『富士山のまもりびと』

「富士山エコレンジャー」の活動の様子を、ふじのくにメディアチャンネル(静岡県庁公式)に紹介いただいた。

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2022年4月15日 (金)

静岡県は森林情報公開の先進県 その4

静岡県は「静岡県 富士山および静岡東部 点群データ」を2022年3月、G空間情報センターから公開した。この点群データは、航空レーザ計測や、航空レーザ測深、移動計測車両、バックパック・レーザー計測により取得統合した高精度3次元点群データ。

 

今回の点群データでは、航空レーザー測量で0.5mグリッドの高密度標高データ(グリッドデータ)が利用可能となった。以前紹介した静岡県CS立体図は、航空レーザー測量で、樹冠下の地形を 1.0m グリッド程度の解像度で計測した標高データを使用していた。

山頂中央火口底で比較してみる。より詳細に落石の様子が分かる。

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(中央火口底 点群データをCS立体図化)

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(従来からの静岡県CS立体図) 

 

富士山のオリジナル点群データ(グラウンドデータ)は見るのが楽しい、役立ちそうだ。

頂上剣ヶ峰への最後の急坂「馬の背」。3Dでさまざまな角度から眺めることができる。西側に鉄柵がつけられているが、こちら側の斜面はストンとどこまでも落ちていく危険な状態が分かりやすい。

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(頂上剣ヶ峰「馬の背」西側の急斜面)

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(点群データから切断面を表示)

重機がこの「馬の背」を通過する際、誘導員が登山者に鉄柵の外へ出るよう指示していた。昨年7月にも同様な報告があった。

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(疲れた登山者には、滑ったら大変危険、2007年9月)

 

 

点群データでは距離もすぐに出るし、樹種まで分かりそうだ。

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(幕岩直下の崩落が進む砂沢右岸)

 

黒塚周辺の調整池で現地確認した外来植物ハルザキヤマガラシの群生。

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(点群データで俯瞰したハルザキヤマガラシの群生)

 

レーザー光の反射強度を色付けしてみるとはっきり広がりが分かる。

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(同、中央の濃いピンク部分がハルザキヤマガラシ)

 

「静岡県 富士山および静岡東部 点群データ」では、各登山道をバックパックにつけてレーザー計測したデータも公開された。

夏のご来光時に長い渋滞を起こす、富士宮口頂上直下の登山道。

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(渋滞の原因となる富士宮口頂上直下の段差、2007年9月)

 

この段差部分を点群データで見てみると、

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(航空レーザー計測の点群で見た段差部分)

 

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(バックパック・レーザー計測の点群で見た登山道段差)

 

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(拡大して段差をツールで測ることもできる)

 

来訪者の安全や植生保全など富士山エコレンジャーの活動に「静岡県 富士山および静岡東部 点群データ」はとても役立つ。

 

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2021年9月18日 (土)

静岡県は森林情報公開の先進県 その3

2020年4月、静岡県はG空間情報センターで、「静岡県 富士山南東部・伊豆東部 点群データ」を公開した。「静岡県 富士山南東部・伊豆東部 点群データ」は、航空レーザ計測や、航空レーザ測深、移動計測車両により取得統合した高精度3次元点群データ。

 

以前紹介した静岡県CS立体図は、航空レーザー測量で、樹冠下の地形を 1.0m メッシュ程度の高解像度で計測したデータを使用しているが、今回の点群データは、航空レーザー測量で1.0平方mあたり16点以上の高密度データとなっている。

 

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ビャクシンの自生地として知られる大瀬崎(QGISによる点群データの2D表示)

 

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QGIS LAStoolsによる3D表示

 

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点群データから作成した樹冠表面の等高線図

 

 

公開された点群データは防災を始め様々な分野での利用が進められている。

 

 ●2021年7月3日静岡県熱海市土石流災害ドローンレーザ計測データ

 

富士山南麓の点群データがオープン・データとして公開され、富士山南麓の歩道やその周辺自然環境の保全、減災に使われ、持続可能な利用が進むよう期待している。

 

 

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2021年8月27日 (金)

環境パトロール (2021-09) 自然休養林のハイキングコース E

日時 2021年(令和3年)8月24日(火)  8:30 - 15:30
区域 自然休養林Eコース(水ヶ塚公園・登1.5合、幕岩、御胎内)
天候 曇り/ 晴れ
山頂 (8時) 気温3.7℃、湿度 100%、649.1hPa
河口湖 (8時)上空3km W, 10m/s

 

 

富士山自然休養林ハイキングコースE(水ヶ塚公園から須山口登山歩道、幕岩、須山口下山歩道、御胎内を経て、水ヶ塚公園まで)を環境パトロールした。スカイライン富士宮側は8月17日から大雨被害による通行止め。

スタート時点での水ヶ塚公園の駐車場の車は約80台。終了時も同程度の駐車台数。検温の係の方に聞いた話では、「15時20分現在、本日は167名検温済」とのことだった。係の方へは富士山への来訪自粛要請は伝わっていなかった。パトロール中に会話した来訪者は5名(男女2名2組。単独女性1名)。

 

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朝8時の水ヶ塚駐車場

 

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同、検温ステーション

 

 

水ヶ塚上のEコース開始地点と腰切塚へのKコース入り口の標準標識には、静岡県の「緊急事態宣言による自然歩道をふくむ観光施設使用自粛」が案内されていた。水ヶ塚上には森林管理署の「A、Bコース立入禁止案内」も表示。

 

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水ヶ塚上の標識につけられた利用自粛案内

 

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森林管理署の「A、Bコース立入禁止案内」

 

 

富士登山オフィシャル・サイトには、8月23日づけで、富士山への来訪を自粛するようお願いが掲示されている。 また、富士山自然休養林のホームページでは、当面の間、ハイキングコースの利用を控えるよう、利用自粛が案内されていた。また、Aコース、Cコースの全面利用禁止が案内されている。

 

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左:富士登山オフシャル・サイト 中と右: 富士山自然休養林のホームページ

 

 

 

地形・歩道

大雨の影響で歩道や階段部分に大きな侵食が見られた。昨年7月のEコース環境パトロールで報告した箇所を中心に、場所によっては、大きな侵食となって、通行や植生保全に影響があり、雨水経路を含む整備が必要と思われる。

 

水ヶ塚・須山口登山歩道1.5合(国有林保護林)

 

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浅黄塚東部の歩道脇侵食

 

 

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浅黄塚分岐・1.5合間登山歩道脇の侵食

 

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この区間の、連続した登山歩道侵食の最上部

 

 

この区間の連続した侵食の最上部から、登山歩道がミズ道となり大雨のたびに登山歩道の侵食が深くなっている。この最上部の上側は、宝永第三火口からの流出砂礫の堆積地となっている。この堆積地を通過する雨水が侵食最上部へ集まっている。この集中を避けるために堆積地に複数の水切り(写真ポール方向)をつけ周辺植生部へ雨水を分散させたい。

 

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連続した侵食の最上部から上手の登山歩道、ミズ道化

 

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砂礫が堆積した登山歩道にポール方向に水切り設置

 

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砂礫が堆積した登山歩道にポール方向に水切り設置

 

 

須山口登山歩道1.5合・須山口下山歩道1.5合間の水平道

 

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水平歩道が涸れ沢を横切る地点での侵食

 

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須山口下山歩道1.5合・幕岩下降点(世界遺産構成要素の須山口登山道区間)

大規模トレイルラン・レース(UTMF2013)時に、尾根上のうねった歩道を外れて直線的な踏み跡が明瞭になった。その後、来訪者はこの直線化した複線化部分を利用し、ミズ道となり侵食が進んでいる。

 

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須山口下山歩道1.5合

 

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右側に曲がっていた歩道が直線化しミズ道となる

 

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右側に曲がっていた歩道が直線化しミズ道となる

 

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崩落岸へ近づく直線化した踏み跡がミズ道となる

 

 

幕岩への下降路

幕岩への急な下降路は、昨年7月と同様に大雨による侵食が顕著。今年5月の環境パトロール時には、整備され歩きやすくなっていた。今回は、下りに不安を感じる状態になった。

 

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ミズ道化した歩道の侵食、樹木根が露出

 

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右側を避け左側の流失した木段部にも踏み跡

 

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崩れやすい砂礫部分の侵食

 

