、さらに自然環境保全の面から、解決を必要とする数多くの課題がある。
  1. 大規模(1000人を上回る)利用による連続踏圧(50トン~100トンの.累積荷重)の蓄積
  2. 場所によっては4年間繰り返し利用
  3. 一周組を半周組が追い越すことを前提にしたレース設定
  4. 雨天時に実施し、他の来訪者の安全を損ないかねない危険な状態で公共の登山道を放置
  5. 生息生物を脅かす昼夜を問わぬ利用
  6. 不十分な(距離にして1%未満)主催者の環境調査

 主催者の環境アセスや荒廃を確認する調査が不十分なため、Plan-Do-Seeの適切な管理運営サイクルが機能せずに、結果的に、須山口登山歩道や周辺の自然環境が荒廃・劣化し、地元の自然環境(宝物)の価値が低減し続けていると言わざるをえない。
 
 レース主催者には、管理運営の改善とともに、須山口登山道とその周部を保全、回復するためしばらくの間、迂回するようお願いしたい。
 
 
 
ゴミ回収 53個 ゴミ収集記録(調査票に対応)
 1.紙 4          (5)タバコ吸い殻 4
 3.プラスティック 29  (1)ペットボトル 1 (3)菓子容器 13 (5)破片 15
 5.ビニール 8      (2)袋 2 (3)紐 2 (4)破片 2 (5)その他 2
 6.鉄 10         (2)飲料缶 6 (6)アルミ飲料缶 4
 7.ガラス 2       (2)破片 2


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2016年2月27日 (土)

活動報告 2015-17 須山口登山歩道環境パトロール

活動日時  2016年(平成28年)2月22日(月)8::30 - 15:00 
活動区域  須山口弁当場~水が塚水源地上 往復
天候     曇り
参考     山頂 気温 -14.9゜C、湿度56%、638.8hPa(8時)
        河口湖上空4km W 31m/s(13時)

 
ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)植生保全環境調査(継続)
 須山口弁当場(標高1,009m)から黒塚中腹(標高1,193m)、フジバラ平(標高1,155m)を経て大調整池北(標高1,230m)までの本年度調査区間(2015年レース実施後5ヶ月)と、水ヶ塚水源地上(標高1,425m)から弁当場分岐(標高1,090m)を含む従来の調査区間(2014年、2013年、2012年)の歩道とその周辺部を観察し、写真で現状を記録。
 
 過去3回、4月又は5月に実施された大規模トレイルラン・レースの調査を通じて、レース直後の荒廃と、その後の降雨による土壌侵食を確認してきた。4回めのレースは、昨年9月に実施され、その後の冬期においても、雨や雪、氷結や霜によって土壌侵食が進んでいくことを知った。つまり、一旦、登山道が荒廃すると、年間を通して荒廃は加速していくということだ。
 
20160222soildegradation
(図 黒塚・須山口登山道、赤丸は荒廃地点、白枠内は利用年)

  

①2015年に初めて利用された区間(上図の①区間)
 多くの地点で、昨年10月下旬に調査確認した歩道上の落葉が減り、実施直後の土壌表層の泥濘が流されているところが数多く見られ、土壌侵食が進んだ。送電線鉄塔北側の急傾斜地(主催者の調査地点)では、侵食が進んだ箇所が見られた。黒塚北東部の放射谷群では、特に、北側の下り斜面には、ランナー通過による土壌表層部の破壊箇所に侵食が見られた。また、北側斜面では氷結し硬い箇所もあり、融けてグショグショになった路面もあった。
 

P1070778
(写真 弁当場近く比較的緩傾斜部)
 
 
P1070789
(写真 弁当場近く)
 
 
P1070928
(写真 送電線鉄塔の北側、主催者調査地点)
 
 
P1080127
(写真 放射谷#1北側下り斜面)
 
 
P1080129
(写真 同、侵食のようす)
 
 
P1080146
(写真 放射谷#2北側下り斜面)
 
 
P1080164
(写真 放射谷#3北側下り斜面)
 
 
P1080186
(写真 放射谷#4北側下り斜面上部)  
 
 
P1080192
(写真 放射谷#4北側下り斜面下部)
 
 
P1080210
(写真 放射谷#5北側下り斜面)
 
 
P1080220
(写真 放射谷#6北側下り斜面)
 
 
P1080258
(写真 放射谷#7北側下り斜面 複線化)
 
 
 
②2015年、14年、13年、12年に利用された区間(上図の②区間)
 4年連続して利用された区間では、年間を通じ比較的降雨量の少ない冬期でさえ、土壌侵食が進んでいる。
 
 
P1030063
(写真 崩壊崖近くの歩道、2013/4/28 実施直後)
 
 
P1070475
(写真 同地点、2014/5/2 実施直後)
 
 
519420150913
(写真 同地点、2015/9/13 実施前)
 
 
519420150927
(写真 同地点、2015/9/27 実施直後)
 
 
519420151028
(写真 同地点、2015/10/28 実施1ヶ月後)
 
 
P1080348
(写真 同地点、2016/2/22 実施5ヶ月後)
 
 
P1080350
(写真 同地点、2016/2/22 実施5ヶ月後、侵食の様子拡大)
 
 
P1080356
(写真 #30*狭い登山道、滑落の危険あり) 注 *数字は、2012年からの定点観測地点番号
 
 
P1080358
(写真 同地点、反対方向から)
 
 
P1080389
(写真 #27新迂回路南階段-1) 
 
 
P1080409
(写真 #26新迂回路北斜面-2)
 
 
P1080423
(写真 #25新迂回路北斜面-1)
 
 
P1080432
(写真 旧歩道崩壊崖、霜による凍上融解崩落)
  
 
 
③2014年、13年、12年に利用された区間(上図の③区間)
 過去3回連続して使用され、1年使用されなかった区間では、大規模トレイルラン・レースに利用されなくても、一旦進み始めた土壌侵食が進んでいる。特に、黒塚東斜面(#45~#50)では土壌侵食が加速している。
 
 
P1080560
(写真 #19土人形斜面-2) 
 
 
P1080565
(写真 #18土人形斜面-1)
 
 
P1080583
(写真 #13埋設ホース露出斜面-全景)
 
 
P1080593
(写真 #16埋設ホース露出斜面-3)
 
 
P1080605
(写真 #14埋設ホース露出斜面-2)
 
 
P1080643
(写真 #10主催者2014年調査地点、変化が少ない)
 
 
P1080717
(写真 #1配水管2012年通過で登山道崩落)
 
 
P1080699
(写真 同地点、配水管継手損傷)
 
 
P1080814
(写真 #33小沢)
 
 
P1080821
(写真 #34ズリ落ち登山道)
 
 
P1080844
(写真 #38第3崩壊地斜面-2)
 
 
P1080868
(写真 #40第3崩壊地斜面-4)
 
 
P1080892
(写真 #46黒塚東斜面-2)
 
 
P1090004
(写真 #46黒塚東斜面-2、下方から)


P1090014
(写真 #48黒塚東斜面-4)


P1090031
(写真 黒塚東斜面-全景、段差部分の侵食が加速している)
 
 
(続く)

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