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同、例年の大雨後と同様に深く侵食

 

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場所によっては危険を感じる下り

 

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右側の立杭部分の土台が侵食でなくなり木段流出

 

 

幕岩・御胎内間の世界文化遺産の登山道

昨秋の環境パトロールで石を移動し歩きやすくなっていた下山歩道では、簡易的な水切りが数多く見られた。短い距離で植生部に水を逃している箇所は効果が見られる。一方、比較的長い距離に直線的に設置された簡易水切りは、雨水を集め、下流で下山道の侵食を大きくしている。

 

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幕岩・御胎内間の世界文化遺産の登山道の水切り

 

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同、短い距離で植生部分へ雨水を逃している

 

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同、直線的に長い水切りが続く

 

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同、集まった雨水で歩道が深く侵食

 

 

施設、標識

●水ヶ塚上の標準標識にくくりつけられた「自粛要請案内」は、取付け紐がゆるく、風で寄せられ読めなかったので縛り直した。また、水ヶ塚上の入り口に掲示されていた「クマ注意」の案内板は外れて土で汚れ読みにくくなっていた。

 

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風で移動し読めない自粛要請案内

 

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来訪者へ見えるように自粛要請案内を縛り直し

 

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外れて土で汚れ読めない「クマ出没注意」案内板

 

●Eコースの水ヶ塚上から須山口登山歩道1.5合目間では、毎回報告しているピンク色の私的マーキングはそのままだった。このビニールテープに誘導された踏み跡は、ミズ道化が進み、樹木根の露出・損傷がさらにひどくなっていた。

 

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私的マーキングに誘導された踏み跡、樹木根損傷拡大

 

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私的マーキングに誘導された踏み跡、樹木根損傷拡大

 

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私的マーキングに誘導された踏み跡、樹木根損傷拡大

 

●幕岩には、KDDIと御殿場市の名前が入ったバーチャル・ガイドツアーの案内板があった。この案内板があるところは国立公園内であり、富士山自然休養林(国有林)内だが、環境省や森林管理署、富士山休養林保護管理協議会の名前はない。示された地図には多くの地点に同様な案内板が設置されている。管理者へ届け出ているのだろうか。

 

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幕岩の「富士山バーチャルガイドツアー」案内板

 

●度々報告している、御胎内上の幕岩方向を示す標識は設置されていない。来訪者のため幕岩方向を示す標識が必要。

 

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御胎内上、幕岩方面をしめす標識がほしい

 

●御胎内上から水ヶ塚公園にかけては、水ヶ塚方面を目指す場合にのみ見える、樹木の東側に(約2mの高さ)つけられた5cm x 7cm程度の私的マーキングが数m~十数m間隔で見られた。設置目的は分からない。

 

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東側にのみ着けられたビニールテープの私的マーキング

 

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樹幹の高さ2m、東側にのみ私的マーキング

 

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内側テープをタッカーで固定し、外側に赤ガムテープ貼る

 

●須山口登山歩道1.5合、須山口下山歩道1.5合間の水平歩道に設置されているベンチは腐食してほぼ使えない。南山休憩所内にあったベンチはなくなり、二本の丸太が置いてあるが、座ると移動して危ない。

 

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水平歩道の腐食がすすむベンチ

 

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水平歩道にある倒れたベンチ

 

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南山休憩所内の不安定な丸太ベンチ

 

 

腰切塚山麓に作られたクロカン・コース

昨年と同様に斜面の傾斜方向に作られたコース内に水ミチができ、敷き詰められた大量のチップがコース外へ溢れ出し、植生の中まで集積していた。また、チップは腰切塚への歩道にも集積していた。さらに、一部は駐車場の公園の歩道にまで溢れ出していた。ウッドチップは土壌を酸性化する。また、チップに外来植物の種混入が懸念される。

毎年、斜面コースのチップが大量にコース外に流出し、周辺植生に堆積している。チップが流出したコースには、また、チップが補給敷設され、結果的に年々周辺植生に堆積が繰り返されている。周辺植生への影響を注視したい。

 

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クロカン・コースのチップが溢れ植生部分へ

 

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同拡大、大量のチップが流出。植生を覆う

 

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同拡大、流出した大量のチップ

 

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駐車場歩道までチップ流出

 

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腰切塚への歩道交差部分から歩道へチップ流出

 

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同歩道内のチップが周辺の植生へ広がる

 

 

 

植物

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背景は環境省植生図から自然林を抽出

 

●ミズナラの「ナラ枯れ」を3箇所で確認した(上図、薄茶色のマル印)。水ヶ塚上のハイキングコース入り口にある、昨年ナラ枯れのフラスを確認したミズナラは、部分的に枝が落ち、葉は疎らになった。下から見た限り実は見えない。登山歩道1.5合から南山休憩所間の水平歩道で、枯れたミズナラの大径木2本を見た。標高は約1,610m。一本は根本にフラスがあったのでナラ枯れだ。昨年度の休養林環境パトロールでナラ枯れのミズナラを多数確認している。今秋、ナラ枯れの影響でミズナラの結実が減少し、ブナの実の豊凶具合によっては、堅果を採食するツキノワグマなど動物生態に影響が出るかもしれない。

 

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水ヶ塚上のミズナラ。枝が落ち葉も疎ら、実は見えない

 

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水平歩道区間、枯れたミズナラの大径木

 

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同ミズナラの根本。雨でフラスが流れている

 

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水平歩道区間、枯れたミズナラの大径木

 

●移入植物のオオバコ類はEコースの随所で見られた(上図、赤色のマル印)。

 

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浅黄塚東側自然林入り口、移入植物のオオバコ類

 

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南山休憩所、移入植物のオオバコ類

 

●ミズキやリョウブにニホンジカの採食と思われる樹皮はぎが見られた(上図、黄色のマル印)。

 

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浅黄塚東側自然林入り口近く、ミズキの樹皮はぎ

 

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御胎内、リョウブの樹皮はぎ

 

●林床植生が貧弱となり見通しが良い登山歩道1.5合周辺で、スズタケの実生を確認した(上図、緑色のマル印)。

 

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登山歩道1.5合周辺、スズタケの実生

 

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動物

登山歩道1.5合付近では、ニホンジカ、ニホンアナグマ、ハクビシンが記録されていた。4月末から8月末の4ヶ月間の記録で、大半はニホンジカの♀または幼獣だった。本年初夏に生まれた当歳子も記録されている。

 

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ニホンアナグマのペア

 

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尾が長いハクビシン

 

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今年誕生したニホンジカとその母ジカ

 

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8月に初めて記録されたニホンジカ♂

 

 

 

ゴミ回収 29個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

3.プラ 9 弁当 1 菓子容器 4 破片 4
5.ビニール 18 6 破片 12
6.鉄 2 その他 2

 

 

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2021年5月18日 (火)

環境パトロール (2021-06) 自然休養林のハイキングコース I

日時 2021年(令和3年)5月15日(土)  8:30 - 12:30
区域 自然休養林Iコース(御殿場口新五合目・幕岩・二ツ塚)
天候 曇り/ 晴れ
山頂 (8時) 気温0.2℃、湿度 58%、647.5hPa
河口湖 (8時)上空4km WNW, 6m/s

 

 

昨年11月の合同環境パトロール以来6ヶ月ぶりに、自然休養林Iコース(御殿場口新五合目・幕岩・二ツ塚・御殿場口新五合目)を巡回した。

御殿場ガイド協会初代会長の川口さんをお招きし、コース周辺の植生などを解説いただいた。貴重なお話ありがとうございました。

 

御殿場口五合目へのアクセス道路が4月末に開通し、来訪者は多かった。Iコースで出会った来訪者は12人。御殿場口駐車場では10名を超えるトレイルランナーのグループに出会った。

 

 

御殿場口新五合目駐車場

2019年の開山期とは違って、御殿場口新五合目の第一駐車場を利用できた。新五合目のトイレは新たにエコトイレにリニューアルされ来訪者の便宜が図られていた。御殿場市在住のエコレンジャーSさんに、エコトイレを解説してもらった。質疑応答で、数年来、御殿場市やトレイルステーションにお願いしている「携帯トイレ回収BOXの常時設置とトレイルステーションでの携帯トイレ販売(もしくは、協力金のお礼に配布)」が話題となった。

 

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リニューアルされたエコトイレの説明。

 

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昼の第一駐車場

 

 

歩道とその周辺環境

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荒廃が多い箇所ほど濃い赤で表示、森林計画図、国立公園図

 

 

荒廃箇所は樹林帯の「傾斜地」に集中している。特に、Iコースの御殿場口新五合目・幕岩間。また、幕岩近くのFコース世界文化遺産「須山口登山道」の幕岩上・須山口下山歩道一合五尺間。ともに、歩道の拡幅や複線化と樹木根や植生損傷が目立った。

水切りの設置など補修作業は定期的に行われている。しかし、近年は衝撃が大きな集団走行やランナーのタイムトライアル、大勢の来訪者など歩道や周辺への負荷が急増しているため保全が追いつかない。

踏みつけを避ける木道設置やガイドロープによる誘導など歩道周辺の植生保全により、来訪者に安全安心で変化に富んだ自然に親しめる、質の高い自然体験が提供できるようお願いしたい。

 

1)Iコースの御殿場口新五合目・幕岩間

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根の損傷、複線化部分の拡幅

 

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根の損傷、複線化部分の拡幅

 

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根の損傷、侵食段差

 

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根の損傷、歩道拡幅

 

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歩道侵食、複線化、植生損傷

 

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根の損傷、歩道拡幅、侵食段差

 

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根の損傷、歩道拡幅

 

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根の損傷、歩道拡幅

 

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ミズ道化、歩道拡幅

 

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歩道侵食、路肩通行による植生損傷

 

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歩道侵食、根の損傷、複線化

 

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歩道拡幅、根の損傷、植生損傷

 

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根の露出損傷、歩道複線化

 

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根の露出損傷、歩道複線化

 

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根の露出損傷、歩道拡幅、植生損傷

 

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歩道侵食、複線化

 

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根の露出損傷、歩道拡幅、植生損傷

 

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根の露出損傷、歩道拡幅、植生損傷

 

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根の露出損傷、歩道複線化、植生損傷

 

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根の露出損傷、歩道複線化、植生損傷

 

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根の露出損傷、歩道複線化、植生損傷

 

2)幕岩近く世界文化遺産「須山口登山道」の幕岩上・須山口下山歩道一合五尺間

幕岩近く世界文化遺産に登録された須山口下山歩道は、小さな尾根を緩やかに蛇行しながら登っている。協議会の標準補助標識も設置されている。その歩道の東側に、2013年の大規模トレイルラン・レース前後に直線的な踏み跡が付けられ、以降、その踏み跡を来訪者が利用し複線化した。この迂回路の東側、砂沢右岸は崩壊が年々拡大し、最短距離で約20数mまで迫っている。また、その上部では、直線的な踏み跡が加わり、本来の歩道の拡幅、複線化が生じている。世界文化遺産の歩道整備と、保全を前提とした利用が要請される。

 

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幕岩分岐より北、歩道拡幅、植生損傷

 

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分岐より南、本来の細い歩道が拡幅、樹木根の損傷

 

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歩道複線化、樹木根損傷、植生損傷

 

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歩道拡幅、複線化、植生損傷

 

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歩道直線化、植生損傷

 

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同地点、2013年4月、UTMF直後に直線化

 

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歩道複線化、直線化、樹木根や植生損傷

 

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同地点、2013年4月、UTMF直後、左側が歩道

 

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歩道東側、崩壊が進む砂沢右岸

 

 

幕岩から尾根上の幕岩分岐(須山口下山歩道)へつなぐ斜面の歩道は、2020年7月、同11月と比べ、侵食箇所の補修や新たなガイドロープ設置、締め直しなど整備されていた。崩落が進む砂沢右岸と同様な地質を持つこの急傾斜地に付けられた歩道は、定期的な補修にかかわらず、侵食と来訪者の踏圧によって荒れやすく、丸太階段が損傷し、複線化や拡幅、さらに周辺の植生損傷が起きやすい。

 

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階段補修が遅れ歩道拡幅、植生損傷

 

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階段の施工が難しく、侵食、植生損傷

 

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丸太階段は再整備されるが、歩道拡幅や植生損傷が見られる

 

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再整備された丸太階段

 

年々進む砂沢右岸の崩壊や過去の侵食状況から、急斜面の階段歩道は、現状では、これからの雨シーズンに侵食が一気に進む。通行困難な箇所を避け、歩道外への踏み出し(拡幅や複線化)によって、来訪者の通行へ悪影響を与え、歩道周辺の貴重な植物を損傷する恐れがある。大勢の来訪者の踏圧に耐えるには、専門家による調査を行い、本格的な整備が必要ではなかろうか。

 

 

施設

毎年の環境パトロールの度に報告している「二ツ塚下塚山頂の崩壊が進む石碑」、「歩道に露出しているワイヤーケーブル」、「大石茶屋西側の残置タイヤ群」は、そのままだ。

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二ツ塚下塚山頂の記念碑壁の崩壊

 

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同、基部の露出が進む金鳥居

 

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歩道にワイヤー再露出

 

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大石茶屋西側の残置タイヤ群

 

 

その他気づいた標識類。補修や配置などの再検討が望まれる標識、撤去が必要な私的マーキングなど。

 

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二ツ塚の協議会標準標識の摩耗

 

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二ツ塚・四辻間の標準標識一部破損

 

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四辻近く、歩道を外れた石にペイント

 

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四辻・幕岩間、表示のない案内板

 

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幕岩上、標準標識と目立つ私的マーキング

 

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御殿場口近く、損傷した標準標識

 

 

 

動植物

a)外来植物、移入植物

火山荒原では、外来植物のセイヨウタンポポが開花していた。多いところでは、一つのパッチに12個開花していた。樹林帯では、移入種のオオバコがみられた(下図参照)。来訪者が多い御殿場口新五合目駐車場付近では、セイヨウタンポポ類の駆除や駐車場の歩道入り口や樹林帯入り口付近に外来種や移入種の侵入防止対策(外来植物の注意喚起や外来植物防除マットなどの設置)が必要だと思う。

 

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黄色の丸は外来植物、移入植物の確認地点、背景は環境省の植生図

 

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外来種のセイヨウタンポポ

 

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移入植物のオオバコ

 

 

 

b)ニホンジカの食痕

 火山荒原では、カラマツの幹、枝にニホンジカによると思われる樹皮はぎや枝先の枯れがみられた。樹林帯では広葉樹の幹や根際や林床植物に食痕がみられた。

 

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赤色の丸は食痕の確認地点、背景は環境省の植生図

 

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カラマツの樹皮はぎ

 

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樹林帯広葉樹の樹皮はぎ

 

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根際の食痕

 

 

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ナナカマド樹皮はぎ

 

 

 

ゴミ回収  22個 (ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

1.紙 2 紙片 2
2.布 3 衣類 2 切れ端 1
3.プラ 9 菓子容器 3 破片 4 その他 2
5.ビニール 1 紐    1
6.鉄 6 飲料缶 6
8.ゴム 1 その他 1

 

 

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2021年4月28日 (水)

環境パトロール (2021-03) 自然休養林のハイキングコースD/E

日時 2021年(令和3年)4月24日(土) 13:00 - 16:00
区域 休養林のD/Eコース(水ヶ塚公園、須山口登山歩道1.5合)
天候 晴れ
山頂 (13時) 気温-4.4℃、湿度 5%、643.1hPa
河口湖 (13時)上空3km N, 6m/s

 

 

富士山自然休養林D/Eコース(須山口登山歩道)を、水ヶ塚公園から須山口登山歩道1.5合目まで往復環境パトロールした。このコースは多くの来訪者が利用している。侵食が進み、歩行が困難な従来からの登山歩道周辺には、通過しづらい箇所を避けた、ピンク色テープの私的マーキングに誘導された踏み跡がある。

このピンクの私的マーキングは昨年秋に増えたが、誰が設置しているのか管理者名はない。水ヶ塚公園から須山口登山歩道1.5合目間の約半分は、国有林の「富士山生物群集保護林」を通過している。

ピンク色テープに誘導された踏み跡は、従来の登山歩道を外れて、「富士山生物群集保護林」内のスズタケが消失し見通しが効く林床の植生を損傷している。踏み跡は既に複線化している部分もある。また、踏み跡がミズ道化して新たな侵食による林床荒廃の恐れがある。

 

水ヶ塚公園駐車場の車は、12時頃60台程度。パトロール中に来訪者15人に出会った。単独の男性11人(内1人は実際に走っていた。1人は登頂者)、男女のペア2組。

 

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16時頃の水ヶ塚公園駐車場

 

 

従来からの須山口登山歩道

相変わらず、登山歩道の侵食が進んでいる。しかし、昨年11月に自然休養林Fコース(須山口下山歩道)にあった「石を並べた水切り」が、今回のパトロール・コースでも見られた。また、昨年10月に歩いた際に、段差が大きく歩きづらかった箇所は少しづつ歩きやすくなったと感じた。歩道の補修が行われているようだ。富士山自然休養林保護管理協議会の本格的な歩道整備というより、歩道や周辺植生の保全に関心が高い方の尊い志かもしれない。

 

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侵食で大きな根が露出、この地点は補修必要

 

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UTMF後に右側の路肩が崩れた歩道。奥の段差が減少

 

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同、土砂が流れたのか傾斜が緩くなり歩ける

 

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過去に保守され今も歩ける従来の登山歩道

 

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この段差も歩けたが、石を埋めるなど補修必要

 

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歩道上に石が並ぶ。歩道の水切りと来訪者の歩きやすさ

 

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須山口1.5合目にも同様な水切り

 

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水ヶ塚公園に近い人工林の斜面にも水切り

 

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老朽化が進む須山口1.5合目のベンチ

 

 

ピンク色テープに誘導された踏み跡

富士山自然休養林を通過する須山口登山歩道(D/Eハイキングコース)には、他の自然林ハイキングコースと同様に、富士山自然休養林保護管理協議会によって標準標識が設置されている。さらに須山口登山歩道保存会の標識も設置されている。しかしながら、浅黄塚への分岐から須山口1.5合目までの比較的長い600mの区間には、行き先を表示した標準標識は見当たらない。

ところがこの浅黄塚への分岐から須山口1.5合目までの区間には、管理者名や行き先が表示されないビニールテープのマーキングが多数見られる。この私的なマーキングは、歩道外へ踏み出し、ニホンジカの食害などによりスズタケが消失し、見通しが効く林床を直線的に通る踏み跡へ誘導している。これらビニールテープ・マーキングの多くは、2020年7月や9月の環境パトロール時には見られず、10月頃に設置されたようだ。

この区間は、トレイル・ランナーによる、タイムトライアル・レースが行われている。また、裾野市の「準高地トレーニング」のトレイルラン・コースにも選定されている。歩道外の保護林内に私的マーキングが設置され、通行誘導が行われているため、林内のいたるところで植生が踏み荒らされている。この踏み跡はミズ道となり新たな侵食が引き起こされる恐れがある。さらに、他の来訪者も、その踏み跡を利用してしまい、結果的に本来の登山歩道が保全されないまま放置される。

この区間は、国有林「富士山生物群集保護林」に指定されている。この保護林の設置目的は林野庁のホームページに以下のように示されている。

「富士山の山腹には、日本の低山帯から高山帯にわたる植生の垂直分布が模式的に存在し、太平洋気候区の典型的な森林として維持されている。低山帯には、ブナ、ミズナラ、カエデ類等の落葉広葉樹を主体とした天然林が成立し、亜高山帯には、カラマツ、イラモミ、ウラジロモミ、コメツガ、シラビソなどを主体とした天然林が成立している。また、丸尾と呼ばれる溶岩流上には、ヒノキ純林の特徴的な群落が形成され、スコリアの堆積地には、火山荒原草本群落が形成されている。このため、当該地域の代表的なこれらの群落を主体とする地域固有の生物群集を有する森林を保護・管理することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、野生生物の保護、遺伝資源の保護、森林施業・管理技術の発展、学術の研究等に資するため設定する」

 

この保護林内の登山歩道について私達エコレンジャーは、過去何回も環境パトロールを実施した。登山歩道に通行困難な箇所があり、歩道外に幾筋もの踏み跡ができ、複線化し、植生損傷が見られ、来訪者の道迷いも報告されていることから、本来の歩道や周辺植生の保全対策を進めてもらいたいと重ねて要請してきた。

来訪者の道迷いを防ぎ、「富士山生物群集保護林」の設置目的に則した保全利用になるように、森林管理署や富士山自然休養林保護管理協議会は、本来の歩道を修復し、私的マーキング設置者を指導し、標準標識の設置をお願いしたい。

 

 

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①目立つビニールテープで登山歩道を外れ、林内に誘導

 

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②樹木の根が露出し踏みつけられ損傷。白い部分はニホンジカの食痕

 

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③左端の登山道を外れ、樹木根を著しく損傷し林内に誘導

 

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④樹木根の露出と損傷

 

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⑤樹木根の露出と侵食、ミズ道化

 

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⑥樹木根の露出と損傷、ミズ道化

 

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⑦樹木根の露出と損傷

 

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⑧樹木根の露出と損傷

 

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⑨樹木根の露出と損傷、ミズ道化

 

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⑩樹木根の露出と損傷、複線化

 

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⑪樹木根の露出と損傷

 

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⑫樹木根の露出と損傷

 

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⑬樹木根の露出と損傷

 

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⑭樹木根の露出と損傷、樹木根下の空洞に石積み

 

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⑮樹木根の露出と損傷

 

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⑯樹木根の露出と損傷

 

 

動植物

ニホンジカの目撃はなく、鳴き声もきかなかった。しかし、登山歩道に入ってウラジロモミの植林地から自然林にかけて、歩道脇の樹木根際にニホンジカの食痕と思われる痕跡が数多くみられた。

 

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橙色の丸は食痕確認地点、地理院地図、静岡県CS立体図、環境省植生図

 

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根際や根を噛じられた樹木が多く見られた

 

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歩道脇のシロカネソウ

 

 

ゴミ回収 15個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

1.紙 1 タバコ吸い殻 1
3.プラ 3 菓子容器 3
5.ビニール 10 1 破片 8 その他 1
6.鉄 1 アルミ飲料缶 1

 

 

 

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2021年4月26日 (月)

合同環境パトロール (2021-02) 須山口登山歩道・黒塚

 

日時 2021年(令和3年)4月24日(土) 8:00 - 12:00
区域 須山口登山歩道(弁当場・フジバラ平・大調整池・黒塚)
天候 晴れ
山頂 (8時) 気温-5.7℃、湿度 13%、643.5hPa
河口湖 (8時)上空3km ENE, 7m/s

 

 

須山口登山歩道の弁当場から、沢沿いにフジバラ平、大調整池へ至り、御釜塚東側の谷侵食状況を見て黒塚を経て弁当場へ帰る、今年度最初の合同環境パトロールに参加した。同コースは、私達の「マウントフジ・トレイルラン植生保全環境調査」地で、2012年以来継続観察している。

新型コロナ感染症対策で、調査経験組と未経験組に別れ、未経験組は、土壌硬度の測定を体験した。

弁当場周辺に2組の来訪者がいた。環境パトロール中は、健脚の男性1名、野鳥撮影の男性1名に出会った。

 

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合同環境パトロール参加者

 

 

ニホンジカ

黒塚・須山口登山歩道周辺では、毎冬、数多くのニホンジカの生息や食害が記録されている。今回はニホンジカの痕跡がはあまり目立たなかったが、送電線(東電田代幹線)下の伐採地では、ミツマタの枝先の採食が目立った。弁当場の近くでは、樹木の根際が尖ったものでくり抜かれていた。ニホンジカ角研ぎだろうか?

 

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ミツマタの枝先採食、送電線下の伐採地

 

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ニホンジカ角研ぎか、弁当場近く

 

 

外来植物

フジバラ平調整池周辺や大調整池周辺では、開花前の外来植物「ハルザキヤマガラシ」が数多くみられた。大調整池南東側の歩道周辺で開花した外来植物の「セイヨウタンポポ」が見られた。

 

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外来種「ハルザキヤマガラシ」。大調整池東側

 

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外来種と大型ゴミが多いフジバラ平調整池周辺

 

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外来種「セイヨウタンポポ」。大調整池南東側

 

 

ナラ枯れ

フジバラ平北側では、比較的狭い区域にまとまってミズナラの「ナラ枯れ」が見られた(5本)。弁当場近くでもミズナラの「ナラ枯れ」が見られた(5本)

 

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ミズナラの「ナラ枯れ」。根際にフラス(木くず)。フジバラ平北側

 

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同、フジバラ平北側

 

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同、弁当場近く

 

 

 

歩道

フジバラ平と大調整池間の須山口登山歩道や黒塚の急傾斜歩道は、2012年から2016年にかけて毎年大規模トレイルラン・レース(UTMF)にコース利用され、750名~1800名のランナーの連続踏圧によって大きく荒廃した。それらの歩道は、保全作業にも関わらず、その後も年々侵食が加速している。

 

エバーグリーン道路から弁当場へのアクセス道路は昨年、通行止めになるほど荒廃した。今回、この区間は重機を使って補修、整備された。弁当場に水汲みに来たり、車をとめて散策を楽しむ来訪者にはありがたい。また、弁当場から沢沿いの登山歩道は補修中のようだ。

 

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整備が行われた弁当場へのアクセス路

 

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整備中の弁当場からの沢沿い須山口登山歩道

 

 

送電線(東電田代幹線)下の伐採地を通る登山歩道は、斜面の侵食、土砂ずれ落ちが進んだ。また、2019年に従来の登山歩道の斜面上部につけられた迂回路は進入口が分かりづらく、斜面下の沢底にピンク色のテープが付けられ、迂回の踏み跡ができていた。また、ここから西北西約180mの地点で登山歩道を外れ斜面を登るようテープ誘導されていた。これらのテープには、管理者名は表示されていない。斜面の傾斜線方向に付けられた踏み跡は、ミズ道になり更に侵食の引き金となる恐れがある。

 

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大規模トレランレース(UTMF)に繰り返し使用された歩道周辺では、レースによってエグられた箇所の侵食が進み、歩道が複線化したり拡幅し、樹木の根が露出している。場所によっては、樹木の倒壊や斜面の流出につながる恐れがある。黒塚ほどは急斜面でない、弁当場からフジバラ平を経由し、大調整池に至る歩道でも侵食が進み、樹木の根が露出し、周辺部の裸地化が進んでいる箇所もある。

大規模トレイルラン・レースの過度の踏みつけや侵食によって裸地化が進むフジバラ平近くの定点観測地点「小沢」では、歩道中央部の土壌硬度が3.0~3.5kgfcm-2(指標が15~16mm)程度と比較的大きな(硬い)値を示し、過去の2016年の0.58kgfcm-2、2017年の1.12kgfcm-2とは異なる状態だった。これは、ここしばらく晴天が続き、歩道の表層が乾燥していたことが影響していると思われる(歩道周辺の植生部は1.4kgfcm-2と比較的柔らかい)。

また、歩道沿いにはシカの樹皮はぎによる枯損木が多く、歩道に倒れている箇所があった。涸れ沢の岸が崩落し、落ちた樹木が倒れて歩道を塞いでいる箇所もあった。

 

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歩道侵食、樹木根の露出、損傷、黒塚北東

 

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UTMF通過後の倒れた樹木、黒塚北東

 

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UTMF後更に荒廃した斜面、黒塚北東

 

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同、2016年9月UTMF雨天決行後

 

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裸地化が進む「小沢」。土壌硬度で計測を実習。黒塚北東

 

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同、2016年9月UTMF雨天決行後

 

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UTMF後歩道が荒廃し歩道拡幅、フジバラ平北

 

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UTMF後樹木根が露出、損傷、御釜塚東

 

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侵食、根の露出、右側は危険な崖御釜塚東

 

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同、2016年9月UTMF雨天決行スリップ多発

 

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根本が崩落し歩道にかかる倒木、大調整池北東

 

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歩道にかかる倒れた枯損木、黒塚東

 

 

階段などの施設

御釜塚北東の崩壊が進む崖上の迂回路や黒塚にUTMF実行委員会が現状復旧として設置した丸太階段は、補修のたびに打ち込む立杭が斜面の土壌強度を弱める上、樹木を未加工のまま使用し、腐食しやすく、工法、丸太材ともに、地形・地質・気象など環境条件に合わず、数年のうちに不安定で危険になるものがある。

 

2019年9月にUTMF実行委員会は黒塚の歩道で2016年の最終レース後3度目の修復作業を行った。黒塚の丸太階段は部分的に補強された。黒塚北側斜面の丸太階段は現在でも安定しているものが多いが、南側斜面では、補修されず腐食したり、丸太階段下の法面が侵食し、不安定な階段が見られた。丸太材は自然木のままで防水・腐食処理はない。過去7年間観察し、レース実行委員会へ伝えてきたように、自然木のままでは数年で腐食し、不安定で危険な階段になることが危惧される。実際、黒塚南側斜面に設置された丸太階段に体重をかけると丸太が折れたり、丸太が移動し転びそうになった。

 

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侵食が進む丸太階段周辺、黒塚北斜面

 

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腐食と法面侵食が進み折れた丸太階段、黒塚南斜面

 

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腐食で移動し滑りやすい丸太階段、黒塚南鉄塔脇

 

 

対照的に大調整池北側、旧ゴルフ場横に2012年第一回の大規模トレイルラン・レース開催以前から設置された丸太階段は、丸太材に防腐処理がされ、立杭にも防腐処理された金属が使われている。年間雨量が3,000mmを超える富士山南麓では、気象条件に対して耐久性がある施工が必要だ。

 

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防腐処理された丸太階段、旧ゴルフ場脇

 

 

御釜塚北東の崩落が進む崖に設置された迂回路の丸太階段(2014年設置)では、立杭の増加、丸太材の腐食、丸太下の法面侵食が進み、来訪者は歩き辛い丸太階段を避けて階段脇を通り、歩道複線化が進んだ。

 

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立杭の増加、法面侵食、御釜塚東側崩壊崖迂回路

 

 

2018年に登山歩道保存会やボランティアによって、設置された大調整池下流の丸太階段や侵食止めは2020年には流出していたが、さらに侵食がすすんだ。「自然環境が厳しい富士山南麓側火山地帯では、歩道や周辺環境の保全管理は一筋縄ではいかない」ということを教えられる。

 

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大調整池直下。2018年。迂回路としてつくられた丸太階段

 

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同、侵食が進み丸太階段が流出した大調整池直下

 

 

御釜塚東側の崩壊谷

崩壊が進む崖直上の歩道は2012年にUTMFで使われ、2013年には通過が危険となり、急場のシカ道を使った迂回路を使われた。2014年に新たに丸太階段の迂回路がつくられた。この崩壊が進む谷は、御釜塚の北東を鋭く侵食している。

 

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崩壊が進む御釜塚北東の崖、対岸から

 

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崩落した旧登山道

 

 

ゴミ回収 56個 (ゴミ収集記録調査票に対応)

 

3.プラ 44 弁当 4 菓子容器 5 破片 35
4.発泡スチロール 2 破片 2
5.ビニール 6 衣類 1 5
6.鉄 4 飲料缶 2 その他 2

 

 

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2020年12月28日 (月)

環境パトロール (2020-12) 自然休養林(8)

日時 2020年(令和2年)12月23日(水) 9:20 - 15:30
区域 富士山自然休養林D/E、Kコース
天候 晴れ
山頂 (8時) 気温-18.8℃、湿度 27%、633.3hPa
河口湖 (8時)上空2km NW, 13m/s

 

 

 

富士山自然休養林ハイキング・コースD(問合せ先:裾野市)、E(同、御殿場市)、K(同、裾野市)を水ヶ塚公園、須山口登山歩道1.5合目、浅黄塚、腰切塚、水ヶ塚公園で巡回する環境パトロールを行った。

Kコースは展望台改修工事中で、工事中は利用できない旨、自然休養林管理保護協議会のホームページで周知されている。歩道周辺の私的マーキングの設置状況や植生状況(ナラ枯れやスズタケなど)について確認するために巡回した。12月5日の環境パトロールで見た富士山の雪は、ほとんど消えていた。

 

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ぐみさわから、南麓の宝永沢、獅子岩、成就沢の起伏が明瞭

 

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水ヶ塚公園から、ほとんど雪が消えた

 

 

D/Eコースの水ヶ塚公園、須山口登山歩道1.5合目区間では、11月の環境パトロールで報告した状態とほぼ同じだった。侵食段差などで歩きづらい本来の歩道を避け、国有林保護林内で目立つ多数の私的マーキングに誘導され、歩道外の林内植生を直線的に通過する踏み跡を来訪者が利用しているようだ。早期の対応をお願いしたい。

この区間の自然林入口付近、標高1,490m地点で、ナラ枯れのミズナラを確認した。この区間や旧作業道、旧歩道周辺は、スズタケの実生が一部は見られるものの、大半はスズタケが消失し、見通しが効く林内となっている。また、腰切塚西側では、枯れたスズタケの桿が多いが、場所によってはスズタケの実生が群生していた。ニホンジカは目撃せず、糞など新しい痕跡は少なかった。

浅黄塚の南東側で大きな侵食が目立った。

パトロール中、来訪者に出会わなかった。水ヶ塚公園駐車場の車は朝8時は2台、13時頃は約10台程度だった。

 

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8時の水ヶ塚公園駐車場

 

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13時の水ヶ塚公園駐車場

 

 

歩道

D/Eコースの水ヶ塚公園、須山口登山歩道1.5合目区間では、11月に報告した状態とほぼ同じだった。来訪者は侵食段差などがある本来の歩道を避け、多数の目立つ私的マーキングに誘導され、保護林内の植生を直線的に通過している。このままでは、さらに多くの来訪者が国有林の富士山生物群集保護林内に踏み込み、樹木の根など植生を損傷するおそれがある。長く使われてきた須走口登山歩道の補修や私的マーキングの撤去など、歩道や周辺自然環境の保全管理を早期にお願いしたい。

 

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左の登山歩道を外れ、植生内に新たな迂回の踏み跡

 

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左の登山歩道を外れ、樹木の根を損傷する迂回の踏み跡

 

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左の登山歩道を外れ植生内に新たな迂回の踏み跡

 

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右の登山歩道を外れ、植生内に新たな迂回の踏み跡

 

 

浅黄塚東側の旧歩道周辺も、スズタケが消失し、踏み跡は、かすかで分かりづらい。赤い布の私的マーキングがあり、スカイライン方面へ誘導している。涸れ沢は侵食が激しい場所で約2mの段差がみられた。

 

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2006年10月、背丈以上のスズタケに囲まれた旧歩道

 

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今はスズタケが消失し、どこでも歩ける

 

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旧歩道が涸れ沢となり、激しい侵食段差2m

 

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涸れ沢の侵食部分、樹木の大きな根の下を穿つ

 

 

腰切塚南側のKコースの歩道は、展望台改修工事用に幅が約2mに拡大され簡易舗装されていた。

 

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工事用に道幅を広げ簡易舗装

 

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2019年7月、Kコース南側歩道

 

 

腰切塚東側のクロカン・コースでは、ウッドチップがコース外へ流出したままで、スズタケの実生部分に達していた。

 

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クロカンコースのウッド・チップは流出したまま

 

 

須山口登山歩道1.5合目にある木製ベンチの老朽化が進んでいる。ここは、よく休憩に利用されており、Eコースの南山休憩所など他の施設とともに改修をお願いしたい。

 

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須山口登山歩道1.5合目の木製ベンチ

 

 

標識

水ヶ塚公園から登る須山口登山歩道入り口にある協議会標準標識に、自然休養林内の立入り禁止コースの表示はなかった。同協議会のホームページには、立入禁止のA、B、J、Mコースの全面利用不可や一部利用不可、さらにKコースの工事中利用不可が明示されている。現場の案内図でも明示してほしい。同案内図近くに設置されていた協議会の「熊出没注意」の掲示板が破損して、注意情報が来訪者に伝わらない。

 

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須山口登山歩道入口の自然休養林案内図

 

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同地点付近の協議会の「熊出没注意」の掲示板が破損

 

 

私的マーキング

D/Eコースの水ヶ塚公園、須山口登山歩道1.5合目区間では、11月の環境パトロールで報告した状態とほぼ同じだった。侵食段差などで歩きづらい本来の歩道を避け、国有林保護林内で多数の目立つ長いビニールテープの私的マーキングが林立している。これらのビニールテープは、通常の歩行では自然景観の中で煩わしく感じるほど、視認に必要以上の長さと頻度で設置されている。走行など一瞬で行き先を確認するために設置されたと思われる(この区間はネット上で多くのトレイルランナーが走行時間を競うタイムトライアル区間となっている)。歩道外の林内植生部分に付けられたこれらの私的マーキングに誘導され、林内の植生部分を損傷しながら直線的に通過し踏み固められている。このままでは、さらに多くの来訪者が私的マーキングに誘導され、踏み跡は国有林保護林内に踏み込み、植生損傷が激化し拡大するおそれがある。また、この踏み跡は直線的でミズ道化しやすく、あらたな侵食が広がりかねない。さらに、歩道の保全管理主体が曖昧となり、見通しが効く保護林内に新たな踏み跡を作りかねない。長く使われてきた須走口登山歩道の補修を進め、私的マーキングの撤去など、歩道や周辺自然環境の保全をすみやかに対応いただくようお願いしたい。

 

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歩道外の林内植生部分に誘導する長いビニールテープ

 

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必要以上に長いビニールテープの私的マーキング

 

 

ミズナラの「ナラ枯れ」

根元や幹にフラス(木屑)があり、縮れて枯れた葉が、落葉せず枝についていた。ミズナラの「ナラ枯れ」が新たに標高1,490m付近で見られた。

 

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自然林入口付近の根元にフラスがみられるミズナラ

 

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同ミズナラは落葉せずに縮れた枯れ葉が枝についたまま

 

 

スズタケの成長

旧東臼塚遊歩道の標高1,440m付近でスズタケの実生が群生していた(下図の黄緑の丸)。また、須山口登山歩道西側や旧東臼塚遊歩道、Kコース南側で、まばらなスズタケの実生が随所にみられた(下図の緑色の丸)。浅黄塚東南側、旧東臼塚遊歩道、Kコース南側ではスズタケの枯れた桿(かん)が残っている(下図の茶色のヒートマップ)。須山口登山歩道から旧作業道周辺では、スズタケは消失し、枯れた桿もほとんどみあたらず、見通しが効く林内となっている(下図の青色のヒートマップ)。

 

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野生動物

今回の環境パトロール中に、ニホンジカを目撃したり、鳴き声を聞いたりすることはなかった。ニホンジカの新たな痕跡も少なく、浅黄塚北の旧作業道周辺の二箇所で比較的新しいニホンジカの糞をみた程度だ。

須山口登山歩道1.5合目付近では、10月中旬から12月までの期間、ニホンジカ、ニホンイノシシ、ニホンアナグマ、ホンドタヌキなどが記録されていた。同一箇所で行った、2007年から2013年までの記録と比較してみると、記録日数あたりの野生動物撮影回数にあたる撮影頻度がニホンジカで減少していた。

 

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ニホンジカ♀3頭

 

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4尖角のニホンジカ♂

 

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1尖角のニホンジカ♂

 

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ニホンイノシシ

 

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ニホンアナグマ

 

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ホンドタヌキ

 

 

ゴミ回収 32 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

1.紙 1 紙片 1
2.布 1 衣類 1
3.プラ 25 ペットボトル 1 破片 22 その他 1
5.ビニール 2 紐    2
6.鉄 2 飲料缶 2
7.ガラス 1 破片 1

 

 

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2020年12月 7日 (月)

合同環境パトロール (2020-11) 自然休養林(7)

日時 2020年(令和2年)12月5日(土) 9:20 - 15:30
区域 作業道、富士山自然休養林B、A、Lコース
天候 雨、曇、晴れ
山頂 (8時) 気温-10.2℃、湿度 91%、637.8hPa
河口湖 (8時)上空3km SW, 21m/s

 

 

林道、作業道、富士山自然休養林ハイキングコースB(問合せ先:富士市)、A(同、富士宮市)、L(同、富士宮市)を大渕林道、八幡堂、高鉢駐車場、二合目林道経由で巡回する合同環境パトロールに参加した。

 

B、Aコースは、ともに立ち入り禁止が継続されている。歩道周辺の植生状況(ナラ枯れやスズタケなど)について確認するために巡回した。銃によるニホンジカ捕獲のため富士山国有林への入林禁止が年度末まで延長され、また、親子熊の出没が確認されているので、十分に注意し巡回した。

 

大渕林道から八幡堂までの歩道が侵食により、場所によっては通過困難になっていた。この区間は来訪者があるためか、踏み跡は比較的明瞭だった。設置者不明の標識や表示、ビニールテープの私的マーキングが多数見られた。登山道周辺では、ナラ枯れのミズナラが標高1,475m付近まで見られた。標高1,530mから1,650mにかけてスズタケの実生が群生していた。自然休養林Bコースでは、日沢の渡渉迂回路を分かりにくくしていた倒木の枝が払われ、迂回路が分かりやすくなっていた。西臼塚のLコースで、歩道を塞いでいた丸太が歩道外に移され、歩道が乾燥していたこともあり、複線化した迂回路を使用せずに通過できた。

 

パトロール中に来訪者に出会わなかった。水ヶ塚公園駐車場の車は朝8時は約20台、16時頃は約25台程度だった。

 

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16時の水ヶ塚公園駐車場

 

 

歩道

大渕林道から八幡堂へ至る歩道に侵食による荒廃がみられた。10年前にはこうした侵食荒廃は見られなかった。現在、土のうで作られた水止めや水切りがあるが、侵食は進んでいる。八幡堂より上部では、かつて歩道を塞いでいた倒木はすべて処理され、補修関連の人手が入っているようだ。

 

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ミズ道となり侵食がすすむ歩道

 

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荒廃し迂回複線化、奥は水止め

 

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通行困難な約1.2mの侵食段差

 

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歩道を塞いでいた倒木はすべて処理されている

 

 

Bコースの日沢渡渉箇所は通行困難だが、9月には倒木で分かりにくかった迂回路で、倒木の枝が払われ迂回路が明瞭になっていた。

 

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日沢の大規模な侵食により通行困難になった渡渉箇所

 

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同地点、2007年5月、現状より沢幅が狭く浅い

 

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日沢渡渉箇所の迂回路。倒木の枝が払われた

 

 

Aコースでは、高鉢東側の標高1,600m付近の歩道がミズ道となり侵食が激しい。また、二合目林道から西臼塚ナラ広場への斜面では、侵食と通行により樹木根が露出し損傷している。

 

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高鉢東側の歩道侵食段差0.6m

 

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二合目林道~西臼塚ナラ広場、樹木根の露出・損傷

 

 

西臼塚のLコースでは歩道を塞いでいた丸太が歩道外に移され、歩道が乾燥していたこともあり、複線化した迂回路を使用せずに通過できた。いずれの箇所も、本格的な補修作業が必要と思われる。

 

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流出丸太が移動され乾燥した本来の歩道を通行

 

 

施設・設備

西臼塚の公衆トイレは凍結防止のためと書かれて閉鎖されていた。来訪者のため、可能な限り開放してほしい。開放できない場合は、そのむね、協議会のホームページで案内してほしい。高鉢駐車場の公衆トイレは施錠されていた。

 

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凍結防止のため閉鎖された西臼塚の公衆トイレ

 

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施錠された高鉢駐車場の公衆トイレ

 

 

標識

巡回した作業道に幾種類もの私的マーキングのビニールテープが見られた。スカイライン登山区間との交差箇所では、同じ場所に、多数の標識や私的マーキングが見られた。これらの標識類にはすべて標識設置者の表示はなかった。

 

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八幡堂~スカイライン周遊区間、解れたビニールテープ

 

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スカイライン登山区間交差、各種私的マーキングのビニールテープ

 

 

Aコースの二合目林道周辺~ナラ広場への歩道は、人工林内の侵食や樹木根の露出・損傷が進み複線化し踏み跡が分かりづらく、私的マーキングが多数設置されている。解れやすいビニールテープをガイドロープとして使ったり、枯れ木を直接赤くペイントしている。林業関係と思われる、生木の樹皮を削り白くペイントしたものも多く見られた。

 

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二合目林道~ナラ広場、解れたビニールテープ

 

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同、私的マーキング、倒木に直接ペイント

 

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同、私的マーキング、2種類のビニールテープ

 

 

大渕林道のゲートやスカイライン周遊区間交差地点に、「“熊”出没中に付き危険。周辺にて目撃情報多し」表示があり、2020年8月30日撮影の子連れの母グマの写真と説明が載せてあった。森林管理署さんから連絡があった「二合目林道や六番林道でツキノワグマ出没」の件だ。高鉢駐車場のAコース入口には、「“熊”出没中、危険につき立ち入り禁止」の表示があリ、2020年5月29日撮影のツキノワグマの写真が載せてあった。

 

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西臼塚大渕林道入口ゲートの"熊出没注意"

 

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高鉢駐車場のAコース入口の「立入禁止」案内

 

 

 

ミズナラの「ナラ枯れ」

根元や幹にフラス(木屑)があり、木によっては、縮れて枯れた葉が、落葉せず枝についていた。ミズナラの「ナラ枯れ」が標高1,475m付近まで見られた。

 

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スズタケの成長

Bコース周辺では、ほとんどスズタケが枯れ林内の見通しが効く。自然休養林の多くの場所で、こうしたスズタケが枯れが見られる。2005年当時は、スズタケが生い茂っていた。

 

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スズタケが枯れ見通しが効く林内

 

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同、2005年。背丈を越えるスズタケで見通しはない

 

 

標高1,530mから1,650mにかけてスズタケの実生が群生していた(下図の番号がついた緑丸)。また、作業道周辺では、まばらなスズタケの実生が随所にみられた(下図の緑色のヒートマップ)。作業道のスカイライン登山区間交差からBコース高鉢駐車場にかけては、スズタケの枯れた桿(かん)が残っている(下図の茶色のヒートマップ)。二合目林道から西臼塚にかけては、スズタケは枯れも含めてみあたらない(下図の青色のヒートマップ)。

ササ類(スズタケ)は数十年をかけて回復すると言われている。十数年後、歩道周辺の景観は、見通しの効く林内から、15年前のように、背丈を超えるスズタケが繁る林内へと大きく変化する可能性がある。

 

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スズタケの成長。緑丸はスズタケ実生の群生。数字は写真の番号

 

 

ゴミ回収 12個 ゴミ収集記録(調査票に対応)

2.布 1 切れ端 1
3.プラ 4 菓子容器 3 その他 1
5.ビニール 5 2 紐    3
6.鉄 1 飲料缶 1
8.ゴム 1 その他 1

 

 

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合同環境パトロール終了後、雨も上がり、雪をまとった富士山の景観にみとれた。

 

 

 

 

 

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2020年11月16日 (月)

合同環境パトロール (2020-10) 自然休養林(6)

日時 2020年(令和2年)11月14日(土) 8:30 - 15:00
区域 富士山自然休養林F、Iコース
天候 晴れ
山頂 (8時) 気温-8.0℃、湿度 5%、645.6hPa
河口湖 (8時)上空2km NNW, 10m/s

 

富士山自然休養林ハイキング・コースF(問合せ先:御殿場市)、I(御殿場市)を須山御胎内入り口、幕岩上、四辻、二つ塚下塚、御殿場口新五合目、幕岩、須山口下山歩道1.5合、須山御胎内入り口の順に巡回する合同環境パトロールに参加した。

 

前日の13日、富士山自然休養林保護管理協議会のホームページで、一部利用可能のBと立入禁止のA、J、Mコース、携帯トイレの使用などか案内されたが、現地の須山御胎内入り口の協議会案内図には、同様な情報は掲示されていない。

 

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富士山自然休養林保護管理協議会のホームページ

 

 

Fコースの須山御胎内入口から須山下山歩道1.5合目までは、世界文化遺産の歩道区間(須山御胎内~幕岩上)を含んでおり、歩道上に石を配置した水切りが整備されていて、歩きやすかった。須山口登山歩道や御殿庭で見られたピンク色のビニールテープは見られず、世界文化遺産の歩道にふさわしい景観となっていた。Iコースの御殿場口・幕岩間は、侵食などにより樹木根の露出・損傷が目立った。歩道脇の倒木や枯損木が伐採されていた。幕岩から須山口下山歩道へつなぐ砂沢右岸斜面の歩道は、7月末と比べ侵食箇所が整備されていた。ただ、砂沢右岸の崩れやすい斜面の歩道を木段で整備する限り、再び7月末と同様な侵食が起こり通行困難になると予想される。

水ヶ塚公園駐車場の車は、朝8時頃約20台程度で、15時頃は約70台程度だった。パトロール中に来訪者11人に出会った。二人連れが4組、単独が3人。2人はトレイルランナー。ほとんど大半が水ヶ塚、須山御胎内入口から二つ塚下塚往復のようだ。

 

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朝8時の水ヶ塚公園駐車場

 

 

歩道

Fコースの須山御胎内入口から須山口下山歩道1.5合目までは、世界文化遺産の歩道区間(須山御胎内~幕岩上)を含め、多くの箇所で、石を水切りに配置し、雨水による侵食、ミズ道化を防ぐよう整備されていた、このため、歩道上に散乱していた、つまずきやすい石が移動され、歩きやすくなった。昨年8月の状態に比較して相当手が入れられている。

 

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歩道の片側を水切り用に石を配置

 

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歩道脇の植生へ水を流す水切り

 

 

Fコースの歩道荒廃は、須山口下山歩道1.5合目から、幕岩への下り分岐間の世界遺産の登山道区間で見られた。本来の歩道の東側に、直線的な踏み跡が2013年の大規模トレイルラン・レース以来、来訪者に利用されている。この迂回路の東側、砂沢右岸は崩壊が年々拡大している。本来の歩道の整備が必要だ。

 

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左が本来の歩道、右側が直線的な迂回路

 

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歩道拡幅、複線化、樹木根の損傷の世界文化遺産歩道

 

 

Iコースでは、御殿場口五合目から樹林帯に入った斜面で、侵食による段差や樹木根の露出・損傷や複線化が見られた。

 

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侵食、樹木根の露出・損傷

 

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侵食、樹木根の露出・損傷、複線化

 

 

施設・設備

H/Iコースの二つ塚下塚頂上にある記念碑の周囲ブロック塀と鳥居の土台の破損が進んでいた。

 

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二つ塚下塚頂上にある記念碑

 

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同鳥居

 

 

H/Iコースの二ツ塚・大石茶屋間の歩道上に、旧スキー場施設のコンクリートやワイヤーは残置されたままだ。大石茶屋対岸に残置されている大量のタイヤもそのままだった。来訪者の安全や良好な景観を維持するため、撤去をお願いしたい。御殿場口新五合目の第一駐車場では、冬季は撤去されていたトレイルステーションの建物が残置されていた。

 

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残置コンクリート

 

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浮き上がらないよう石で押さえつけた残置ワイヤー

 

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残置タイヤ群

 

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トレイルステーションの建物

 

 

Iコースの御殿場口新五合目の公衆トイレがリニューアルされ、エコトイレになっていた。御殿場市は10月21日よりI、Hコースを利用可能にした。コース開放時には、来訪者の便宜のため公衆トイレも使用できるようにしてほしい。

 

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リニューアルされた御殿場口新五合目の公衆トイレ

 

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同エコトイレの案内板

 

 

Iコースの幕岩から尾根上の須山口下山歩道へつなぐ斜面の歩道は、7月末と比べ、侵食箇所の補修や新たなガイドロープが整備されていた。

 

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踏み固められた歩道と新しいタイガーロープ

 

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従来の木段は上部がロープで通行禁止、迂回部分を通る

 

 

砂沢右岸の崩れやすい斜面の歩道を木段で整備する限り、今後も7月末と同様な侵食が起こり、丸太が流出し通行困難になるおそれがある。地形。地質など環境にあった自然石を利用した石組みなどの工法も検討したほうが良い。

 

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崩壊がすすむ幕岩南の砂沢右岸

 

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砂沢右岸斜面の不安定な丸太木段

 

 

標識

須山御胎内入口にある保存会の新しい歩道案内図と協議会自然休養林案内図で、異なった地点に同じ「御殿庭上」の地名が使われている。

 

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須山御胎内入口にある保存会案内図の「御殿庭上」

 

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須山御胎内入口にある協議会案内図の「御殿庭上」

 

 

また、協議会の標準標識の中に、『御殿庭』までの所要時間を記したものがあるが、協議会の歩道案内図には地名として記されていない。『御殿庭』は「御殿庭(下)」、「御殿庭(中)」、「御殿庭(上)」、「御殿庭(入り口)」の総称であるので、来訪者にどの地点を指すのか分からない。『御殿庭』のどこを指すかによって所要時間が最大85分も変わるので「御殿庭下」と表記してもらいたい。

 

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四辻の「御殿庭」表示

 

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二ツ塚分岐の「御殿庭」表示

 

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幕岩の「御殿庭」表示

 

 

須山御胎内上にある変則的な四差路に6つもの保存会標識や協議会案内図、協議会標識が設置されているが、「幕岩」方向が分かりにくい。須山御胎内上から須山御胎内入口方面へ行ったところに「幕岩」方向を示す協議会標準標識(①)、また、須山御胎内上から須山御胎内への踏み跡道に「幕岩」方向を示す協議会標準標識(②)がある。しかし、その「幕岩」方向を示す先に、水ヶ塚と幕岩との分岐があり、ここには、協議会標準補助標識(⑥)はあるものの、須山御胎内上から「幕岩」方面を示す標識がない。従って、須山御胎内入口方面、須山御胎内、水ヶ塚方面から、須山御胎内上に出たときには、「幕岩」の方向が分かりにくく、協議会の案内図(⑤)をよく見る必要がある。

 

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H/Iコースの火山荒原に設置された協議会標準標識は、厳しい気象条件のため、表面が摩耗して読みづらかったり、一部破損しているものがあった。

 

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四辻・二ツ塚間、一部破損した標準標識

 

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二ツ塚・大石茶屋間、表面が摩耗した標準標識

 

 

H/Iコースの四辻・二ツ塚間、二ツ塚・大石茶屋間でオフロードバイクと思われる轍があった。二ツ塚西側では轍は植生方向へ伸びていた。最近、自然公園法の「乗り入れ規制区域」に侵入したものと思われる。二ツ塚周辺は、数十年前にオフロード車により大規模に植生が破損され、その痕が今も回復していない。火山荒原の自然環境を保全するため、来訪者に『オフロード車の乗り入れ規制』が伝わるよう、協議会の案内図などでも紹介してほしい。

 

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植生方向へ伸びるオフロード・バイクの轍

 

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二ツ塚方向へのびるオフロード・バイクの轍)

 

 

今回のパトロール・コースには、協議会の標準標識やガイドロープが、ほぼ適切な間隔で設置されている。また、歩道の侵食荒廃などに対して定期的な補修管理が行われている箇所が多い。そうした管理のおかげで、須山口登山歩道や御殿庭連絡道で数多く見られた私的マーキング(下図参照)が比較的少ない。特に、世界文化遺産に登録された須山御胎内・須山下山歩道1.5合目間では、昨年まで、派手なピンク色の私的マーキングが設置され、迂回の踏み跡へ誘導したため植生を損傷し、世界文化遺産の風致景観を損なっていた。しかし、今回は下山歩道が整備され歩きやすくなり、風致景観を損なう派手な私的マーキングほとんど目につかず、本来の下山歩道周辺の自然環境を体験できた。

 

私的マーキングに対しては、来訪者の道迷いの誘発や植生損傷を防ぎ、さらに風致景観を維持するため対策が必要と思う。

 

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ピンクの丸は「私的マーキング」、左のパトロール・コースは2020年11月9日、右は2020年11月14日

 

 

ナラ枯れ

Fコースの須山御胎内入口近くのミズナラの幹に小孔と根元にフラス(木屑とフン)を確認した。「ナラ枯れ」と思われる。須山御胎内へ向かう歩道沿いのミズナラの根元を見たが、フラスは確認できなかった。Iコースの御殿場口新五合目から幕岩への歩道沿いのミズナラの根元にもフラスは確認できなかった。 今まで確認した「ナラ枯れ」は、西臼塚の西側駐車場近くと水ヶ塚の須山口登山歩道入り口近く、それと今回の須山御胎内入口の駐車場近だ。

 

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須山御胎内入口付近のミズナラ、幹に小孔が見える

 

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同、根元のフラス

 

 

ゴミ回収 26 ゴミ収集記録(調査票に対応)

 

1.紙 4 紙片 4
3.プラ 3 菓子容器 3
5.ビニール 19 2 紐    8 破片   9

 

 

 

 

 

 

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